6月19日(土) 2010FIFAワールドカップ南アフリカ
オランダ 1 - 0 日本 (20:30/ダーバ/62,010人)
得点者:53' スナイダー(NED)
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試合開始早々、オランダは日本に対してラッシュを仕掛けてくる。試合後のファンマルウェイク監督が会見の冒頭「当たり前に勝てるゲームがないことがわかりました」と述べているように「格下」の日本に対し、当然のごとく点を奪えるのだとの考えがあったのであろう。
オランダの攻撃の特徴は、その流動性にある。一例を挙げると、トップ下のスナイダーが中盤の低い場所にポジションを下げ、スナイダーがいた中央のポジションに左サイドに位置するファンデルファールトが入る。そしてその動きによって開いたサイドのスペースを、左サイドバックのファンブロンクホルストが使う。そうした流動性によって相手チームの混乱を誘発しつつ、質の高いパスワークと個人技とで相手の陣内に意図的に穴を作り、その穴を突いていくのである。
主導権を奪われる形で試合をスタートさせざるを得なかった日本は、前半の10分過ぎまでの時間帯で失点していたとしてもおかしくはなかった。しかし、そこで日本は踏みとどまる。この試合が拮抗したものになったのは、この序盤の劣勢を無失点で乗り切ったことにある。
前半のオランダのボール支配率は69%に達し、圧倒的にボールを支配していた。ただ、この数字の理由を日本代表の極端な守備意識の高さに求めるのは適当ではない。岡田武史監督の「マイボールになったとき、勇気を持って前に出なさい」との言葉を受けた日本代表は、状況に応じ攻撃に転じていた。日本のファーストシュートは前半の12分に生まれるが、このシュートを放ったのは左サイドバックの長友佑都だったのである。
もし仮に、相手を怖がり自陣に引き込むことのみをオランダへの対抗手段として考えていたのであれば、ファーストシュートが左サイドバックによってもたらされるという状況はありえない。しかし、日本はオランダの攻撃をしのぎつつチャンスを見計らって反撃に出ていたのである。そうした点について川島永嗣は「自分たちが守備に回る時間帯が多い中で、自分たちの攻撃になったときにはしっかりゴールまで行けていた」と話している。
この12分の長友のシュートを引き出した松井大輔は、途中交代する64分までの間に出色の出来を見せる。ボールを引き出してポイントを作り、1対1で果敢に勝負に出る。さらにはポジションを移動させて日本の攻撃に流動性をもたせていた。そして何よりも、恐ろしいほどにピッチを駆け回り、オランダの攻撃を牽制していた。
ボールを支配しながらも得点できないという状況は、精神的にいいものではない。だからこそオランダは時折バランスを崩して日本陣内へと攻め込む。そして日本が効果的なカウンターを繰り出す。38分には松井をきっかけに駒野友一へとパスが渡り右サイドを攻略すると、最後は中央の松井がボレーシュートを放つという場面が見られた。守備をベースに試合を組み立てた日本が、オランダを慌てさせる場面も少なくはなかった。
前半の0-0というスコアは、この試合の内容を正当に評価したものだった。
岡田監督の考えるゲームプランでは、勝負をかけるのは65分か70分過ぎ。つまりそこまでは0-0で我慢し、オランダの焦りを引き出そうとしていたのである。ところが後半の比較的早い時間帯となる53分に、スナイダーに先制点を奪われてしまう。
正面に飛んできたボールを後方にそらす形となった川島は「自分もあそこにくるイメージはあったし、30cm手前まではボールが見えていたんですが、最後のところでゴール側にボールが変化して、自分からはボールが見えないような状態になりました」と失点の場面を説明。率直に難しいボールだったと述べている。
いずれにしても、オランダにしてみればワンチャンスを確実にものにし、リードを奪う形となる。
1点が必要な日本代表は、ここから攻勢に転じた。もちろん1点をリードしたオランダの守備意識が高まったという側面はあるだろう。しかし、それ以上に1点を奪い返すんだとの強い気持ちが、プレーの端々から見えていた。セットプレーでポジションを上げた闘莉王はそのまま前線に残る場面が目立つようになり、また64分の中村俊輔の投入に始まった交代采配も、77分に岡崎慎司と玉田圭司を2枚同時に投入するという攻撃的なものとなる。
日本代表は、長谷部誠が退いたこの77分の交代を境に、ボランチの枚数を1枚減らし、2トップへとシステムを変更。4-4-2にフォーメーションを変えて攻勢に出る。しかし同点ゴールへの焦りがあるのか、日本は85分、88分と連続で1対1を作られる決定的なピンチを迎える。しかし、川島と守備陣が体を張って連続でセーブし、可能性を残した。
試合終盤には闘莉王を前線に上げて泥臭く1点を奪いに出ると、その闘莉王が起点となり決定的なチャンスを作る。試合終了間際の89分。試合中からポジションを右サイドに変えていた長友からのクロスを闘莉王が頭で落とし、岡崎を走らせると、これが決定的な場面に。しかし岡崎のシュートは枠を捉えることができず、得点ならず。結局、試合はそのまま0−1で終わることとなった。勝利の瞬間のオランダベンチは、大きな喜びに包まれており、この試合のタフさと1勝の重要性を端的に示していた。
負けはしたが、決して悪い試合運びではなかった。主導権を握られながらも、的確な試合運びが出来ていた。だからこそ、勝点を奪えなかったことが悔しくてならない。ただ、こうした悔しさを繰り返しながらその国のサッカーの歴史が紡がれ、成長の糧となる。この悔しさをバネにして、デンマーク戦に向かってほしい。そして、グループリーグ突破を決めてほしい。
以上
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【SAMURAI BLUE(日本代表)試合予定】
■2010FIFAワールドカップ南アフリカ グループE
2010年6月24日(木)27:30(日本時間)/ルステンブルグ
SAMURAI BLUE(日本代表) vs デンマーク代表
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2010.06.20 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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