スカパー！生中継 Ch183 12:50〜（解説：野々村芳和、実況：岡崎和久、リポーター：藤井孝太郎、ピッチ解説：大森健作）
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３月最後のゲームとなるＪ２第４節。なかなか春の訪れが実感しにくい北海道の札幌ドームでは札幌と岡山が対戦する。
ホームの札幌は前節、敵地で栃木と対戦し１−０のスコアで今季初勝利。成績を１勝１敗１分の五分に戻している。前々節の福岡戦はホームで戦いながらもまったく良いところがなく０−３で敗れていたため、連敗をするようであれば一気に流れが悪くなる可能性もあった。しかし、栃木戦では最少得点差ながらも完勝と言える内容での勝利。決定機を複数回逃すという課題が残ったもののピンチを迎えることはほとんどなく、チームは落ち着きを取り戻すことに成功したと言っていいだろう。「札幌はいい選手が揃っているので、普通に戦うことが一番大事」と新加入の李漢宰が評するように、落ち着いたプレーができればそれなりのパフォーマンスを発揮できるという部分はある程度証明できた。
ただし、「だからこそ、次の試合が大事になる」と話すのはキャプテンの石川直樹。そう、札幌が目指すのは自分たちのポテンシャルを示すことではなく、あくまでも結果を出してＪ１昇格を果すということ。今季初勝利を収めて成績をフラットに戻したいま、白星を重ねることで流れ生み出していきたい。
一方、札幌ドームに乗り込む岡山。前節はホームで熊本と０−０で引き分け、こちらも１勝１敗１分の成績としている。そして、ドローに終わった試合ながらも岡山が目指しているサッカーがしっかりと発揮されており、手応えは充分に掴んでいると言っていい。
今季からは影山雅永監督が就任し、２トップや１トップを使い分けて攻撃のバリエーションを増やしながら新たなチーム作りを行なっているが、昨季の生命線となっていたハードワークという部分は不変。熊本戦を「最後の最後まで走りきった」と影山監督が評するように、90分間を通じてタフに走り回るスタイルで勝機をうかがう。
前線の西野晃平にクサビを当て、その落としから小寺優輝、岸田裕樹らが小気味よいパス交換で相手守備陣を崩しにかかる。ハードワークをベースとしながらも、アタッカー陣の技術とアイデアがバランス良く織り交ざっており、札幌の石崎信弘監督も「面白いチーム」と警戒を強めている。
そんなチーム同士が戦うこのカードの注目点は、なんと言ってもパスワークの部分だろう。双方のハードワークも注目に値するのかもしれないが、現代サッカーにおいてハードワークというのはもはや不可欠なもの。ならば、ボールゲームの醍醐味である部分にあらためて視線を注いでみたい。
岡山のそれは前述したとおり、高い位置で拾ったセカンドボールをワンタッチ、ツータッチでスペースに配球して突破を狙っていくもの。なかでも小寺がペナルティーアーク周辺でボールを持った際にはスルーパス、ドリブル突破、シュートなど様々なプレーが見られるはずだ。
対する札幌はショートカウンターも武器ではあるが、後方からしっかりと組み立てていくプレーもまたストロングポイントとなる。マイボール時に守備的ＭＦが最終ラインに加わり、左右サイドバックが大きく張り出して高い位置へと進出していく。そこからボランチを経由したり、あるいはサイドバックが起点になったりと、あらゆる形でボールを運べるのが今季の札幌の強みである。
Ｊ２では手数をかけずシンプルに縦へと運ぶプレーが有効とされがちであり、そしておそらくそれは正しい。だが、そういったダイレクトプレーをより効果的にしていくためには、パスワークの成熟度も間違いなく必要だ。その意味でも、この両チームのバリエーション豊富なアタッキングは観衆の視線を集めそうである。
ただし、どれだけいい形でチャンスを作りながらも、シュートが決まらなければ意味はない。「急がば回る」プレーに光を与える意味でも、ストライカーの活躍もまた、注視すべきだろう。
以上
2010.03.26 Reported by 斉藤宏則
