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【J2日記】福岡:駒沢オリンピック記念公園での出来事(10.04.07)

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(C)中倉一志

東京Vサポーターと福岡サポーターが入り乱れて円陣を組んで互いの健闘をたたえ合う。

緑のレプリカユニフォームを身にまとい、タオルマフラーを掲げるサポーターが口にするのは「博多の男なら、気持ちを見せろ」のフレーズ。そのエールに応えてネイビーブルーのサポーターが「レッツゴーヴェルディ!レッツゴー!」とエールを返す。そして、東京Vサポーターと福岡サポーターが入り乱れて円陣を組んで互いの健闘をたたえ合う。満開の桜が咲き誇る駒沢オリンピック記念公園での出来事だ。

4月4日、同公園内にある陸上競技場でJ2第5節東京V−福岡の試合が行われた。試合結果は1−1のドロー。ともに勝点2を落とした。しかし、前節の柏戦に引き続き、豊富な運動量とスピードを発揮してアグレッシブに戦った東京Vは、戦うベースになる気持ちを取り戻し、福岡は、自分たちの良さを消された中でも勝利に対する執念を見せた。ともに手にした勝点1は、これからの戦いに向けて大きな力になるものだった。

そんな戦いを支えたのは両クラブのサポーターだった。
苦しい状況を抜け出して今シーズン初勝利を手にするために、キックオフ前から東京Vサポーターは熱い気持ちを声援に変えて選手たちに送り続けた。「チームとともに戦うんだ」。その気持ちは、相手だけではなく、強風と荒れたピッチとも戦わなければならない選手たちに勇気を与えた。勝利まであと一歩に迫ったところで追いつかれた時も、彼らの声援は更に大きくなって選手たちの背中を押した。

故郷から遠く離れたアウェイで戦うチームに、来られない仲間の気持ちも背負って声を送り続けたのは福岡サポーターだ。前半30分過ぎから続く東京Vのリズムの中での戦いは重苦しい雰囲気に包まれていた。流れを変えられないままに過ぎる時間。敗戦を覚悟しなければいけない試合でもあった。けれども、彼らの心の中にはどんな時も勝利の2文字しかない。その声が一瞬のチャンスをものにし、その声を背に受けて、選手たちは最後まで勝利を目指して戦い続けた。

リーグ戦はチームだけで戦っているのではない。彼らを支えるサポーターもまた、チームとともに戦っている。選手とは立場が違う。ピッチの中で一緒にボールを追いかけることは出来ない。だからこそ、思いの丈の全てをピッチに送り、チームの勝利のために相手サポーターと向かい合う。そこにあるのはもうひとつのJリーグの戦いだ。
戦いは試合当日だけではない。次の試合までの1週間、チームの勝利を願い、勝利のために気持ちを高めながら日々を過ごす。ややもすれば、どこへ行っていいのかわからなくなる時もある。しかし、そんな思いを跳ね返して前へ進むパワーを蓄える。
そして、試合当日は勝利だけを信じてチームとともに戦う。一歩もひるむことはできない。瞬間でも気を許せば、その戦いに負ける。「集中を切らすな。最後まで声を挙げ続けろ」。それが勝利につながると信じてサポーターは90分間を戦う。

90分後、勝利は大きな喜びをもたらすが、敗戦は悔しさしか残さない。引き分けた時は、どう気持ちを整理すべきかと悩む。だが、サポーターは戦う相手同士ではあっても、決して敵同士ではない。相手に対するリスペクトと、絶対に負けないという強い気持ちと、そして、自分たちのチームに対する誇りを持ち、全ての力を声に代えて90分間をぶつかり合った時、互いの思いはシンクロし、勝敗とは別の思いが生まれる。

試合が終われば、互いにサッカーを愛し、おらが町のクラブを愛する仲間同士。福岡サポーターが、自分たちのそばで花見に興じていた東京Vサポーターを訪ねたのは自然な流れ。そして、東京Vサポーターは福岡のチャントを歌って応えてくれた。
自分たちとクラブがつながるだけではなく、Jリーグの全てのサポーターともつながり、その輪が広がっていく。それもJリーグがあればこそだ。そしてこの日、両サポーターは互いの健闘を誓い合って別れた。もちろん「次は負けないぞ」という思いも強くして。

以上

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2010.04.07 Reported by 中倉一志
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