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【J2:第18節 徳島 vs 鳥栖】レポート:「切り札」の有無によって明暗は分かれたが、両者がそれぞれ中断期間の成長を見せた好ゲーム。(10.07.20)

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7月19日(月) 2010 J2リーグ戦 第18節
徳島 2 - 1 鳥栖 (18:34/鳴門大塚/4,952人)
得点者:25' 萬代宏樹(鳥栖)、30' 津田知宏(徳島)、35' 佐藤晃大(徳島)
スカパー!再放送 Ch185 7/20(火)後00:00〜
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どちらが勝利を掴んでもおかしくなかったと言えよう。それだけ両チームは中断期間に果たした自らの成長をそれぞれしっかり体現し、その結果として90分間にわたり見応えあるレベルでの拮抗した内容を見せていた。まさに両者が良さを出し合いながらがっぷり四つに組んだ白熱の一戦と振り返れるのではないか。

ただ、そのような状況の中、勝点3を手にするための「切り札」を持っていたのはホーム徳島であった。その「切り札」とは、背番号12。スタジアムに駆けつけた5千人近いファン・サポーターだ。事実試合後お立ち台に上がった津田知宏も「みなさんがいなければ後半を無失点に抑えられなかったと思います。本当にありがとうございます」とスタンドへ感謝を述べたが、彼らの振り絞った声援が計り知れぬ後押しとなり、最終的にチームを勝利へ導いたのは間違いないだろう。もちろんそれを心に受け止め、大きなプラスαの力として活かしたピッチ上の選手たちも掛け値なく素晴らしかったが。

冒頭にも触れた通り、ゲームは立ち上がりから両チームがこの1ヶ月で遂げた自分たちの成長を発揮し合う。徳島も鳥栖もよりいっそう高めた局面の厳しさと組織の連動性・機動性を見せ、序盤からお互い一瞬たりとも気の抜けない戦いを繰り広げた。中でも特に、サイドエリアの主導権争いは目を見張る熾烈さであったと言えるだろう。8分に徳島が柿谷曜一朗と佐藤晃大の連携で右サイドからチャンスを作れば、今度は16分に鳥栖がお返し。衛藤裕と日高拓磨を中心とした細かなパスワークでその同サイドを破って好機を演出するなど、早くから熱過ぎるほどの火花を散らしていた。
そして先にそれを得点へ結び付けたのは鳥栖であった。25分、徳島陣内やや深い位置で得たスローインからボールを受けた金民友が個の力で徳島の右サイドを突破して折り返し、それを萬代宏樹が逃さず合わせたのだ。

しかし徳島は先手を取られたここで重要な成長のひとつをハッキリ示す。どんな状況でも自分たちのサッカーをブレずにやり通すんだという逞しさを増した精神力で選手たちが全く下を向かなかったのである。するとその姿勢はすぐさま成果を呼び込む。まず5分後の30分に、鳥栖DFラインとの駆け引きを制し裏のスペースへ抜け出た津田が冷静な流し込みで同点ゴールを奪うと、続く35分には佐藤が鮮やかな逆転弾。しかもその2点目は疾風の如く駆け上がった平島崇がアシストしたもので、10分前に辛酸を舐めさせられたサイドの攻防の借りを返すかのような得点演出であった。

さらにこうしてゲームをひっくり返し後半に臨んだ徳島に、いよいよボルテージを上げてきた「切り札」の力が加わり始める。それは前半から続くサイドの争いに、落ちない勇気と積極性を与え、また全体の守備における集中も誘引。広範囲にわたる柿谷のカバーリング、鳥栖の低い位置でのパス回しを粘り強く追う津田や羽地登志晃のチェイシングといった全員のハードワークを導き出し、結局ポゼッションこそ高められながらも鳥栖に危険なエリアでの仕事はほとんど許さなかった。鳥栖の攻撃の中心・衛藤の「うちがボールを保持しているように見えただけでしょう」というその言葉が勝負所を崩させなかったことを何より証明していると言っていい。

とは言え、そんな徳島も喜んでばかりはいられない。美濃部直彦監督も試合後会見で挙げていたが、決定機を手にしながら突き放す3点目が取れなかったことは、引きずることの出来ない非常に大きな課題。今後の巻き返しのためには改善が必須の部分と言えるだろう。次節は新戦力・ドゥグラスのデビューも期待されるが、彼も含めたアタッカー陣がどのように決定力を高めてくるか要注目だ。

対して鳥栖だが、「W杯から学んだオフ・ザ・ボールのプレーヤーの活動量と人数の多さ、それを取り入れようと(松本育夫監督)」したチームはその積み上げをかなり感じさせたと評して間違いない。例えば前線の萬代や早坂良太がポスト役になった時には周囲がほとんど確実に2つ以上のパスコースを作っていたし、サイドのエリアでは常にトライアングルを意識して選手がサポートに入っていた。そのことから、この再開初戦には敗れたものの、次節からまた上位を脅かす戦績を重ね存在感を放つはずだ。

以上

2010.07.20 Reported by 松下英樹
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