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【J1:第6節 広島 vs 川崎F】レポート:川崎Fが描いた物語に自らはまった広島。屈辱的な完敗に加え、青山敏弘が再び負傷というショック。(10.04.11)

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4月10日(土) 2010 J1リーグ戦 第6節
広島 0 - 3 川崎F (14:03/広島ビ/14,094人)
得点者:6' レナチーニョ(川崎F)、50' 黒津勝(川崎F)、79' ヴィトールジュニオール(川崎F)
スカパー!再放送 Ch308 4/12(月)09:30〜(解説:福西崇史、実況:八塚浩)
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この試合の物語を書くのは、それほど難しくない。広島が自ら川崎Fにゴールをいくつも献上し、そのまま自滅の道をたどった。ただそれだけのストーリーだ。

川崎Fは、自らは何も手を施す必要はなかった。自陣にブロックをつくり、広島の攻撃をバイタルエリアの外で弾き返す。あとはカウンターを発動させ、広島の守備陣に恐怖感を植え付ければいいだけのこと。広島は「自分で自分のゴールにボールを入れた」とペトロヴィッチ監督が嘆くようなミスを繰り返して、膝を屈した。物語の最後は、サポーターのブーイングである。
ストーリーを決定づけたのは、立ち上がり早々の失点だ。左サイドでのパス交換を狙われ、ボールを奪われた。「ファウルのようにも見えた」と佐藤寿人は語るように、確かに微妙だった。しかし、レフェリーの笛が鳴るまでプレーを続けることは、基本中の基本。そこを怠った広島に対し罰を与えるかのごとく、サッカーの神様はレナチーニョのシュートをゴールに導いた。
「アウェイで勝点を積み重ねる」(高畠監督)ことを至上命題としていた川崎Fは、もう無理をする必要はない。広島にボールを回すスペースを与えても、最後はやらせなければいい。「すばらしいボール奪取能力を持つ」と指揮官が絶大な信頼を寄せる稲本潤一を中心に、川崎Fは広島のクサビのパスを跳ね返した。
広島のサッカーで最大の特徴は「緩急」である。そのリズムを入れ替えるのは、横パスの連続から機を見て入れられる縦パス。そこを川崎Fは狙っていた。佐藤寿人にボールをさばかせない。ボールを奪えなくても後ろに下げさせれば、それでいい。無理をしてボールをとりにいかず、ただ裏に抜けさせることだけを警戒した45分間。ボール支配率もシュート数も広島が上だが、ペースは完全に川崎F。実際、広島が得た決定機はゼロで、裏に抜けた回数も高柳一誠が1度だけで、それも井川祐輔が対応できた。広島はただ、川崎F守備陣の前でボールを動かすだけに終始してしまった。

後半開始早々、またも広島はやってはならないミスを犯してしまう。
広島陣内左サイドのFK。壁の準備に戸惑っている間、素早いリスタートを仕掛けられる。意表をつかれた広島守備陣は、黒津勝のドリブルにアプローチすることができない。ほぼフリーな状況で左足を振り切られ、ポッカリとあいたニアポストをかすめるようにボールはゴールに吸い込まれた。
人数はそろっているのに、あっさりと奪われた致命的な2失点目。ケガのため試合を欠場している中村憲剛の第二子誕生を祝うゆりかごダンスが踊られている中、広島の選手たちはただ呆然と立ち尽くした。

55分、左膝半月板の故障から約半年ぶりの復帰を果たした青山敏弘が、登場する。「広島のエンジン」の復活に、沈んでいた広島ビッグアーチのスタンドはようやく盛り上がった。いきなりドリブルを仕掛けてFKを奪取。さらにペナルティエリアの外から強烈なミドルを発射。川島永嗣のビッグセーブに弾かれはしたが、前半の広島になかった攻撃を仕掛ける背番号6にスタンドは熱狂する。やはり交代出場の李忠成が決定機を迎えたこともあり、「もしかしたら」の予感がスタジアムに漂った。
しかし、槙野智章がドリブルで持ち上がったところを井川に奪われ、ヴィトール・ジュニオールに独走を許して3点目を失う。このシーンもまた、川崎Fにとっては事前に描いていたとおりの「作品」。ボール支配は広島に許しても、ゲームのコントロール権を握っていた川崎Fにとって、ある意味では昨年の「7−0」の試合よりも、危なげのない勝利だったかもしれない。あの試合は10人の広島が仕掛ける捨て身の攻撃の前に予断の許されない闘いが続いていたし、点差が開いても広島の攻撃を何度もギリギリでしのぐシーンも見られたからだ。

しかも、広島にとってショックなのは、青山が試合後に左膝の違和感を訴えたことだ。「検査結果を待つ必要があるが、楽観視はできない」とペトロヴィッチ監督は言う。その表情は完敗に加え「愛弟子を再び失ったかも」というダブルの衝撃に打ちのめされていた。「ケガ人の復帰にもようやく目処がたった」という高畠監督の明るさとは、何もかも対照的だった。

試合直後、広島の選手たちはそのまま新幹線に飛び乗った。火曜日に行われる山東魯能とのアウェイ戦に臨むためだ。ショッキングな敗戦+青山再離脱という「事件」を癒し、次へと向かうための英気を養うには、あまりに時間がない。しかし、それでもプロである以上、闘いに挑まねばならないのである。同じようにACLでの生き残りを賭けた決戦を水曜日に控える川崎Fもまた、同様に「時間はない」のだ。

以上

2010.04.11 Reported by 中野和也
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