8月29日(日)J2 第24節 水戸 vs 鳥栖(18:00KICK OFF/Ksスタ)
スカパー!生中継 Ch184 後05:50〜
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今週最初の練習となった火曜日、チームの空気は重く沈んでいた。前節福岡戦は0対5という大敗。リーグ再開後いまだ勝利がなく、中断期間で培った自信はこっぱみじんに砕かれることとなってしまった。そんな雰囲気の中、キャプテンの大和田真史が立ちあがった。練習が終わると、選手たちを集め、ピッチの上に全員を座らせ、意見を交わし合ったのであった。「こういう雰囲気だし、何かを変えないといけないと思ってミーティングを開きました。さすがに福岡戦はショックだったので……。0対5での負けに対して、1人1人がもっとリアルに考えないといけない。このままだと15連敗もあり得る。まずは雰囲気を変えないといけない」と大和田はいつになく厳しい表情で青空ミーティング開催の意図を語った。
今、水戸は転換期に避けては通れない苦しみの真っただ中にいる。カウンターサッカーからパスサッカーへ切り替えているのだが、そこにおける最大の変化は「考える」作業が明らかに多くなったことだ。分かりやすく言えば、受動的から能動的への変化である。カウンターサッカーの場合、相手の攻撃を防いで、そこから空いているスペースに出ていって攻めればいいのだが、パスサッカーの場合はそうではない。自分たちで考えながらボールを回して相手の隙をついていかないといけない。どこでどういうプレーをするべきなのか、どんなパスを出すべきなのか。1つ1つの判断の構築こそが、水戸の目指しているサッカーの生命線なのである。福岡戦はそこでのミスがことごとく失点につながった。特に先制点はその象徴であった。自陣深い位置でサイドから中央にパスを送るというサッカーの定石に反したプレーを選択し、さらに受け手がトラップミス。そこでボールを奪われ、ミドルシュートを叩きこまれてしまったのだ。技術や戦術ではなく、判断力の問題。それこそ、今、水戸が目指しているサッカーにたどり着くためにも乗り越えなくてはいけない壁なのである。
木山隆之監督は言う。「よくプレー時間について、ファウルやボールが外に出た時以外のことを指すけど、ボールが宙に浮いている時間はプレーしていないわけなんですよ。だから、本当にプレーをするということは意図的にパスをつなぐということなんだと思います。我々は今、そこにトライをしている。チームが成長するためにも意図的にプレーすることが必要なんです」。だからこそ、福岡戦で大敗を喫しても木山監督は「やろうとすることを変えるつもりはない」と力強く言い放った。ただし、「攻撃と守備の役割が明確になるようにシステムは変えるかもしれない」と言う。これまでの4−4−2から4−3−3に変更し、1人1人のポジショニングを明確にすることで判断をしやすくさせる狙いだ。その中でいかに的確な判断をしながらプレーできるか。そこが今節の最大のポイントであり、水戸が次のステップに進むために必要なことと言えるだろう。
1年前、立場は逆であった。昨季の第26節、水戸は福岡を相手に5対0の大勝をおさめている。当時、福岡はチームとして試行錯誤を繰り返し、出口の見えない迷路をさまよい続けていた。しかし、それでも自分たちのやるべきことを信じて一歩一歩前に進んでいったことが今季の躍進につながっているのである。だからこそ、水戸も迷わずに前に進まないといけない。「やり続けるしかない」と語る木山監督を筆頭に苦しい中でも水戸はぶれずに前に進もうとしている。あとはそれを水戸に携わるすべての人が支えられるかどうかだ。そこに水戸の未来はかかっている。目をそらさず、目をひんむいて苦しむ水戸の『今』を見届けてもらいたい。苦しみが成長に変わる時は、必ず来る。
鳥栖もリーグ再開後、苦しみ続けている。今季の鳥栖は横幅を広く使ったサッカーを繰り広げており、中断期間以降、さらにサイドを有効に使うためにシステムを4−5−1に変更。トップ下の藤田直之が起点となり、サイド攻撃を誘発。ボールの回し方、攻撃の形など以前よりもワンランク上の質を見せるようになっている。ただし、それが結果につながっていない。組み立てに多くの人数が関わるため、攻撃においても守備においてもゴール前の人数が足りなくなっているように思える。そこを埋め切るためのさらなるハードワークが求められるのではないだろうか。上位戦線から振り落とされないためにも今節は重要な一戦。1つ結果が出れば、チームとして一皮剥けるはずだ。今節で勝利して、再び上位戦線へ食い込んでいきたいところだ。
以上
2010.08.28 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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