スカパー!生中継 Ch182 13:50〜(解説:桑原隆、実況:倉敷保雄、リポーター:高木聖佳)
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■リーグ戦上位クラブ 直近3節の試合結果と次節対戦相手
第30節 | 第31節 | 第32節 | 第33節 | 第34節 | |
川崎F | ○7-0 広島 | ○3-2 千葉 | ●0-1 大分 | 新潟 | 柏 |
新潟 | ●0-1 神戸 | ○2-0 磐田 | ●0-1 柏 | 川崎F | F東京 |
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まさかこのめぐり合わせがこんな結末を迎えるとは思っていなかった。まさかまさか、というのが川崎F関係者の偽らざる心境だった。
優勝を争う鹿島とG大阪が今節直接対決するという事を含め、川崎Fのリーグ戦終盤の対戦カードが恵まれていたのは事実である。ところが、川崎Fは前節の最下位大分との対戦を低調な内容で落としてしまう。もちろん大分がポポヴィッチ監督の指導により復活を遂げていたという事情はある。大分は25節の磐田戦以降の7試合で負けがなかったのである。ただ、優勝を狙おうかというチームである以上、そうした相手からでも確実に勝点を奪う勝負強さがあってしかるべきだった。この大分戦の敗戦により、首位の座を明け渡した川崎Fは自力優勝の可能性が消滅。優勝のためには勝点3を積み重ねていく以外にないという状況に追い込まれている。
精神的なダメージを受けている川崎Fにさらにけが人の発生が追い討ちをかけている。まずは、矢島卓郎である。大分戦の翌日のサテライトリーグに出場した矢島は、肉離れを発症して戦線を離脱。また、26日には薗田淳と養父雄仁からA型インフルエンザの陽性反応が出たとの発表がなされており、貴重なバックアッパーを失った形である。さらに、24日にマレーシアで行われたAFC年間表彰式に中村憲剛が出席しており、肉体的な疲労の蓄積が気になるところである。なお、その中村については関塚隆監督が26日の練習後に直接話をしており問題はないのでは、との認識を示していた。
そうした状況の中、川崎Fは新潟戦を前にした紅白戦でいくつかのポジションで選手の入れ替えをテスト。先発メンバー変更の可能性も含め、てこ入れを図っている。この試合の結果次第では鹿島の優勝が決まるという事もあり、絶対に負けられないという関塚監督の強い気持ちの表れとも言えるだろう。またそうした関塚監督の意思を汲み取ったのか、練習後の選手たちの多くは大分戦前とは一転、険しい表情をしており、リーグ戦終盤の緊張感がにじみ出てきている。
川崎Fのこの試合のポイントは、堅牢なブロックを作る相手をいかに崩すのかという事に尽きるだろう。前節の大分戦では、運動量をベースとした大分のすばやい帰陣と、それに伴って作られた守備ブロックを崩す事ができず、シュート数で相手を上回られての敗戦となった。ジュニーニョと共にシュート0に終わった鄭大世は、堅い守備を敷く相手との対戦について「守るところは守り、人数をかけて攻めて先制点を取りたい」と話し、リスクテイクの必要性と、先制点の重要性について口にしていた。大分戦ではその鄭大世を含めた3トップと、フォローする2列目以降の選手との距離が開いており、その距離を縮めたいとの思いもあるのかもしれない。
新潟は無駄走りをいとわない矢野貴章の献身的な守備もあって、分厚い守備組織を作れるチームである。鹿島と並び、リーグ最小となる29失点という数字が、その安定感を示している。千代反田充と永田充がそびえる最終ラインを中心にした守備は、バランスのよさを見せており、攻め崩すのは至難の技であるといえる。そんな中、攻略のポイントがあるとすれば、相手チームのボール回しに前線の選手が食いついてきがちな点であろう。その前係のプレスをうまくかわす事ができれば、川崎Fのカウンターのチャンスが広がる。そしてスペースさえあれば、川崎Fの攻撃陣は高いパフォーマンスを発揮できる力を持っている。
川崎Fが優勝を目指しているのとは対象的に、新潟はAFCチャンピオンズリーグの自動出場権である3位以内の可能性がすでに消滅。ただし、天皇杯の結果次第ではリーグ戦4位のクラブにもACL出場権獲得の可能性が残されており、リーグ戦の残り2試合を連勝で終えたいという思いは強いだろう。優勝に向けあとがない川崎Fがホーム最終戦を白星で飾る事ができるのか。それとも、相性の悪い等々力で、新潟がJ1昇格後、初めての勝利を手にするのか。前売りで完売した満員のスタジアムの雰囲気と共にその試合展開が楽しみな一戦であると言えそうだ。
以上
2009.11.27 Reported by 江藤高志