3月14日(日)J1 第2節 神戸 vs 広島(16:00KICK OFF/ホームズ)
スカパー!生中継 Ch181 15:50〜(解説:山野孝義、実況:三宅きみひと、リポーター:林智美)
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「昨年より、走れるようになってきた」。広島・ペトロヴィッチ監督が神戸の印象を問われた時、こんな言葉を選択した。「前線には、ポポをはじめとして茂木弘人・吉田孝行、そして開幕戦はベンチスタートだったが、大久保嘉人といったスピードを持った選手がいる。だが、やはり大きいのは、運動量だ。特に補強したエジミウソンやポポといった能力の高いタレントは、一方で『走れる』選手だからね」。
神戸が開幕戦で見せたサッカーは、基本的には昨年と大きく変わってはいない。チーム全体に浸透した高い守備意識をベースに、ボールを奪った後のスピーディなカウンター。京都戦では自分たちがやりたいサッカーを存分に披露した結果、必然の勝点3奪取だったと言っていい。日本代表の試合で負傷した大久保嘉人が途中出場を果たし、27分間出場したことも収穫だろう。
また、補強した選手が躍動したことも、神戸にとっては意義がある試合だった。特にポポは、プレシーズンで「ケガをしてしまい、練習試合も1試合しか出ていない」(神戸・三浦俊也監督)状況で、コンディションに不安を抱えながら開幕戦のピッチに立っていた。それが試合開始から攻撃の起点となって京都に重圧をかけ、51分には豪快なミドルを叩き込むなど2点をゲット。かつて柏で共にプレーしていた李忠成(広島)が「パンチ力ではJナンバー1だと僕は思う。彼のジャストミートしたシュートをGKがキャッチするのは、なかなか難しい」とポポのキック力を表していたが、その言葉を結果で表現した。
また、ボランチとして中盤に君臨していたエジミウソンも、好守に精力的なプレーを披露。優れたボール奪取能力とそこからの推進力の高さは大分時代から証明済みだが、新天地でも自分の能力を十分に機能させる柔軟性も披露。ポポの2点目はボールを奪ったエジミウソンが朴康造に通した見事なスルーパスから生まれている。昨年、この位置には金南一がいたが、彼の退団の穴など全く感じさせないハイパフォーマンスで勝利に貢献した。
ただ、三浦監督にとって、開幕戦でのメンバーは決して「ベスト」ではない。プレシーズンではずっとレギュラー組で使われていた都倉賢はベンチにも入れず、9日に行われた練習試合も欠場。ボッティは戻ってきたものの「まだフィットするには時間がかかる」(三浦監督)。もちろん、大久保も復帰はしたものの万全ではなく、ケガをした左足に痛みは残っている状態。「右足だけでも闘う」と意気込みを見せてはいるものの、厳しい状態には変わりはない。経験のある冨田大介や、近藤岳登、若手の大屋翼らも、まだ試合に出られる状況ではないようだ。彼らが戻ってくるまで「やれることをやるしかない」という指揮官の言葉から考えても、初戦の快勝に浮かれている状況ではない。
一方、ケガ人の多さでは広島も負けてはいない。盛田剛平・青山敏弘・ミキッチ・山崎雅人・桑田慎一朗・大崎淳矢。ストヤノフや森崎浩司、森脇良太らの復帰組もコンディションが発展途上だ。彼らに加え、佐藤寿人・西川周作の二人が代表に招集され、主力と目されていた選手たちの半分以上がキャンプで共に練習できていなかったことが、開幕の厳しさに大きく影響している。実際、ACLを含めたこの3戦、広島らしいコンビネーションを見せられる時間帯が限られており、多くの時間を守備に要していることからも、広島の苦しさが理解できるだろう。
水曜日の夜、アジアチャンピオンの浦項とハードな試合をアウェイで展開し、ダメージを受けている広島。ほとんど神戸戦に向けて準備をする時間はなく、またも迎えるアウェイ戦。コンディション面では明らかに神戸よりも厳しい状態にある。それでも「内容は良くなってきた」とペトロヴィッチ監督は語り、「重要なことは走ること。それができれば、あとは自ずからついてくる」とポジティブな想いを続けた。攻守の切り替えの速さに勝負をかける神戸も、運動量勝負となることは同様だろう。どれだけピッチで走ることができるか。ただ動くだけでなく「考えて走ること」ができるかどうか。それが、大きなポイントとなることは間違いない。
ちなみに、ホームズスタジアム神戸での広島戦は、ドラマティックな試合が多い。2007年は広島が2度勝ち越しながらその都度に神戸が追いつき、ロスタイムに大久保がPKを決めて勝利。2005年は神戸が一度は逆転しながら、73分・89分に佐藤寿人がこの日ハットトリックとなるゴールを決めて勝利を飾った。明日もまた、ホムスタ劇場で何かが起こる予感が漂う。
以上
2010.03.13 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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