4月11日(日) 2010 J2リーグ戦 第6節
栃木 0 - 0 草津 (16:03/栃木グ/4,098人)
スカパー!再放送 Ch181 4/12(月)15:30〜(解説:田中真二、実況:篠田和之、リポーター:萬代裕子)
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試合後、栃木の関係者から「打ち合いにしたかったですね」という慰めの声をかけてもらい、思わず「すみませんでした」と答えてしまった。栃木・松田浩監督は「今までうちのチームがこれほどリスペクトされたことはなかった」と草津戦を振り返った。
北関東ダービーで栃木へと乗り込んだ草津は、格上・栃木の猛攻をじっと耐え忍んで勝点1という結果を手にした。今季初の無失点で開幕5連敗は止めたものの、ダービーに相応しい戦いだったかは疑問が残る。試合後、草津ゴール裏にはまばらな拍手が起こると同時に、大きな失望感も漂っていた。
栃木相手に守備的な戦いを演じた草津だが、最初から守りに行ったわけではなかった。4−2−3−1の布陣を選択した草津は、トップ下にMF櫻田和樹を配置、ギャップでパスを散らす役割を担う。7分には松下裕樹がミドルを打つなどチームの特長が出たシーンもあったが、しだいに栃木の圧力に屈する時間帯が増えていく。「ボールがつなげなかったので守備に力を入れざるを得なかった」(櫻田)。攻撃の任務を受けてピッチに立った櫻田が守備に追われた時点でゲームの優劣は決まりつつあった。
前半、草津が放ったシュートは松下が放ったミドル2本のみ。細かいパスをつないで栃木ゴールへと迫る草津らしい場面も何度か作ったが、イージーなミスも多く主導権を引き寄せることはできなかった。草津は、ロボ、崔根植にそれぞれ決定機を許し、肝を冷やしたがシュートミスにも助けられて前半を0対0で乗り切った。
それでも草津は後半開始早々にリズムをつかみかけた。後半10分まではボールが動き、チームとして連動する形がみえていた。だが、54分に高田保則の決定的なシュートがクロスバーを叩くとチームは失速。運動量の低下とサポート意識の欠如により選手は孤立した。パスコースが限定され、そのパスを栃木にカットされた。カウンターでボールを受けても次の一手に時間を要しシュートまで持ち込めなかった。
68分、草津は切り札ラフィーニャ投入して勝負に出る。起用直後こそは流れが変わったが、それも時間限定で、ゲームの大勢を変えるまでには至らなかった。総シュートは栃木の14本に対して、草津は5本。そのうち2度は超決定機だったが決めきれず、ゲーム終盤は栃木の攻撃を凌ぐのが精一杯。ロスタイムにはDF尾本敬を送り込む手堅い采配をみせ、勝点1を奪いにいった。指揮官は「勝点1を取るために逃げ切りを図った」と語った。
草津は栃木に8回(手元集計)の決定機を与えたが、GK北一真を中心とした決死の守備によってゴールを守りきった。田中淳、梅井大輝、御厨貴文の粘りは評価できる。「今日はチーム全体が集中力を保って守り抜くことができた。今後は攻撃陣の守備負担を少なくして攻撃に力を注げるようにしたい」(GK北)。草津はプライドを捨ててまで拾いにいった勝点1を次に活かさなければいけない。
今回の北関東ダービーで感じたことは、栃木の進化の胎動だ。それはチームだけではなくフロント、サポーターなどクラブ全体から感じ取ることができた。昨季、J2へ参入した栃木は次のステージへ向かって歩き出している。ダービーで問われるのはチーム力だけではなくクラブ力だ。J2においては先輩にあたる草津だが、栃木から学ぶべきところは少なくない。ライバルクラブの存在を刺激にして切磋琢磨することがクラブの未来へとつながっていく。
以上
2010.04.12 Reported by 伊藤寿学
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