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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【東アジアサッカー選手権2010 SAMURAI BLUE(日本代表) vs 香港代表】プレビュー:日本はベストメンバーで臨む可能性が濃厚。2試合無得点の攻撃陣の爆発に期待しつつ日韓戦につながる戦いを見せて欲しい。(10.02.10)

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2月11日(木)東アジアサッカー選手権2010 SAMURAI BLUE(日本代表) vs 香港代表(19:15KICK OFF/国立)
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ここ数日、少々イライラさせられながら練習取材をするハメになっている。理由は取材陣の声である。やれ「DFもいないシュート練習ですらシュートが入らない」とか、ばらつきのあるコンディションに対し「練習がゆる過ぎる。もっと上げて行かなきゃ」とか、挙句の果てに「この分じゃ、韓国には勝てないよ」と太鼓判を押されたり。

SAMURAI BLUE(日本代表)が年明けからの国内での2連戦を0−0で終えていることもあり、ネガティブな方向に気持ちが行くのは仕方ない。ただ、それにしても内容の薄い話だなぁ、と腹を立てている。そして、その言葉に全面的に反抗できないという状況があることがさらに苛立ちを募らせるのである。ディフェンダーがいないシュート練習の決定率が低いのはその通り。適度に力を抜いているのだろうが、せめて練習では枠内に飛ばして欲しいと思っている。そうでないと「ホント、シュート下手」のボヤキを甘んじて受けなければならないからである。ただ、その一方でコンディションにばらつきがあるのはこの時期ならば当然の事。またJクラブであれば頻繁に練習試合を入れて実戦感覚を取り戻す段階にあり、この時期に二部練習を取り入れる事は稀だ。そういう点でチーム作りのセオリーに反した批判だと考えている。韓国戦に向けてコンディションを上げている段階にある事を考えると、少々力の落ちる相手に対して攻めあぐねるのも無理はないと考えている。

生身の人間がコンディションを作る訳で、ロボットのようにスイッチオンで0から100に一気に上げる事など不可能である。そして選手たちもそうした観点での発言を繰り返している。シーズン初めの時期であり、必ずしも100%には上がりきっていないという事を頭に置いて試合を見て欲しいと思う。

そんな中行われる香港戦について、岡田監督は当初中国戦の出場のない選手の起用を示唆していた。ただ、それは状況に応じて変化するとも口にしており、実際に当初の予定から変更が加えられる可能性が高そうである。というのも日本代表が中央大学を相手に行った9日の練習試合で、選手たちは2グループに分けられているのである。そのひとつのグループは中国戦を戦った選手をベースとしたもので、15分を2本消化している。それに対し、それ以外の選手は25分を2本行っているのである。この試合時間の違いについていくつかの解釈が可能なのだが、どうやら岡田監督はこの香港戦でも中国戦を戦った選手をベースにしたフルメンバーの起用を考えているのではないかと思われる。

15分を2本戦った組のメンバーで中国戦との違いは、稲本潤一(川崎F)に代わり小笠原満男(鹿島)がボランチで出場していた点。これはつまり遠藤保仁(G大阪)をボランチの軸に据えた場合に、誰と組ませるとどのような試合になるのかをチェックしているのだと考えられる。つまり香港戦では、遠藤と小笠原のボランチセットが見られるものと考えらる。

ここまで2連戦してきた稲本は、ベネズエラ戦においては時に最終ラインからボールを積極的に引き出し、前線にパスを配給するリンカーに。そして時に最終ラインに組み込まれて守備のバランスを取る場面もあった。その一方で、中国戦では前線のスペースに飛び出して相手の守備を撹乱するという動きも見せていた。攻守にわたり、存在感を見せた稲本に対し、もし仮に小笠原が先発するとして、彼がどのような動きを見せるのか、この試合のひとつの注目点となるだろう。

そしてもう一つの注目点が攻撃面である。ハイプレッシャーの状況を意図的に作り、連携を深めてきた日本代表は、その練習の効果もあって狭い局面でのテンポのいいパスワークに問題はない。そこでこの試合では広い展開に期待したいと思う。サイドアタッカーとして先発してきた大久保嘉人(神戸)は「パスを繋ぐことで逆サイドが空く。そういう時に、ここで出てくればという場面が沢山あった」と中国戦を振り返っている。そしてそうしたタイミングでまだボールが出てこないとも話していた。「だからといって走らないという事はないです」とパスが出てくることを信じてフリーランニングを続けているという。中国戦では稲本を起点としたロングフィードによって内田篤人(鹿島)が決定機を迎えており、広い展開の有効性が実証されている。ここまでの合宿の成果もあり、日本代表は狭い局面でのパスワークや崩しの形は作れている。だからこそこの試合ではサイドチェンジを基本とした広い展開に期待したいと思う。

得点を決めきれていないという状況を除けば、徐々にではあるがチームの良さが出つつある日本代表だが、一つだけ苦言を呈させてもらうとすれば、平山相太(F東京)の使い方である。平山が入った中央大学との3本目、4本目の攻撃は「これまで積んできた練習通りのグラウンダーのクロス」が大半を占めていた。もちろんその練習を繰り返してきたのだから、GKとDFの間に速いクロスを入れるのは間違いではない。ただ、平山がトップに入っているのである。丁寧なパスワークもいいが、時には最終ラインから平山の足元にクサビを入れ、そこから展開させるという攻撃があってもいいのではないかと考えるのである。香川真司(C大阪)は平山が入った際の攻撃について「特に指示は出ていなかった」と話している。だからこそ、練習してきたクロスを多用したのだろうが、それだけでは進歩がない。この日本代表には選手たちが主体的に状況を打開する力が求められており、FWのタイプに合わせた崩しにも挑戦してもらいたいと思うところだ。

この大会に臨む際に香港代表は勝点5を目標として掲げていた。すなわち日韓に引き分け、中国に勝つというイメージを持っていたのである。すでに対戦した韓国戦で敗れており当初のプラン通りには進んでいないが、少なくともこの日本戦では引き分けを狙ってくるものと考えていた方がいいだろう。ベネズエラ、中国と帰陣の早い相手との対戦で日本代表は苦労してきたが、意識して守ってくる相手に対し、どこまでチャンスを作れるのかトライして欲しいと思う。そして東アジア選手権初優勝のためにも勝点3を手にして欲しいと思う。

以上

2010.02.10 Reported by 江藤高志
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