4月27日(火) AFCチャンピオンズリーグ2010
広島 4 - 3 浦項 (19:00/広島ビ/5,612人)
得点者:1' 大崎淳矢(広島)、4' キム・ジェソン(浦項)、30' 李忠成(広島)、42' 桑田慎一朗(広島)、47' キム・ジェソン(浦項)、62' シン・ヒョンミン(浦項)、81' 槙野智章(広島)
ホームゲームチケット情報 | 決勝戦は11月13日(土)に国立競技場で開催!
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キックオフから40秒足らず、広島の若者たちはACL王者から強烈なゴールを奪った。5試合で3失点しか失っていない浦項の守備陣は呆然と佇むしかなかった。
きっかけは、石川大徳の粘り。浦項の左サイドバック=キム・グァンソクにプレッシャーをかけることで、相手は困惑しプレーが雑になる。そこを見逃さなかったのが、桑田慎一朗だ。
カミソリのようなカット。サポートした李忠成につなぐ。この瞬間、明らかに浦項は慌てた。李に二人が引きつけられ、正面にスペースができた。そこを見逃すような背番号9ではない。横パス。紫の風が飛び込み、何の躊躇もなく右足を振り切る。ゴールだ。19歳のヒーローは、腕を天に突き上げ、コーナーフラッグへと走る。そこに次々と選手が飛びついた。大崎淳矢、ACL初得点だ。
この「40秒ゴール」がこの試合の流れを決めたと言っていい。4分、ミスから相手に同点弾を献上したが、それでも先制点の余韻は若者たちの中から消えなかった。
「俺たちはやれる」
そんな確信のもと、彼らは躍動した。ACL王者という名前も、眼前にいる韓国代表選手たちの迫力も、関係なかった。ペトロヴィッチ監督の「何も怖れることはない」という言葉を信じて、前に出た。
32歳の中島浩司を除いた10人の平均年齢は21.2歳。10代の選手も大崎の他、岡本知剛がいる。今季公式戦初先発が7人。間違いなく、経験は少ない選手たち。しかし、彼らの心に残っていたであろうわずかな不安は、大崎のゴールが吹き飛ばした。岡本と丸谷拓也のダブルボランチが起点となり、クサビを次々に通す。そのボールを李がしっかりとおさめた瞬間、選手たちが爆発的に走り出す。広島らしく後ろから走り込んで数的優位をつくりだす攻撃が次々に引き出された。
「相手を圧倒する試合がしたい」とワルデマール・オリベイラ監督(浦項)が語っていたが、展開はまるで逆。苛立った王者はラフプレーを若者たちに仕掛け、味方同士が言い合いを始めるなど、チーム全体が動揺した。
28分、槙野智章の強烈なミドルでCKを奪う。キッカーは清水航平。グイッと曲がり落ちるボールは、フリーの李にピシャリと合って2点目。さらに42分、大崎のスルーパスに飛び出した桑田が落ち着いて決めた。44分、中盤での軽い守備からPKを与えてしまったものの、今季初先発に燃える中林洋次が見事に止める。経験に乏しい若者たちがほぼベストメンバーで臨んできたアジア王者を圧倒するという夢のような45分は、広島が3−1でリードするという信じがたいスコアを残した。
王者はプライドをかけて試合をひっくり返そうとする。雨のようにクロスを浴びせかけ、47分にはキム・ジェソンが2点目をゲット。62分、シン・ヒョンミンが30mの弾丸ミドルを叩き込んだ。王者は覚醒、広島の若者たちは疲労からガックリと運動量が落ちる。逆転も時間の問題かと思わせた。
ペトロヴィッチ監督はここで佐藤寿人・高柳一誠・山岸智の3人を一挙に投入し、事態の打開を図った。「(前半の内容に)ベンチに座っていた選手はみんな刺激を受けていた」という高柳一誠の言葉どおり、3人は激しくピッチを駆け回り、運動量を取り戻した。試合のペースを司る振り子は再び、広島に揺れた。
80分、オーバーラップした中島が高柳にパス。胸トラップした高柳は、ボレーで前に。中島が飛び込み、キム・テスのファウルを誘う。PKだ!
ボールをセットしたのは佐藤。ゆっくりとした助走。ん?いつものスタイルではない。チョン。足先で前に蹴る。走り込んだのは、槙野だ。強烈なシュート。ネットを揺らした。勝ち越しだ!!!
実は試合後、記者団から「ルール上問題はないのか」という疑問が相次いだ。しかし、槙野はルールを確認しており、浦項の指揮官も「問題はない」と発言。ペトロヴィッチ監督は「心臓が止まるかと思ったが、彼らのアイディアを尊重したい」と笑顔を見せた。
ロスタイム、浦項の猛攻をしのぎきり、広島は王者を撃破した。ホイッスルと共に倒れ込んだ石川をはじめ、全員が持てる力を全て出し切った。ふだんはベンチに座っている選手が自分たちのサッカーを演じきり、彼らが苦境に陥った後は主力が投入されてサポートする。見事な、本当に見事な勝利をつかんだ。
「(広島の)サテライトも捨てたもんじゃない」
李忠成はヒーローインタビューで叫んだ。この試合は、第2節神戸戦後、ペトロヴィッチ監督が「ベンチの選手たちは主力にオンブにダッコの状態だ」と言い放って奮起を促したことに対する、若者たちの返答だったのである。
以上
2010.04.28 Reported by 中野和也
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