11月28日(土)J1 第33節 名古屋 vs 山形(14:00KICK OFF/豊田ス)
スカパー!生中継 Ch183 13:50〜(解説:森山泰行、実況:尾原秀三、リポーター:吉田太一)
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実に8ヵ月ぶりとなる山形との再戦は、名古屋にとってまたも難しい試合となりそうだ。2節に行われた前回対戦は、開幕戦で磐田を6−2で破った山形のホームで、その上名古屋はAFCチャンピオンズリーグによる韓国遠征から中3日というハンディを負っていた。しかも試合は後半から豪雪に見舞われた中でのスコアレスドローに終わっている。名古屋のホーム最終戦となる今節は雪こそ降りそうにないが、山形のモチベーションが非常に高いことが厄介な要素となる。山形は勝てば初昇格のシーズンで、J1残留を決めることができるからだ。名古屋は31節の前回ホームゲームでも、勝利で残留決定を目指した神戸に苦戦を強いられている。『残留』という目標がもたらす勢いを、侮ることはできない。
しかし、名古屋にはこの終盤にきて追い風が吹き始めてもいる。前節のアウェイ広島戦で守護神・楢崎正剛が待望の戦線復帰を果たし、安定したセービングを披露。天皇杯3回戦で負傷し、ストイコビッチ監督が「今季は終わったかもしれない」と嘆いたマギヌンも交代出場で復帰するなど、負傷者が続々と戦列に戻ってきている。ケネディ、玉田圭司の2トップも試合出場は可能な状態であり、久々のベストメンバーが揃うことが濃厚だ。中盤戦以降はメンバーのマネジメントに苦慮してきたチームにとっては、何よりの好材料といえるだろう。
ここ1ヵ月勝ち星のない山形も、前節でセンターバックの石井秀典がスタメンに戻ってきたことで、チームに新たな勢いが生まれつつある。6月20日の14節以降出場のなかったDFラインの要は、復帰初戦で無失点試合に貢献。途中出場の続いていたキャプテン石川竜也も2試合連続でスタメンに復帰しており、こちらも陣容はまずまずの充実ぶりといったところ。地元・山形では残留決定の瞬間を祝うため、パブリックビューイングの開催も予定されており、そういった動きもチームの後押しとなるに違いない。
試合展開いかんは、山形の守備意識が左右するだろう。山形が積極的に勝利を狙うならば、守備は前からのプレッシングが有効だ。ビルドアップのうまい名古屋の中盤でのパスワークを分断するのは、今季の名古屋対策として確立された感もある。天皇杯4回戦ではつなぐ意識が強すぎるが故に、センターバックが相手FWのフォアチェックでボールを失いそうになることもしばしばだった。同じことを試みる価値は十分にある。もちろん、自陣に引いた守備からカウンターを狙うのも有効だ。残留への姿勢はどちらの戦い方で現れてくるか。山形の小林伸二監督の選択には注目しておきたい。
しかし山形が積極策を執ってくれば、名古屋としては望むところ。今季1年間でさらに深めてきたポゼッション力でプレッシングを回避し、相手陣に広がるスペースを利した攻撃を仕掛けられるからだ。逆にカウンター狙いで来られた時に、苦戦の予感は漂う。相手陣にスペースのない場合の崩しのバリエーションはまだ少なく、これまでも有効な攻撃を仕掛けられずにいた。そこで期待されるのは、ケネディの高さをシンプルに使う攻撃である。山形のDFラインはレオナルドの185cmが最長身であり、ケネディが制空権を握れることは間違いない。多少強引にでも彼を起点とした攻撃を繰り出すことで、チャンスは増やすことができるはず。この終盤戦で好調を維持している阿部翔平のアーリークロスを含め、『名古屋らしくない』サイド攻撃でアウェイチームの目論見を打ち破りたいところだ。
いずれにせよ、勝点の欲しい山形の気迫によってゴール前の緊迫感は増大するはず。ともに前節をスコアレスドローに終えている両チームだが、クライマックスを迎えつつあるリーグ戦に華を添える、激しいせめぎ合いを見せてもらいたい。
以上
2009.11.27 Reported by 今井雄一朗
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