6月9日(水) 2010 ヤマザキナビスコカップ
湘南 2 - 3 神戸 (19:00/平塚/5,937人)
得点者:31' 中村祐也(湘南)、46' 茂木弘人(神戸)、61' 吉田孝行(神戸)、66' 茂木弘人(神戸)、81' 中村祐也(湘南)
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肩を落とし、足取りの重いチームに送られたサポーターのベルマーレコールがあたたかい。中断前の最後のゲームで、湘南は神戸に2−3で敗れた。だがその内容には、唇を噛み締めるだけでは終わらない、あるべき湘南の姿が散りばめられていた。
31分の先制ゴールに、闘う者の意気を見る。永田亮太のフィードから、阿部吉朗を介し、右サイドで猪狩佑貴が受ける。猪狩は自らドリブルで持ち込み、低空クロスを送った。ニアで合わせたのは中村祐也だ。体を投げ出し、滑り込むようにヘッドで擦らす。「足だと入らないと思った。頭のほうが入ると思い、気持ちで持っていきました」。つねに先制ゴールを狙っているFWが、らしく冷静に、かつ泥臭くねじ込んでみせた。湘南にとって、リーグ戦第12節G大阪戦以来となる先制点である。
序盤はしかし、神戸がセットプレーを重ねて押し気味に展開していた。対して湘南も、阪田章裕や村松大輔がカバーするなどして、ここ最近続いていた立ち上がりの失点を食い止める。流れがホームチームに傾き始めたのは、村松のフィードに猪狩が相手の裏を狙った15分過ぎあたりからだろう。猪狩は続けて左サイドからロングシュートを撃ち、かたやディフェンスでは相手のボランチにプレスをかけて中盤でのボール奪取を導いている。くだんの先制点は、湘南がリズムを掴み、またGK金永基を砦に体を張って守り抜いた先で生まれていた。
だが一方、ゴールを脅かしながらも届かなかった神戸の反撃は素早かった。鯉口を切るや一太刀浴びせる剣士のごとく、後半キックオフ直後、いきなりゴールを切り裂く。ロングフィードに都倉賢が競り、前半から危険な匂いを漂わせていた茂木弘人がゴール前に躍り出て叩き込んだ。「早い時間に取れてよかった」と本人が振り返った同点劇は、開始わずか15秒足らずの出来事だった。
「後半開始すぐに同点にできたことが大きかった」と三浦俊也監督が振り返ったとおり、以降、神戸は落ち着きを取り戻す。一方の湘南も次の1点を目指し、ゴールに迫る。だが先にスコアを動かしたのは神戸のほうだった。61分、コーナーキックを金がいったんはパンチングで逃れるも、神戸がこぼれ球を拾う。ゴール前の混戦のなか、うずくまる金を古林将太らがカバーしたが、最後は吉田孝行がヘッドで巧みに押し込んだ。さらに5分後、神戸は右サイドに展開したのち、空いたスペースに茂木が侵入し、途中出場の小川慶治朗とのワンツーから追加点を見舞った。
負傷した金に代わり、植村慶が入った矢先の失点に、しかし湘南のゴールへの刃は折れない。猛然とボールを奪い返した寺川能人のプレーを切っ先に攻め込んでいく。セットプレーを重ね、ブロックされても繰り返す。81分の2点目はその先で掴んだものだ。途中出場の馬場賢治のコーナーキックを機に、ゴール前の混戦のなか、ふたたび中村が今度は右足で押し込んだ。攻め込む湘南と時間をうまく使う神戸の攻防は、長い笛を聴くまで続いた。
「いままでは1点取られてガックリし、そのままゲームが終わってしまうことが多かったが、後半開始すぐに同点にでき、3点目まで取れた」試合後、三浦監督は語った。指揮官はさらに、ゲームコントロールの必要性にも触れた。収穫と課題を携え、再開されるリーグ戦に向かう。
一方の反町康治監督は言う。
「結果は真摯に受け止めるが、今日はベストファイトしたと思っている。当然反省すべきことはたくさんある。そのうえで戦い方をしっかりと整理し、リスタートしていきたい」
けっして華麗なプレーなどなかった。小気味よく繋がる場面は少なく、ミスは多い。だが出し手と受け手のタイミングが合わなければ幾度も動き直したように、あるいは失っても泥臭く体を張り続けたように、思い通りにいかなくとも無骨に繰り返し、プレーが止まればそこかしこで選手同士が話し合う。その姿は、目をギラギラさせて指揮官のトレーニングに食い入る湘南の原点だ。敗れてなお、ピッチに散りばめられていた湘南らしさに清しさが漂う。中断明けに向け、暴れるために必要な原点を湘南は見つめ直した。
以上
2010.06.10 Reported by 隈元大吾
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