3月21日（日） 2010 J2リーグ戦 第3節
愛媛 0 - 0 水戸　（16:05／ニンスタ／3,743人）
スカパー！再放送 Ch183 3/22（月）22:30〜（解説：大西貴、実況：三宅きみひと、リポーター：重橋秀香）
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強風が舞い、深い芝というクセのあるピッチコンディションではあったが、その難しさを感じさせなかった愛媛と水戸。もちろん、ミスが無かったわけではないが、守備に回るとルーズボールをしっかり追った両チーム。そして攻めに転じると素早くボールを動かし、ゴールに向かう。互いに意図を持ってアクションを起こし、隙をうかがう展開で、どちらが先制してもおかしくない、緊迫した状況でゲームは動いていった。

その中で、ひとりで7本のシュートを放つ積極性を見せたのが愛媛のFW杉浦恭平。立ち上がりからミドルレンジで果敢にゴールを狙うと、前半10分には同じような位置からFW福田健二へラストパスを送る。惜しくもゴールは奪えなかったが、ディフェンスラインを引き出すミドルシュートと、そのシュートを伏線にした裏を突くパスにはアイデアがあったし、福田もその意図を見逃していなかった。
また、23分にはDF関根永悟が相手の前でパスカットに成功すると、瞬時にラインの裏へパスを送る。ここでも、福田が絶妙の動き出しでセンターバックの間に入ると、そのままループシュート。わずかに枠をとらえることができなかったが、ゴールのにおいは感じさせた。

一方の水戸も、短いパスを素早く回して愛媛のゴールに迫る。35分にはFW吉原宏太を起点にして波状攻撃。そして37分に迎えたコーナーキックのチャンスでは、DF藤川祐司のヘディングがバーを叩き、こぼれ球を拾うと今度はDF作田裕次がフリーでヘディング。しかし、これはGK山本浩正の正面を突き、水戸もゴールを割れなかった。

ただ、後半に入ると愛媛はピッチを広く使い、速くボールを動かすことでよりポゼッション率を高めた。水戸の前線からのプレスが緩んだこともあったが、68分に片山真人が投入されるまで、愛媛がほぼ水戸の陣内でボールを動かしていた。速くボールを動かし、相手をずらしながらスペースを作り、そして隙を突いた愛媛だったが最後までゴールは奪えなかった。74分、関根とFW石井謙伍で右サイドを深くえぐり、再び石井がゴール前に飛び込んだ場面も水戸の体を張った守備に阻まれて、シュートを放つことはできなかった。

すると逆に水戸は、前節の甲府戦でも見せたように手数をかけず、愛媛のゴールに迫りチャンスを演出。FW小池純輝と吉原、片山の3人が絡み81分以降で3度の決定機を迎えたが、こちらもゴールネットを揺らすことはできなかった。「苦しい試合でもモノにしないと上にいけない」とDF大和田真史は振り返ったが、守勢に回った中でも勝機はあっただけに水戸にとっては悔やまれる勝点1だろう。

もちろん、愛媛にとっても水戸の2倍を越える15本のシュートを放ちながら、勝ち切れなかったことは悔やまれる結果。ただ、FWの3人で積極的に12本のシュートを放つなど、見せ場も少なくなかった。3試合でPKの1得点だけに止まっているが、確実にゴールには近づいている。これは水戸にも言えることだが、あとは自分たちの時間をより長く作り、ゴールへ向かう道を探し続けるだけだ。「まだ発展途上のチーム」と木山隆之監督は評したが、それは愛媛も同じ。今日の結果こそスコアレスドローだが、その内容を振り返れば両チームにとって未来のある、この先が楽しみなスコアレスドローであったことも間違いない。

以上

2010.03.22 Reported by 近藤義博