4月14日（水） 2010 ヤマザキナビスコカップ
仙台 1 - 1 京都　（19:01／ユアスタ／9,307人）
得点者：5' 宮吉拓実（京都）、51' 太田吉彰（仙台）
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戦前の予想どおり、リーグ戦とは変わったメンバーで臨んできた両チーム。直近のリーグ戦から、仙台は８人、京都は６人スタメンを入れ替えた布陣が、ユアテックスタジアム仙台でのキックオフ時に並んだ。

となると、そうした戦力がいかに試合に溶け込むかが、まずは立ち上がりで相手の機先を制するのが鍵となるのだが、内容でも数字の面でもそれが叶ったのは京都のほうだった。５分。京都のシンプルなクリアボールを仙台守備陣が跳ね返すが、ルーズボールはハーフウェイライン付近の角田誠へ。
この際、仙台の守備はボールへのプレスがかからない状況ながら、DFラインは中途半端に高さを維持しようとしていた。そこで京都の「立ち上がりにはシンプルなプレーを」（角田）という狙いがはまる。角田がすぐに仙台の最終ライン裏へ縦パスを放り込むと、タイミング良くDFライン裏へ飛び出した宮吉拓実が独走。飛び出しに躊躇が見られたGK桜井繁の鼻先で浮かせたシュートが決まり、先制点は京都にもたらされた。J１の第５節、C大阪戦でリーグ戦初ゴールを決めたばかりの弱冠17歳の新鋭は、途中出場が多いリーグ戦と異なり、ヤマザキナビスコカップでは２試合連続のスタメン出場というチャンスを与えられていたが、加藤久監督の期待に見事応えてみせた格好だ。

一方、先制点を許した仙台は「やはり慎重に入るべきだったのが、そうすることができなかった」（この試合が今季公式戦初出場となった斉藤大介）と悔やむ。その後も、ピッチの一部にだけ原因が集約されているわけではないのだが、斉藤に高橋義希が組んだダブルボランチが、ポジショニングにおいてなかなか適所を見つけることができず、２人で前に出ては跳ね返されたボールが彼らの後方で待っていた形の京都MF陣に簡単に渡り、京都のカウンターの呼び水となってしまうなど、失点後もしばらくバランスの悪い戦いぶりが続いた。また攻撃に出ても、意思の疎通の問題なのか、攻撃陣同士の距離が遠く、分厚い攻めには至らない。
だがそんな中でも、宮吉同様、リーグ戦では途中出場のみながらヤマザキナビスコカップでは２試合連続スタメンを与えられた太田吉彰は、持ち味を発揮しようと奮闘していた。開始７分に放った、右ポストを直撃したミドルをはじめ、サイドでボールを受けての鋭いクロスや、カウンターの起点となるスピードなど見せ場を作る様が。

そして後半、同点ゴールはその太田が決めた。
京都が、前半の仙台がそうだったように、後半の立ち上がりで中盤の守備バランスが崩れ、仙台がそこを上手く突けた形だった。左サイドの前方で、足元に縦パスを入れられた中島裕希が上手くボールを処理して前を向く。こうした「前線に打ち込むパス」をなかなか入れられなかった仙台だが、逆に言うと、それを入れさせてしまうルーズさがこの時間にだけ見られた京都としては、対処が難しい状況だった。中島はペナルティーアークの太田を見つけ横パス。このパスが通った時点で守備陣形が崩されていた京都は、太田に対してチェックに行ける位置に唯一いた左サイドバック中村太亮が、太田のフェイントに簡単に引っかかってしまう。フリーとなった太田はGKの位置を見て冷静にゴール右へとシュートを流し込んだ。

その後は両チーム、主にカウンターで相手ゴールを脅かす展開となる。ただそれは、攻から守への切り替えでいささか緊張感を欠いていたという両チームの状況から生まれた流れというところもあり、また双方ともに決定機をものにできないなど、見ている者を完全に満足させる出来ではなかったかもしれない。試合はこのまま１−１で終わり、双方ともにヤマザキナビスコカップでは２試合連続、勝点１を分け合う形となった。

とはいえ新戦力の発掘という点では、双方のゴールを決めた宮吉、太田の他に、両監督がそろって会見で何名かの選手を名指しし、期待をかけていることを明かすなど、収穫はあった様子。ともに中２日でリーグ戦が控えているが、仙台は清水戦の大敗直後、京都は２連敗中という悪い流れを、今日ピッチに登場した選手の中から変える者が現れるのかに注目したい。

以上