今季、開幕から19試合連続無敗を続けていた柏に、東京Vが初の黒星をつけました!!
前節、甲府の連続不敗記録14試合を阻止したのに続き、2週間連続しての不敗ストッパー。ましてや相手が2位、首位のJ1昇格圏内を走る両クラブなのだから、喜びはより大きいというものです。
首位・柏との戦い、東京Vは自分たちの続けてきているサッカーをしっかりと披露しました。
前節は、甲府の怒涛の攻めを耐えて、耐えて、耐え抜いた末の辛勝で、佐伯直哉選手は「『勝ったこと』は良かったけど、防戦一方の内容は不本意。監督や僕たちが目指しているのは、どんな相手に対してもどれだけ長く主導権を握って、自分たちのペースでゲームを進めるか」と話していましたが、その意味でも、この試合は納得のできるものだったのではないでしょうか。
この試合、特に充実していたのが、チームの心臓で最も欠くことのできない柴崎晃誠選手だったように思います。フリーで球を受けられる回数が多く、持ち前の視野の広さから、左右中央、長短と自在かつ的確にさばいて展開をコントロールしていました。
また、右・福田健介選手、左・吉田正樹選手の両サイドバックも、上下の往復を厭うことなく走り抜き、攻守にわたって非常に効果的でした。
さらに、やはり特筆すべきは東京Vが誇るセンターバック&GKの堅守トリオでしょう。
特に、途中から出てきた柏の新外国人・ホジェル選手の能力の高さに手こずりながらも、無失点に抑えたことは大きかったです。
「ホジェルはすごく良い選手だった。僕とカンペイ(富澤清太郎選手)とでも止めきれないことが何回かあった。でも、たとえ僕らが抜かれても、周りの選手がしっかりとカバーに入ってくれた。前の選手も全力で追ってくれるし、全員の力があっての失点0。価値がある」(土屋征夫選手)
「(ホジェル選手は)スゴイ選手。間合いが違った。バウルさん(土屋選手)と、お互いに飛び込まず、ボランチを含めて距離を縮め、枚数で厚みをもって対応しようと話していた。あれだけの選手を、頭脳とみんなのメンタルで抑えられたのは今後への自信になる。攻撃選手の守備貢献も大きい」(富澤清太郎選手)
上記両選手の言葉にもあるように、平本一樹選手、河野広貴選手、高木俊幸選手ら攻撃陣の守備あっての無失点勝利だということは明らかでした。
「後半(体力が)切れちゃったけど、最初から守備を頑張りました」と、河野選手も守備を大きく意識していたとのことです。
という河野選手は、本職の攻撃でも光っていました。前半24分のパク ドンヒョク選手を退場に追い込んだシーン。
「もっと耐えて引き摺って、さらにペナルティエリア内に入って行こうかとも思った。でも、明らかに相手にレッドカードが出ることがわかったから、無理はしなかった。けど、今思うと…もっと強引に行って、点取りたかったです」
かねてから得点意欲の強い河野選手だけに、悔しさも強かったようです。
試合は、前半36分に菊岡拓朗選手のCKから決めたキャプテン・富澤選手のヘディングが決勝ゴールとなりました。
「前節の勝利も含め、サポーターの声援が勝たせてくれた。みんなにありがとうと伝えたい」と、富澤選手は東京Vを代表してサポーターに心から感謝していました。
さて。この大きな1勝ですが『首位の柏に勝った』、『無敗の柏に初黒星をつけた』、『7位に浮上した』など、表面的な結果には決して止まりません。
たとえば試合前、『東京Vの存続のため、出来る限りの協力はします』『今年はこれが最後の対戦だけど、来年、再来年とまた対戦したい』など、東京Vサポーターへ向けて温かいエールを送った柏サポーターの心意気には、非常に感動しました。
また、河野選手が警告を受け激昂した場面。富澤選手から言わせれば、『良いシーン』。もちろん、チームメイトなどと小競り合いを繰り広げたこと自体は決して褒められたことではありませんが、「(河野選手との言い合いは)いつものこと(笑)。それよりも、ヴェルディが1シーン、1プレーに対して、あれだけ真剣に戦っている熱い集団だってことをみんなに見せられたと思う」との言葉に、思わず納得してしまいました。ただ、「あれで、退場者を出しては試合が壊れてしまうから、そこだけは注意した」とのことです。
これらも含めた上で、首位・柏に勝利したことの価値は、土屋選手の言葉に全てが集約されているのではないでしょうか。
「この試合は全員が特に気合いが入っていた。それは、僕らがメディアに出る良いチャンスだったから。消滅の危機にあってもヴェルディがこれだけ頑張っているんだってことを注目してもらうためには、倒す相手が首位、そして無敗の柏じゃないとダメだった」
試合後、筆者のもとにも早速、「ヴェルディすごいじゃん、やったね!」「存在感を見せつけたね」など、何人もの知人から祝福メールが届きました。もちろん、日頃の勝利ではほとんどないことです。
こうした、ごくごく身近な水面下でも、“無敗の柏に勝った”ことの影響はハッキリと表れていました。土屋選手の言葉の真の意味が、理解できたような気がします。
とはいえ、「残念ながら、すぐに次の試合がきてしまうのがリーグ戦。喜びに浸っている間もなく、プロとしてもう頭を切り替えています」と富澤選手が語れば、川勝良一監督も「勝ったことは素直にうれしいけれど、柏に勝って次のゲームからテンションを下げたら意味がない。2位、1位を倒したということは、周りからは、他チームも倒して当然だろうという期待をされると思う。今日勝ったということは自分たちで期待を大きくしたので、もっとプレッシャーが大きくなる。またそれに応えなければいけない」と、さらにハードルを上げています。
言うまでもなく、目指すはまだまだ先。
もっと、大きな意味での効果が出るのは、これからかもしれません。
けれど、少しずつ、でも着実に、東京Vのリスタートは形を成し始めている気がします。
川勝監督の意図をしっかりと理解し、全員が同じ方向を向いている。
チームのために、決してサボることなく90分間走り続ける。
毎試合、ごまかしのきかない真っ向勝負を続ける東京Vのサッカーを、もっと多くの人に注目してもらえたらという思いを、より強く持ちました。
以上
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■東京V 次節の日程
8月15日(日)J2 第22節 東京V vs 札幌(19:30KICK OFF/国立)
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2010.08.09 Reported by 上岡真里江
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