5月12日（水） AFCチャンピオンズリーグ2010
鹿島 0 - 1 浦項　（19:00／カシマ／9,794人）
得点者：29' ジョアン モッタ（浦項）
ホームゲームチケット情報 | 決勝戦は11月13日(土）に国立競技場で開催！
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試合終了のホイッスルが鳴ると同時に、新井場徹がグラウンドに突っ伏した。静まりかえるスタジアム。AFCチャンピオンズリーグに02-03年に初参戦、08年からはJリーグ王者として3年連続挑戦してきた鹿島だが、昨年につづきラウンド16で姿を消した。しかも内容では完全なる力負けだった。

対戦相手の浦項は、来日直前にワルデマール・オリヴェイラ監督を解任するというスクランブル状態だった。ただ、結果としてはそれが英断となったと言える。
「私が強調したのは昨年のチームカラーをもう一度取り戻そうと考えました」
監督代行として指揮をとったパク・チャンヒョンアシスタントコーチは、アジアチャンピオンに輝いた当時のチームを取り戻そうと考え、それに成功した。攻撃の威力はそれほどではないものの、統率された守備力と出足の鋭さは目を見張るものがあった。鹿島は前半からそれに苦しめられる。4-4-2の布陣を敷いてきた相手に対し攻め手がない。それというのも練習を重ねてきたのは4-5-1の布陣の崩し方だった。パスは3本と続かず、ラインを高く上げ中盤をコンパクトに保つ守り方に対しても、裏のスペースを取ることができない。浦項の二人のセンターバック、ファン・ジェウォン、キム・ヒョンイルは高さでもスピードでも隙を見せず、鹿島は突破口を開けなかった。

すると29分、相手のスローインからマークを捕まえることができず、アウミールにドリブル突破からスルーパスを許してしまう。これをDFラインから抜け出したジョアン・モッタが落ち着いて決め、ワンチャンスを生かした浦項が先制点を奪った。
その後も流れを掴めない鹿島。後半に入り相手が4-5-1に変更すると、練習を重ねてきた成果を見せるが、それも束の間。前後半でシュート11本を放ったものの、得点の匂いを感じさせたのは49分と57分にフェリペ・ガブリエルが放った2本のシュートのみという完敗に終わった。

特に残念だったのが終盤のパワープレーがちぐはぐなまま終わってしまったことだ。「戦い方がはっきりしなかった。意思統一できてなかった」と岩政大樹は悔やんでいたが、負けるにしても前年のような死力を尽くしての敗戦であれば、ここまでの悔しさは残らなかったはずだ。しかし実際は、これまでの戦いぶりなどなかったような完敗。サポーターはブーイングを浴びせるしかなかった。

試合終了後、スタンドに向けて挨拶にまわる選手たちの足取りは重かった。そして、その最後尾でいつもより長い時間をかけ手を振り、頭を下げていた内田篤人。そのことを問うと「悔しかったから、ということにしておいて」と寂しげな表情を浮かべた。週末の名古屋戦は、いろいろな意味で重要な試合となった。

以上

2010.05.13 Reported by 田中滋