6月12日(土)J2 第17節 鳥栖 vs 栃木(16:00KICK OFF/ベアスタ)
スカパー!生中継 Ch186 後03:50〜
--試合速報--
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ボールだけを見て90分間プレーを続けたとしたら、サッカーと言うスポーツは成り立つのだろうか?プレーしている選手は、ボール以外にも多くのものを見ながらプレーをしている。ボールとゴール、人(味方と相手)を見ながらスペースを探し、瞬時に最善の策を講じるのがサッカー。試合中に止まって考える猶予は与えられていない。判断した手段が思うように出来ないこともあれば、ミスも起こる。しかも、相手がいる。プレーしているポジションによって、状況が違えば判断する策もすべてが同じとは行かない。そこに相手に漬け込まれるスキが生まれたり、失点の機会を与えてしまうことがある。
今節を戦う鳥栖と栃木は、ここまで違うスタイルで上位につけてきた。鳥栖は常に攻撃を意図して攻め続け、栃木は堅守の中から相手のスキを突いて勝点を積み上げてきた。前節を終えて、ともに7勝で20得点をあげている。6位と5位に位置し、勝点差はわずかに1しかない。ただ、大きく違うのが失点数である。得点力に差がないとすれば、“いかにして失点を防ぐか”に注目せねばならないだろう。
前節の鳥栖は、富山に前半のうちに先制点と追加点を許し、後半にセットプレーから1点を返すにとどまった。一瞬のスキを突かれたミドルシュートと、カウンターからの失点だった。シュートを放った富山が素晴らしかったのか、一瞬のスキを突かれた鳥栖が甘かったのか…。しかし、放ったシュートは相手をはるかに上回っている。(シュート数16本に対し、被シュート数は9本)結果は伴わなかったが、ある程度の意図した形は出来ていたと思われる。今節もこの戦い方は変わることがない。
対する栃木は、敗れたとはいえ、前節までは6試合無失点と堅守を誇っていた。前節を終了して、10失点は首位柏(7失点)に次ぐ堅守振りである。今季の栃木は、堅守で相手の攻撃をしのぎ、スキを突いて得点を奪うスタイルが確立できている。鳥栖同様に今節もこのスタイルは変わらない。あえて不安要素を挙げるとすれば、攻撃的なサイドDF入江利和の出場停止と言ったところだろうか。
今節のターニングポイントは“守備での集中力”と思われる。攻撃的に行きたい鳥栖は、ボールを奪われたあとの対応に気をつけたい。栃木には、多様なFWが多い。スピードとシュート力を持った廣瀬浩二、ポストプレーに定評がありフィジカルの強い崔根植、決定力のあるリカルド ロボと状況に応じた組み合わせが可能である。鳥栖が守備でスキを見せれば、そこを確実に突いて来る攻撃は要注意と言える。
堅守を誇る栃木は、立ち上がりと逆サイドへの展開に気をつけたい。鳥栖は、サイドからの攻撃を得意とし、畳み掛けた攻撃は強力である。サイドDFに入る金民友や丹羽竜平もゴール前に飛び込んでくるし、最前線には、高さのある豊田陽平、萬代宏樹がいる。栃木DFが、ボールサイドだけに気を取られると、クロスや逆サイドから入ってきた選手がフリーでシュートを打つシーンが増えるだろう。互いに強力な攻撃を擁しているだけに、守備での対応に気をつけたい。
今節は、別の楽しみ方もご紹介しておきたい。栃木には、過去に鳥栖に在籍したことのある選手が多い。しかも、その選手たちは強力な個性とプレーを魅せてくれた。FW廣瀬浩二は、ユニークなキャラクターでファンやサポーターをとりこにした。柏戦でのゴールは、忘れることは出来ない。FWレオナルドも、流暢な日本語で冗談を飛ばして周りを明るくしてくれた。日本人以上に日本のスピリッツを持った男であった。MF本橋卓巳も低迷していた当時の鳥栖で、左足から繰り出されるパスで魅了してくれた選手である。他にも九州に縁がある選手が多いので、選手名鑑を片手に彼らの活躍を応援するのも一考である。
集中力を持続させることは難しい。ましてや、様々な情報が目視や声で入ってくると、判断要素が増えるために瞬間的な判断は容易ではない。そこにミスが起きる可能性もあれば、相手はそこが突きどころなのである。
得点がなかなか入らないサッカーだからこそ、その得点機会を多く創作(?)する必要があるわけで、その機会は一瞬の閃きだけでは多くを作ることは出来ない。そこには、集中力とそれを持続させるためのタフな精神力が求められることになる。
サッカーは、メンタルもプレーを構成する重要な要素である。
以上
2010.06.11 Reported by サカクラゲン
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