スカパー！生中継 Ch184 15:50〜（解説：森山泰行、実況：加藤義久、リポーター：鈴江晴彦）
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札幌戦の勝利から、アウェーの福岡戦での勝利。今、岐阜はようやく勢いを掴むことが出来た。特に前節の福岡戦の勝利の持つ意味は大きい。福岡は倉田安治監督の古巣であり、かつてのホームで、古巣相手に挙げた白星は、倉田監督に確かな手ごたえをもたらしたことは容易に想像が付く。
この勢いを殺さないためにも、3連勝をかけた重要な戦いとなる東京V戦。この試合はクラブにとっても、記念すべき試合となる。それはこの試合から国体開催のために改修が進んでいる長良川競技場から、そのすぐそばにある長良川球技メドウでの開催となるからだ。
長良川球技メドウといえば、岐阜における高校サッカーなどアマチュアサッカーの『聖地』であり、かつて岐阜も県リーグ、地域リーグ、JFLとホームとして利用し続けた、言わば『原点』の場所。この長良川メドウの初戦を飾って、今後、ここが相性のいいスタジアムになるためにも、ここはきっちりと勝っておきたい。
この試合のポイントは、岐阜の佐藤洸一と嶋田正吾の縦関係の2トップが、いかに土屋征夫と菅原智の両CBのギャップを利用して、前線で起点を作られるかにある。札幌戦、福岡戦を見ても、彼らが前線で起点を作り、ボランチの菅和範、永芳卓磨と西川優大の両サイドハーフがバイタルエリアに飛び込んで、攻撃に厚みをもたらすことに成功した。
札幌戦前までは守備に意識が行き過ぎて、中盤が間延びし、攻撃面での手詰まり感が露見していた。しかし、このままではいけないという危機感がチーム全体を包むようになり、札幌戦ではより攻撃を意識して戦ったことで、いいきっかけを掴むことが出た。
札幌戦での変化は、選手の意識だけでなく、選手の配置にも現れた。岐阜において不動の存在であった橋本卓ではなく、菅をボランチに起用し、永芳を左サイドハーフに置いた。永芳と西川は筑波大の同期で、お互いのプレースタイルを理解しているからこそ、彼らが両サイドでうまくバランスを取りながら、永芳のパスセンス、西川のアタッキング能力とキープ力をより生かせるポジショニングを取り合い、攻撃に厚みをもたらした。
左サイドでは長短のボールが安定供給され、右サイドでは高い位置でボールキープできる状況が生まれ、ここに嶋田が佐藤を起点に、比較的フリーに動き回り、菅が昨年同様に攻撃的ボランチとして攻撃に絡めるようになったことで、攻撃時のお互いの距離感がこれまで以上に近くなり、より攻撃のバリエーションが増えた。守備時は【4-4-1-1】に、攻撃時は【4-1-4-1】に。このシフトチェンジがスムーズに行ったことが、この連勝に繋がっている。それゆえに前述したように、まずは相手のCBの位置で起点を作ることが出来れば、この2戦同様に厚みのある攻撃が展開できるだろう。
東京Vは個人的に高木兄弟に注目したい。彼らは東京Vジュニアユース時代から取材をしており、U-16、U-17、U-18日本代表でも取材をし続けてきている。彼らが今、兄弟でスタメン出場を勝ち取っている。弟・善朗は小柄だが、フィジカルがしっかりしており、高いボール奪取能力と、少ないステップからの正確なロングキックが魅力。兄・俊幸は父親譲りのスピードを誇り、裏への抜け出しがうまいFW。今はまだプロの壁に苦しんでいる感はあるが、慣れてくれば持ち味を発揮してくるだろう。もう開幕から5試合を経験しているだけに、壁を突き破る瞬間が訪れるかもしれない。これまでの彼らの成長を見てみると、いつきっかけを掴むかを期待したい。正直、この試合で掴むのはちょっと勘弁して欲しいが…。
いよいよメドウでの開幕戦を迎える。今季2度目の『開幕戦』。岐阜のこれまでの歩みを知る場所で、より成長した岐阜が見せられるように、過去2戦の勢いそのままに戦ってくれることを期待したい。
以上
2010.04.17 Reported by 安藤隆人
