今年、2012年の「ぎふ清流国体」に向け、ホームスタジアムの長良川競技場を改修することとなり、岐阜がホームスタジアムとして使用できなくなったことは皆さんご存知でしょう。シーズン最初は改修が始まった長良川競技場を使用することが出来ましたが、第7節の東京V戦より、その長良川競技場から約徒歩5分のところにある長良川球技メドウに、ホームスタジアムは『一時移転』となりました。
この長良川球技メドウというスタジアム。一般的にはなじみがありませんが、岐阜県のサッカー少年の中では特別な存在。ここは県内サッカーの重要な試合を決する、重要な場所なのです。FC岐阜がまだ地域リーグ、JFLだったころに使用しており、岐阜というクラブのスタート地点を知るスタジアムであることはもちろん、中学サッカーや高校サッカーの重要な試合は、決まってこのスタジアムが使われます。
特に高校サッカー界にとっては『聖地』。全国高校サッカー選手権岐阜県予選の準決勝、決勝、インターハイ岐阜県予選の準決勝、決勝、天皇杯岐阜県代表決定戦などでこのスタジアムがずっと使われています。かつて、筆者も岐阜県の頂点を目指したサッカー少年でした。選抜などの選考会でも使われていましたが、やっぱり目指していたのは選手権、インターハイ予選の準決勝、決勝。筆者も長良川球技メドウでプレーすることを夢見ていました。
しかし、筆者の夢は叶わず、一歩手前で涙を飲みました。その代わりと言っては何ですが、従兄弟がここのピッチに立って、何度も全国大会の切符を手にしました。同い年の従兄弟の活躍をスタンドから悔しさと羨ましさが入り混じった複雑な心境で見ていたことを、今でも鮮明に覚えています。
そんな勝手な(笑)、思い出の詰まった長良川球技メドウ。あれから数年が経ち、FC岐阜が地域リーグやJFLで戦う姿をこのスタジアムで見るだけでも感慨深いものがあったのに、今度はJリーグとは…。本当に人生って分からないものですね。
確かにピッチもそこまでいいとは言えないし、スタンドもゴール裏は仮設で、ボール避けのネットも無く、シュート練習のミスしたボールや、試合中のシュートも容赦なく観客の下へ飛び込んでいきます。バックスタンドもそう大きくはなく収容人数も僅か3472人。でも、どこか偉ぶっていないところに愛着を感じませんか?
決して立派なスタジアムではないけど、だからこそ手作り感があり、住宅地の真ん中にあり、ひとつの憩いの場のような存在のように感じます。スタンドとピッチの距離も近いし、臨場感満載。本当に味があるスタジアムではないでしょうか。
選手のみんなも興味があるようで、試合前になると、岐阜にアウェイ戦で来る他チームの選手から「長良川球技メドウってどんなスタジアム?」と電話がよく掛かってきます。柏との試合では小林祐三選手に、「なんか草薙球技場みたいだね。懐かしいな〜」と静岡の高校サッカーの聖地とねんごろにさせてもらったし(笑)、東京Vの河野広貴選手には、「何か高校時代を思い出す」とこちらもノスタルジーに浸ってもらいました(笑)。
そんな味のある長良川球技メドウ。噛めば噛むほど味が出る。それがこのスタジアムです。みなさんも一度来て、ノスタルジーと岐阜のサッカーを堪能してみてはいかがでしょうか?筆者はこんな長良川球技メドウが大好きです。
以上
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2010.05.18 Reported by 安藤隆人
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