二十歳の挑戦。その第一歩は、ほろ苦かった。
7月1日付けで横浜F・マリノスから栃木SCへ期限付き移籍してきた水沼宏太。18日の東京ヴェルディ戦が栃木でのデビュー戦となったが、前半34分シュートを放った際に相手DFと接触して右足を捻挫。右足の痛みは引かず、45分だけでピッチから退いた。
足の状態を尋ねたのに、口をついて出るのは試合当日の後悔ばかりだった。
「悔しい思いで一杯でしたね。試合には負けてしまったし…。その日の夜はとにかく悔しかったですね」
練習試合であってもゴールを挙げて自らをチームメイトや栃木のサポーターにアピールしたい、と移籍会見では話していただけに、結果を残せず消化不良に終わったことを激しく悔やんだ。一方で「黄色いユニフォーム、似合わねぇ」と茶化されたロンドン五輪を狙う同世代の河野広貴の活躍には大いに刺激を受けたようだ。「あいつがヴェルディの攻撃を引っ張っていた。自分も年齢に関係なく、栃木の攻撃を引っ張っていきたい」と、新天地で攻撃の核となることを誓った。
「足が思うように動かなかった」試合当日から、オフを挟み、足の腫れが引いたことで全体練習に合流した水沼。足に違和感は残るものの「痛いと言っている場合じゃない」と話し、「J2の激しさが分かりました。痛みに耐えられる体を作りたい」と、怪我を自らの新たなモチベーションとした。
「負けから始まったので、次は勝てるようにしたい」
闘志を燃やす相手はマリノスの元同僚、ハーフナーマイクを擁するヴァンフォーレ甲府。まずは遠征メンバー入りを目指し、「どんな形でも試合に出れば、やることはひとつ。点に絡むことです」と、こちらに力強い眼差しを向けて決意を語った。
ワールドカップ南アフリカ大会における日本代表の躍進、国外初のベスト16入りを目にした水沼。
「自分にはロンドン五輪という舞台があります。五輪代表に選ばれ、日本全体を盛り上げるのが、今の自分の目標です」
大きな野望と夢を抱き歩み出した二十歳の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
以上
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2010.07.23 Reported by 大塚秀毅
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