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【J1:第9節 清水 vs 浦和】レポート:上位決戦にふさわしいハイレベルな激闘。土壇場でのヨンセンの劇的なゴールで、清水はリーグ通算300勝を達成(10.05.02)

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5月1日(土) 2010 J1リーグ戦 第9節
清水 2 - 1 浦和 (16:03/エコパ/38,851人)
得点者:17' 岡崎慎司(清水)、22' ポンテ(浦和)、90'+3 ヨンセン(清水)
スカパー!再放送 Ch180 5/2(日)12:30〜(解説澤登正朗実況桑原学リポーター小野響子)
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 ヨンセンのヘディングが決まった瞬間、3万9千人近く入ったスタンドの5分の4は、絶叫とも言えるような熱い歓喜で総立ちになり、残りの5分の1は、水を打ったように静まりかえった。試合終了まで1分を切った後半48分、それはまさにサッカーの醍醐味と熱気が凝縮された瞬間。その興奮を思い返すだけでも、清水サポーターはゴールデンウィークを気持ち良く過ごすことができるだろう。

 ただ試合内容は、お互いに気持ちの入ったプレーを見せ、良いところも出し合って、本当に拮抗したものだった。
 立ち上がりは、清水がいつも通りヨンセンへの長いボールを織り交ぜながら自分たちのリズムを作っていき、浦和は個々のキープ力を生かしたパス回しに、ドリブルも加えてじわじわと押しこんでいく。どちらもボールに対する出足は鋭く、球際の競り合いも激しく、上位同士の大一番にふさわしい緊迫感は、キックオフ直後から漂っていた。
 清水のほうはヨンセンが好調で、浦和のDFラインに対する高さの優位を生かしてボールをよく収め、周囲の選手を生かしていく。それにより浦和は多少ラインを下げざるを得なかったこともあるだろうが、いつものように奪われた直後から激しくボールを追いかけるというよりも、早めに帰陣して守備の体勢を整える場面が多くなっていた。
 ただ、浦和がボールを持ったときは、やはり簡単に失うことは少なく、きっちりとつないでボールを前に運び、清水の守備に揺さぶりをかけていく。前半は清水のほうが相手ゴールに迫るシーンが少し多かったが、展開としては五分と五分。どちらかが一定時間優位に立つこともなく、一進一退の流れが本当に90分間続いた。

 しかし、その中で清水が明らかに優位に立っていたのはセットプレーだ。清水のフィールドプレイヤーには180cm以上の選手が6人いたのに対して、浦和はエジミウソン(183cm)の1人だけ。浦和のCKの守備は、そのエジミウソンがニアサイドの壁となり、ヨンセンに山田暢久、ボスナーに坪井慶介、平岡康裕に阿部勇樹、岡崎慎司に鈴木啓太とマークについていたが、開始3分の右CKで岡崎がニアで惜しいヘディングを放つなど、立ち上がりから可能性を感じさせていた。
 そして17分の右CKでは、藤本淳吾がニアのエジミウソンの頭上をわずかに越える絶妙のボールを入れ、その後ろで岡崎が完全に鈴木に競り勝ってヘディングシュート。彼らしい絶妙のコントロールで左ポストぎりぎりに決め、清水が自分たちのストロングポイントから先制点を奪った。
 さらに、21分には左サイドの裏に抜け出した岡崎のクロスから、ヨンセンが競ったこぼれ球に藤本と兵働昭弘が絡み、最後は小野伸二が拾って坪井をかわして左足シュート。小野自身にとっても移籍後初ゴールを決める絶好のチャンスだったが、ボールは無情にもわずかに左に外れた。
 そこまでは清水のペースになりかけていたが、浦和もまったく譲らない。22分の右スローインからポンテがボールを受け、エジミウソンとのワンツーからドリブルで中に切れ込み左足のシュートを右ポストぎりぎりに突き刺す。浦和のほうも、ポンテとエジミウソンのラインというストロングポイントを生かし、同点に追いつくことに成功した。

 そこからは再びどちらに転ぶかわからない試合展開が最後まで続いていく。
 後半は、清水のGK西部洋平が前半25分の接触プレーで脳しんとうとなり、急きょ武田洋平がリーグ戦で初めてゴールマウスを守ることになった。だが、そこは守備陣が身体を張ってシュートを防ぎ、武田自身も落ち着いて試合に入り、ノドがかれるほど大きな声を出し続けて安定した守りを披露。浦和に押しこまれる場面はしばしばあったが、クロスボールは中できっちりと跳ね返し、武田がきわどいセーブをするような場面は一度も作らせなかった。
 浦和は、ボランチの攻撃参加も活発で、前半の得点シーンのような中央でのワンツーやドリブルも武器のひとつ。そこで清水の中盤が労を惜しむことなく、互いにカバーしあって粘り強く対応したことも、後半の無失点に大きく貢献した。
 対する浦和のほうも、ヨンセンへのロングボールの対応が前半よりも安定し、カウンターの芽も早めにつぶして、清水になかなかチャンスを作らせない。その中で、後半23分に辻尾真二の右クロスから岡崎がヘディングシュートを放ったシーンが清水のもっとも惜しい場面だったが、これは左に外れてゴールならず。

 少しも気を抜けない激闘の中で、終盤はどちらも相当疲労の色が濃くなっていたが、3分と表示されたアディショナルタイムに入ったところで、より足が動いていたのは清水の選手たちだった。
 47分にはスローインから左サイドを崩して兵働がクロスを入れ、交代出場の永井雄一郎がヘッド。これは惜しくも右ポストに当たって外れたが、CKを獲得。そして、次の右CKのこぼれ球を平岡が鋭い出足でつなぎ、兵働が右からクロス。これがファーに流れたヨンセンにピタリと合い、正確なヘッドがGK山岸範宏の手をかすめてゴール右に決まった。あまりにも鮮やかで劇的な決勝ゴール。
 浦和の守備陣がボールウォッチャーになって足が止まっている中、それを利用して忍者のようにファーサイドに流れながらフリーになったヨンセンと、その動きをしっかりと目に入れながらピンポイントでクロスを合わせた兵働。勝利をあきらめない気持ちの強さだけでなく、土壇場での冷静さや精度も合わせ持っていたことが、今季の清水の成長ぶりをうかがわせた。

 浦和にとっては痛恨の敗戦だが、清水にとっては今後に向けて本当に大きな1勝。しかも、リーグ通算300勝(Jでは3チーム目)という勲章も加えられ、開幕からの公式戦無敗記録を11に伸ばして、勝点は早くも20を越えた。だが、「まだ何も得たわけではない」と長谷川監督は務めて冷静さを保ち、次のゲームに気持ちを切り換えようとした。
 ゴールデンウィークではまだ中3日、中2日で試合が続く。素晴らしい勝利の余韻にしばらく浸っていられるのは清水サポーターの特権だが、選手たちは翌日から次のゲームに向けて集中しなければならない。

以上

2010.05.02 Reported by 前島芳雄
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