4月28日(水) AFCチャンピオンズリーグ2010
北京 2 - 0 川崎F (20:30/北京/40,000人)
得点者:26' ジョエル・グリフィス(北京)、47' オットー(北京)
ホームゲームチケット情報 | 決勝戦は11月13日(土)に国立競技場で開催!
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事前の情報が少々大げさだったと感じたのは、北京工人体育場が陸上トラックを併設させていたからかもしれない。また警備上の問題もあったのか、両ゴール裏に多くの空席が目立つスタンドは4万2千人あまりの観客を収容するにとどまっていた。専用スタジアムで行われた昨年のアウェイでの天津戦と比べても「雰囲気はあまり関係ない。天津と比べてもやりにくさはなかったんですけどね」と田坂祐介が話す通り、観客のプレッシャーは川崎Fにとってはそれほど大きいものではなかった。
勝つことがグループステージ突破のための唯一の条件だった川崎Fがプレッシャーを感じていたのと同等かそれ以上に北京にかかるプレッシャーは大きいもののようだった。なにしろここ数シーズンに渡り中国の代表クラブはACLのグループステージを突破できていなかったのである。そうした惨憺たる状況の中、中国のチームにとってレギュレーション変更後の09年から初めてグループステージを勝ち上がるチャンスが訪れていた。対戦するのが日本の代表クラブである事や引き分けでOKという有利な状況を含め、メディアの報道はその量を増やしていった。
そんな中、守備的に試合を始めたと北京のホン監督が話す通り、前半の立ち上がりは川崎Fがペースを握ることとなる。掛け値なしに試合をコントロールしていた川崎Fは、4分に最初のCKを手にすると、続く5分には谷口博之が右サイドを駆け上がり鋭いクロスからチャンスを作り出していた。
「前半は良かったですからね。あそこで点が取れていれば」と谷口は前半を振り返りつつ「ただ、それにしてもなんであんなんでやられるんだろう…」と悔しさをにじませて、言葉を失った。
左右のサイドバックが攻撃に参加してラストパスを送り出し、セットプレーでもチャンスを作り続けていた川崎Fが完全に主導権を握っていた。そんな試合が突如として動いたのは、前半26分の事だった。川崎Fが北京陣内で得たFKからのカウンターで、北京が速攻を仕掛けるとGKとの1対1の場面を迎えたグリフィスが冷静にゴールに押し込むのである。
苦しい試合展開を耐えてきた北京にしてみれば、してやったりの先制点であり、ここから北京が態勢の立て直しに成功する。北京は4−4−2の布陣を敷く中で、4−4の2ラインでしっかりとブロックを形成し川崎Fの攻撃に備えた。川崎Fにしてみれば、じっくりとパスをまわしつつ、穴を探したいところではあるのだがピッチの悪さも影響し、思うようにパスが繋がらなかった。もちろんセンターラインのキープレーヤー3選手をケガや出場停止で欠いており、コンビネーションの部分でもこなれているとは言い難い状況にあったのもパスワークが乱れた要因の一つであろう。
すでに1点を失い2点が必要な川崎Fにとって次なる逆風は、前半の39分という時間にレナチーニョをケガで失った点であろう。そのレナチーニョに代わりピッチには登里享平が立つことに。予期せぬ時間帯の出場となった登里は、結果を求めるあまり空回り気味のプレーに終始。監督の期待に答える事ができなかった。
悪くはなかった前半を終え、巻き返しを期して臨んだ後半に試合はさらなる転機を迎える。後半開始早々の47分にいくつかのミスが積み重なり、最終的にオットーに決められるのである。前半のテンションを維持できていれば、3得点は決して不可能なものとは思えなかったが、それにしても2点目を奪ってからの北京は強さを見せていた。後半の立ち上がりの時間帯で試合を支配し、川崎Fに付け入る隙を与えなかった。3点を奪うべく川崎Fは、59分に木村祐志、71分には楠神順平を投入して巻き返しを図る。しかし、状況の悪さはそう簡単に挽回できるものでもなかった。
試合終盤の76分に楠神が上げたクロスに、木村が頭で合わせ枠内に飛ばすと、85分には楠神がループシュートを狙う。完全にGKを抜くシュートになるが、これはポストに阻まれてノーゴール。前半から何度となく決定機を迎えながら結局川崎Fはなんとなく失った2点のビハインドを返すことができなかった。チャンスは作れていただけに、悔やまれる敗戦となった。
試合後の選手たちの多くが、表情をなくしていたのは、戦えていただけに2失点、無得点のその負け方がショックだったから。そしてこの敗戦でACLの敗退が決定したことも、チームを落ち込ませるに十分なものだった。川崎Fにとって3回目のACLは、クラブ史上初のグループステージ敗退の結果となった。
以上
2010.04.29 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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