12月13日(日)第89回天皇杯準々決勝 名古屋 vs 岐阜(15:00KICK OFF/瑞穂陸)
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☆天皇杯特集
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今年の天皇杯は、名古屋にとってみれば有利な展開を見せているといえるだろう。初戦を地域リーグの沖縄と戦い、2戦目の相手はJFLのホンダロック。3回戦ではJ1の磐田との対戦だったが、相手に退場者が出たことで試合は優位に運ぶことができた。そして、準々決勝の相手は、浦和でも大分でも千葉でもなく、今季のJ2で12位の岐阜となった。もちろん名古屋に油断も慢心もないだろうが、トーナメントの逆サイドで鹿島vsG大阪や川崎Fvs仙台が行われていることを考えれば、組み合わせには恵まれている。優勝で来季のAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得を目指す名古屋としては、久々のタイトル獲得とともに、まさに気運高まるといったところか。
しかし、岐阜を侮るわけにはいかない。今季は大量15名の選手を入れ替え、平均年齢24.6歳という若いチームとなった岐阜は、1シーズンを通して目覚しい成長を遂げている。エースとなったFW佐藤洸一はJ2得点ランク9位タイの16得点を挙げ、2トップを組む西川優大も11得点をマーク。ボランチの位置からゲームを作る橋本卓を中心に、高木和正、嶋田正吾、そして主将の菅和範の機動力を生かしたパスサッカーは実に現代的なものだ。局面での精度にまだまだ課題を残すところはあるが、3回戦でJ1千葉を破った勢いも含め、額面以上の力を発揮してくるとみていい。ここまでチームを率いてきた松永英機監督は今季限りの退任が決定しており、これがラストゲームとなる可能性もある。チームの結束力は最高潮、モチベーションも非常に高い状態で瑞穂陸に乗り込んできそうだ。
逆に名古屋は中盤の要である小川佳純がA型インフルエンザ発症のため欠場の見込み。J1最終節でレッドカードを受けたマギヌンも出場停止となっており、攻撃のキーマン2名を欠く苦しい陣容で臨むことになりそうだ。2試合続けて採用している4−3−3のフォーメーションを継続するとすれば、小川の代役には杉本恵太かあるいは三都主アレサンドロの起用が予想される。マギヌンはここ数試合で途中出場が多かったが、ベンチメンバーの層を考えればやはり欠場は痛い。中盤はJ1の33節山形戦で良いコンビネーションを見せていたブルザノビッチ、中村直志、吉村圭司のトリオが採用されるだろう。スタメンだけを見れば被害は最小限に見えるが、できることは限られてくるだろう。
それでも、アジア4強とJ2の12位の対戦は、やはり前者が優位にいることは間違いないだろう。同じパスサッカーのチームであることもあり、試合は名古屋が押し込む展開が大部分を占めることになりそうだ。特に岐阜は、攻撃から守備への切り替えを早くして、名古屋の“スピード”にどれだけ反応していけるかが重要なポイントとなるだろう。対応できずにズルズルと引いてしまえば、守れはしても攻めることは困難になってくる。名古屋としてはその展開に持ち込み、いかに崩していくかがテーマとなる。4−3−3に布陣を変えてからの2試合では、中央とサイド攻撃のバランスが取れ、多彩な攻撃を仕掛けられるようになってきた。決定力を欠いてスコアレスに終わった前週の反省を活かし、ゴール前での迫力を増していきたいところだ。
今年2月のプレシーズンマッチでは2−0で名古屋が完勝した“名岐ダービー”。だが、互いにその頃よりも確実に成長している。順当に名古屋が格の違いを見せつけるか、岐阜が大会2度目のアップセットを演出してみせるか。いずれにせよ熱いゲームとなりそうなダービーマッチに注目したい。
以上
2009.12.11 Reported by 今井雄一朗
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