11月15日（日） 第89回天皇杯4回戦
Ｆ東京 0 - 3 仙台　（13:00／丸亀／4,504人）
得点者：25' 中原 貴之（仙台）、59' 中島 裕希（仙台）、89' マルセロ　ソアレス（仙台）
☆天皇杯特集
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天皇杯は8強が決まった。F東京は香川県立丸亀競技場で仙台と対戦し、０−３で敗れた。仙台は25分、FW中原貴之のゴールで先制。59分、89分と得点を重ねてF東京の元日国立への道を断った。

長丁場のJ2を戦い抜いてきた仙台は、チームとして成熟していた。手倉森誠監督は試合後の監督会見で、この日のゲームプランを語った。
「アウェイと同様の戦い方をした。いかに失点しないかというゲームの入り方を意識した。相手はJ1のチームでもあるので一つのパス、一つの動きで勝負を決める怖さがある。だから隙を見せたくなかった。逆に向こうも連戦だったので、こちらも隙を見逃さないゲームを組み立てていこうとしました。一進一退の中、３−０で勝てたのはこれまでJ２で戦った戦い方が今日もやれた、それが通じたと思います」

仙台は“アウェイと同様の戦い方”を忠実に進めた。J2で積み重ねてきた経験値は裏切らなかった。序盤から守備のブロックを崩さず、ボールを奪うと素早くサイドへと展開。そこを起点にして攻撃を仕掛けた。
先制点はDF菅井直樹がボールを運び、中央でパスを受けたFW中島裕希がシュート。F東京MF米本拓司にブロックされるも、こぼれ球をFW中原貴之が押し込んだ。「上手くいい時間帯で点が取れたことが一番よかった」（手倉森監督）。プランどおりに先制してリードを奪ったまま、前半を折り返した。
後半も守備を固めてショートカウンターを仕掛けた。FW中島が追加点を奪い、終了間際には途中出場のマルセロ ソアレスがダメ押し点を決めた。ゲームプランを完遂した仙台がF東京を退けてクラブ初となる8強へと進出を決めた。

F東京は自分たちの土俵でサッカーをさせてもらえなかった。その差が試合結果に反映された。
「自分たちのサッカーをやれれば、（仙台の守備を）こじ開けられると思っていた。それには最終ラインからのビルドアップが不可欠だった。そこが我々のスタートなのだが、いろいろなところに問題があって自分たちのサッカーができなかった」（城福監督）
最終ラインからのビルドアップがノッキングを起こしていたのは、サイドバックのキャラクターに問題があった。左サイドバックに入った平松大志は1対1の守備では強さを見せたが、ビルドアップでは攻撃のスピードを上げるための縦パスを入れることができなかった。タッチラインを背にして右足にボールを置くと、バックパスを選択することが多く、相手プレスの餌食となっていた。攻撃時のポジショニングも低く、ボランチが受けてもサポートすることができなかった。平松は本来、センターバックの選手。目を瞑らなければいけない部分だったが、それを目立たせてしまったところに問題はある。
「それをしっかり受け止めなければいけない。使った自分の責任でもある。出場した選手の特長を最大限生かす試合をしないと、特にトーナメントでは苦しい。自分たちのペースにできなかった現実はある。でも、それができないときに失点してはいけない。試合の波を小さくするには、よくないときにどうするのか。そういった意味でこのチームはまだ幼い」（城福監督）

F東京は、後半開始から長友佑都を左サイドハーフに置いてサイドから打開しようと試みた。だが、ビルドアップでの揺さ振りが足らず、仙台の守備を崩すことはできなかった。最終的には佐原秀樹を前線に上げて3-5-2の形でパワープレーを仕掛けたが、これも実らなかった。
「3-5-2にしたが、サイドの選手からボールを入れるのか、最終ラインから放り込むかで中のポジショニングも違ってくる。（長友）ユウトがクロスを上げる回数を増やすのならもっとワイドから仕掛けなければいけなかった。そういう意味では最後のところの意思統一がされていなかった」（F東京/MF羽生直剛）

この日の主導権は、常に仙台が握っていた。仙台がプランどおりにゲームを進めたのとは対照的に、F東京は一度崩れるとそこから立ち直ることができなかった。用意していたパワープレーが機能しなかったことが、この日のゲームを象徴している。ゲームや、ピッチに立つ選手のコンディションやキャラクターに応じたサッカーをする器用さがこの日のF東京には欠けていた。

以上

2009.11.16 Reported by 馬場康平