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【AFCチャンピオンズリーグ2010 浦項 vs 広島】プレビュー:選手の入れ替えも示唆した広島・ペトロヴィッチ監督、厳しい連戦の中、アジア・チャンピオンに挑戦する(10.03.10)

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3月10日(水)AFCチャンピオンズリーグ2010 浦項 vs 広島(19:30KICK OFF/浦項)
試合速報ホームゲームチケット情報|決勝戦は11月13日(土)に国立競技場で開催!
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雨は16時過ぎにみぞれとなり、やがて「ひょう」に変わった。体感温度は0度に限りなく近く、風が強く吹き雨も降り込んでくる2階席の記者席に座っていると手や足の先、耳たぶがかじかんでしまった。明日は雪という予報で、しかもナイトゲーム。もっともっと寒さは深刻になる。

そうなると気になるのは、ピッチの状況だ。明日の会場となる浦項スティールヤードでの前日練習を終えた選手たちに話を聞くと、西川周作は慎重さを隠さないが、高萩洋次郎や森崎和幸は「大丈夫でしょう」。ペトロヴィッチ監督も「このままの状態なら、ウチのコンビネーションは出せる」と語っている。ただ、悪天候でもっと状態が悪くなると「ロングボール中心の展開になり、相手の高さが有利に働く」と指揮官は表情を引き締めた。

そのペトロヴィッチ監督は試合前日の公式会見で「明日はフレッシュな選手を起用するかも」とメンバーの入れ替えを示唆した。実際、練習では森崎浩司をボランチに下げ高柳一誠をトップ下に起用する形も試していた。ただ、現状で果たしてそれをやるかどうか。「そこは、まだ決めていない。(高柳)一誠、(森崎)浩司、イリアン(ストヤノフ)、(横竹)翔、そして李忠成。様々な選択肢はあるが…」と監督は言葉を濁す。

確かに明日は「勝てなければ、上(決勝トーナメント)にあがることが難しくなる」という森崎和の言葉どおりの意味を持つ試合だが、一方で広島は「10週間で16試合(アウェイ10試合)」という厳しいスケジュールの中にあることも、考え合わせる必要がある。現実に、佐藤寿人は足の負傷を抱えている。「大丈夫」とその状態については一笑に付したが、彼は少々無理をしても試合に出たいと考えるタイプ。さらに中島浩司も足の状態は万全ではない。中3日でアウェイ・神戸戦が待っていること、またコンディションが復活途上にある選手が多いことなどを考え合わせれば、監督が選手の起用法に慎重になるのは当然だろう。

浦項は、昨年度のアジア・チャンピオンだ。エースだったデニウソンは移籍したものの、かつてKリーグで119試合に出場し48得点をあげる実績を持つJOAO SOARES DA MOTA NETO(モタ)やベルギーやイングランドなどで活躍した経験を持つアタッカーSEOL KI-HYEON(ソル・ギヒョン)などの大型補強に成功。昨年のACLでMVPを獲得したNO BYUNGJUN(ノ・ビョンジュン)やクリエイティブな能力を持つKIM JAESUNG(キム・ジェソン)、さらにボランチのSHIN HYUNGMIN(シン・ヒョンミン)やセンターバックのKIM HYUNGIL(キム・ヒョンイル)など韓国代表選手を多数そろえた浦項は、まさに韓国のスーパーチームと言えよう。

初戦、浦項は前半ロスタイムに失点し、アウェイでアデレード・ユナイテッドに惜敗した。だが、3月6日に行われたKリーグの対大邱FC戦では、NO BYUNGJUNとブラジル人FW ALMIR LOPES DE LUNA(アウミール)のゴールで逆転勝利。勢いに乗っていると言っていい。SEOL KI-HYEONは前節やKリーグの試合でも欠場しているものの、ALMIRやALEXANDRO(アレキサンドロ)といったブラジル人FWの存在もあり、1人の主力が欠けたくらいで戦力が落ちるようなチームではない。

試合展開的には、広島がポゼッションを仕掛け、浦項が激しいプレスからボールを奪って速攻を仕掛ける形を狙うことが予想される。実際、昨年宮崎で対戦した時は、前半は浦項のプレスが功を奏し、あっという間に2点を奪った。しかし後半、そのプレスに慣れてきくた広島がパスを回し始めると浦項は対応できず、中島のゴールなどで3点を奪い、一気に逆転している。もちろん練習試合と公式戦では全く違うし、浦項は当時とは監督も選手も変わっているから、一概には言えない。しかし、ビデオで確認した限りでは、闘い方は昨年と大きく変わっていないという印象だ。

広島はトルコでも、レッドスター・ベオグラードやパルチザン・ベオグラード(共にセルビア)といったプレスの厳しい相手との闘いも経験してきた。その経験をしっかりと活かして主導権を握れるか。それとも、ホームで声援を受ける浦項の勢いに押されてしまうか。コンディションがまだ万全ではないだけに、厳しい展開が予想される。
ただ、広島にとっての心強い味方はサポーターだ。明日は200人を超える広島のサポーターが海を越えてやってくる見込み。会場の浦項スティールヤードは、ヤマハスタジアムや柏サッカー場を彷彿とさせるほど観客席とピッチの距離が近いこともあり、浦項サポーターに負けじと声援を贈ってくれる広島サポーターの声は間違いなく選手たちの耳と心に響くはず。「闘っているのは、自分だけじゃない」。これは、森崎和が約半年間にわたる闘病生活から復帰した時、周囲の人々やサポーターに支えられていたことを改めて実感した時の言葉である。その言葉を選手全員が心に刻み、広島の誇りを持ってアジア・チャンプに立ち向かってほしい。

以上

2010.03.09 Reported by 中野和也
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