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【AFCアジアカップ2011カタール 予選Aグループ 香港 vs 日本】レポート:本気の香港に苦戦も、長谷部の代表初ゴールをきっかけに4ゴール。コンセプトの浸透を実感できる試合。(09.11.19)

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11月18日(水) AFCアジアカップ2011カタール 予選Aグループ
香港 0 - 4 日本 (19:30/香港/13,254人)
得点者:32' 長谷部誠(日本)、74' 佐藤寿人(日本)、84' 中村俊輔(日本)、90+1' 岡崎慎司(日本)
日本代表特設サイト
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社交辞令にとどまらない謝意だったと思っている。香港代表が見せてくれた「すばらしいプレー」とクリーンな「ファイト」に対し、岡田武史監督は率直に感謝の意を表していた。そして監督会見でのそうした言葉は、W杯本大会まで1試合として無駄な試合はないとの岡田監督の思いが投影されたものであるのは間違いなかった。

前半開始から香港代表は気持ちのこもった試合を展開する。ホームチームである事の意味。そして国家を背負う重大さをそのパフォーマンスで表現しているように思えた。そんな香港代表に対し、日本代表は思うように攻撃の糸口を掴む事ができなかった。香港代表がチャンスを作っていたというわけではなかったが、日本代表の攻撃をある程度抑え込む事に成功しており、それは評価されるに値するものであった。

そもそも香港人は、香港代表に対して大きな期待をかける事がないとの事で、実際に試合前に話を聞いた香港人サポーターは、香港代表の勝利には無関心だった。そしてそうした空気は代表チームにも確実に伝播する。だからこそ、香港代表を率いる韓国人のキム・パンゴン監督は、こんな言葉を投げかけて香港代表チームを勇気付けたのだという。
「韓国ではサッカーの代表戦のときに国家のために死ぬ気で戦う。香港人にはそれが足りていない。だからがんばろう」
国民から期待されていない代表選手が、投げやりな態度で試合に臨むという状況は十分にありうる事である。キム監督はそうならないように代表チームにカツを入れ、選手たちもその思いに応えた。

少なくとも前半30分ごろまでの日本代表は、ホームの香港代表を攻めあぐねていた。もどかしさを感じざるを得ない時間帯ではあったが、それだけ香港代表ががんばっていたという事も言える状況があった。ただ、そうした難しい状況にありながらも日本代表は香港代表の壁をこじ開けていく。きっかけは、前半30分ごろから見られるようになった日本代表の分厚い攻撃である。それまでの日本代表は「強さ」を見せ付ける事ができていなかった。しかし香港代表の体力の低下と共に、30分ごろからパスが回るようになるのである。そうして迎えた32分。ゴール前に枚数をかけ、守りに入る香港代表に対し日本代表は、横パスで揺さぶりをかける。

守備意識を高く持つがゆえに、ゴール前に人数をかけてしまった香港代表の、その裏をかいたシュートだった。ゴール正面でパスを受けた長谷部誠(VfLヴォルフスブルグ/ドイツ)の眼前には、大きなスペースが広がっていた。「とにかく代表で点を取れていなかったので良かったです(長谷部にとってこれが代表初ゴール)。最近はシュートを意識していましたし、これから続けていければ武器になると思います」と長谷部。今後、代表の武器として成立してほしいミドルシュートにより、均衡は破れるのである。香港を相手に横綱相撲を期待する声もある中、「死ぬ気」での守備を敢行する香港代表チームを崩すのは難しい。そうした展開の中、セオリー通りに決めたミドルシュートがチームを落ち着かせる。

1点を失った香港代表ではあったが、後半に入っても日本の攻撃をよくしのいでいた。ただ、74分に途中出場の佐藤寿人(広島)に追加点を奪われると、そこから急速に勝点に対する執着を失ってしまう。相手の気持ちを折り、楽な試合展開へと持ち込むに至るこの日本代表のこの2点目について、アシストの遠藤保仁(G大阪)は「ニアにハセ(長谷部)がいて、ゴールを決めた時に3人くらい入っていたのは見えた。GKとDFの間に入れるという事を意識して、一応、中の場所を確認しながらやりました」と振り返っている。日本代表が繰り返してきたサイド攻撃の一つの形が結実したとも言える得点だった。

試合はその後、中村俊輔(RCDエスパニョール/スペイン)のFKからの3点目が84分に。さらにロスタイムの91分に4点目のPKが決まる。PKに関して中村俊は「ヨシト(大久保嘉人:神戸)がいたらヨシトに蹴らせていた」と話し、当初から自ら蹴る考えがなかったと明かしている。その真意はわからないが、キッカーの岡崎慎司(清水)が「蹴り方を教わっていたので、その通り蹴りました」と話す蹴り方で、見事にゴールを決めている。

快勝ではあるが、ホームでの対戦からは2得点少ない試合結果に岡田監督は「全員が慌てたり焦れることなくしっかりとプレーをした」のだと評価すると「そういう意味で私にとって6-0の第1戦よりも、ずっといい試合だったと思います」と総括。さらに「6〜7割のコンセプトでも、危なげなくアウェイ(の南アフリカ戦)で引き分ける。そして今日もあれだけ戦っている相手に対し、慌てることなく最終的に勝てる」として、地力が付いてきたとの認識を示している。

W杯本大会前年の最後の戦いとなった香港代表戦は、一定の成果。つまり10割の完成度ではない状態であっても結果を出せるという事を証明する形で終了。コンセプトが提唱され、それが合宿で試され始めた昨年の6月以降、少しずつではあるが、日本代表はそのサッカーを進歩させて来ているようである。

以上

2009.11.19 Reported by 江藤高志
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