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【AFCチャンピオンズリーグ2010 川崎F vs メルボルン】レポート:4-0の大勝で生き残った川崎F。しかし支払う必要のない大きすぎる代償が影を落とした。(10.03.24)

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3月23日(火) AFCチャンピオンズリーグ2010
川崎F 4 - 0 メルボルン (19:00/等々力/9,728人)
得点者:3' 鄭大世(川崎F)、11' 黒津勝(川崎F)、22' レナチーニョ(川崎F)、90' 谷口博之(川崎F)
ホームゲームチケット情報 | 決勝戦は11月13日(土)に国立競技場で開催!
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負けられない川崎Fにとっては幸先のいいスタートだった。試合開始からわずかに3分。レナチーニョが左CBのバルガスと入れ替わると、そのバルガスの緩慢なプレーもあって優しいパスを鄭大世に。角度のない難しい位置からのシュートを鄭大世が確実に決めて川崎Fが先制点を奪う。

波に乗る川崎Fは11分にも追加点を手にする。FKから黒津勝が「イメージしていた形」だったと話すバックヘッドを決め2点目。これまでのACLでの2連敗が嘘のような立ち上がりに川崎Fが序盤からペースを握る展開となる。

川崎Fのスカウティングによると、メルボルンというチームは相手に合わせてくるスタイルを取るのだという。相手チームのFWの数に合わせディフェンスラインの編成を変える柔軟さを持つという。しかしこの試合を見る限りでは彼らが持つはずのそうした特色は全く出せていなかった。メルボルンが彼らの左サイドの守備に問題を抱えていたのは明らかだったが、対応が後手を踏んでいたからである。左サイドバックのポジションに入っていた19番のバーガーは、川崎Fの19番森勇介に面白いように抜かれ続けた。

メルボルンは、先週の土曜日にオーストラリアのレギュラーシーズン最後の大一番であるグランドファイナルを戦い、敗れていることも影響したのかもしれない。また実際にメリック監督は、フィットネス(体調面)に問題があったと試合後に語っていた。コンディション面での問題と共に、天候も彼らにとってはハンディになった可能性がある。メルボルンからやってきたというサポーターによると、今現在メルボルンは夏の終わりではあるが依然として気温は高いという。またメルボルンのホームスタジアムはスタジアム全体が屋根で覆われており、雨の試合はアウェイで経験する2〜3試合ほど。しかし実際にはほとんど経験がないという。12.6度の気温に、雨と強風が吹き付けるコンディションは、メルボルンの選手には難しいものだったのかもしれない。

調子の上がらないメルボルンに対し22分にはレナチーニョが3点目を決め、試合は安全圏へ。グループリーグでの得失点差を考えれば、取れる相手からゴールを量産しておくというのはセオリーである。だがその一方で、川崎Fは週末に清水戦が控えており、さらに来週の週中にはメルボルンとのアウェイマッチが組まれており、無理する必要は全くなかった。

そういう状況の中、残念なプレーが出てしまった。鄭大世にマークについていたCBのレイヤーとの競り合いは厳しいものだったのかもしれない。しかし、それにしても、この試合を吹いていたサウジアラビア人レフリーの厳しめの判定基準を考えれば、ある程度の自制が必要だったのは自明だった。ましてやチームは3点をリードしていたのである。

鄭大世はすでに3-0になっていた34分にレイヤーと小競り合いを起こして1枚目のイエローカード。さらに前半の45分間が経過したロスタイムに、削られて倒れ込んだところを無理やり引き起こされて激昂。相手に足払いをかけて一発退場の判定を受けてしまった。

「(国際大会では激しいプレーは)日常茶飯事で、それに乗ったら120%自分が悪い」と反省する鄭大世だったが、彼にとっても、チームにとっても大きな代償を求められる行いだった。

「世界でも戦えるくらいのフィジカルを持っている人ですし、困ったときにロングボールを出せる選手でしたからね」と鄭大世について語るのは、左サイドを面白いように使っていた小宮山尊信。そして最前線のターゲットマンがピッチから消えた後半はチームにとって難しいものとなるのは必然的な流れだった。

前半は森のクロスを小宮山が逆サイドで拾う、という狙い通りの形が幾度となく作られ、そうした戦いを「楽しめた」と話していた小宮山も、そしてチーム全体としても、攻勢に転じた後半のメルボルンを前に守備に追われる時間帯が長くなる。

ただ、守勢に立たされながらも試合終了間際に4点目が決まり、試合結果だけを見れば完勝だった。しかし、その一方でどこか釈然としない空気に包まれたのは、後半の内容の悪さに主因があるのは明白だった。後半の難しさの理由がどこにあるのかは、実際のところ断言できる訳ではない。しかしフィールドプレーヤーがひとり少ないという状況がチームの戦いを難しくさせる原因のひとつになったのは確実であろう。

鄭大世はこの試合の結果、最低でも2試合の出場停止が見込まれている。1枚目のイエローカードによる累積で1試合。さらに一発レッドによる出場停止で1試合。ここにさらにAFCの規律委員会によるペナルティが加えられる可能性もある。ケガ人が続出する厳しいチーム環境の中、鄭大世の不在は大きすぎるペナルティになりかねない。ただ、希望があるとすれば、指揮官が常に前を向いているという点であろう。「クドイことは言わない。わかっているだろう」と鄭大世を諭したという高畠勉監督は、監督会見で「若い選手たちを使えるので、そこの成長に期待したいと思います」と現状を前向きに捉える発言を残している。「人生、苦しい時が登り坂(苦しいのは坂を上っているから。坂を上りきれれば高みに、つまり成長しているという意味)」という言葉を座右の銘にする高畠監督らしい考えだろうと思う。

勝点3と引き換えに支払った代償はあまりに大きい。しかし、鄭大世にはこの試合を糧にさらなる成長を期待したいと思う。そしてこの苦境を「チャンス」として捉える若手選手の台頭に期待したいと思う。いずれにしても川崎Fは、グループリーグ突破に向けて、生き残った。

以上

2010.03.24 Reported by 江藤高志
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