11月14日（土）第89回天皇杯4回戦 清水 vs 甲府（13:00KICK OFF/とりスタ）
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　現在J1の4位で、優勝は難しくなったがAFCチャンピオンズリーグ出場権は何としても獲得しなければならない清水。J2の4位で、J1昇格という悲願を何としても勝ち取りたい甲府。この1週間後には、清水は3位のＧ大阪、甲府も同じく3位の湘南との直接対決を控えている。J1とJ2というカテゴリーの違いはあれど、非常に似た状況におかれている両チームが、奇しくも天皇杯4回戦で戦うことになった。

　ただ、この試合に臨む姿勢は多少異なっているかもしれない。清水のほうは、天皇杯で優勝すればACL出場にもつながるため、「内容はメンバーが変われば変わるし、この試合では何より結果を求めていきたい」（長谷川健太監督）と、結果がもっとも重要なゲームと位置づけている。一方、甲府のほうは、勝点で並ぶ湘南との天王山が最優先で、コンディション面への配慮や、テストの意味も含めてメンバーを多少変更してくる可能性もささやかれている。
　しかし、清水のほうも、さまざまな事情によりメンバーを変えなければならないのは同じ。エースの岡崎慎司が日本代表の南アフリカ・香港遠征で不在となり、ヨンセンも左足首の捻挫で欠場濃厚で、自慢の2トップが不在。岩下敬輔も右足首の状態が思わしくなく、兵働昭弘も腰痛で遠征に帯同しない見込みだ。疲労がたまっている伊東輝悦をベンチに置く可能性もあり、下手をすれば主力5人を欠くことになる。

　だが、逆にいえば、だからこその楽しみもある。両チームとも、リーグ戦では重たいプレッシャーから硬さが目立つゲームが見られたが、この試合では出番を得たフレッシュな選手たちが伸び伸びと思いきりの良いプレーを見せてくれるという期待が持てるからだ。
　そんな中で、清水のほうは天皇杯3回戦の札幌戦で2得点を決めた永井雄一郎を1トップに置いたシステムを試すなど、120分の戦いになる可能性も踏まえて前線での組み合わせを模索してきた。そして、金曜日の練習までじっくり見極めてから長谷川監督は布陣をメンバーを決断したが、新たな攻撃のオプションを探る意味でも、どのような布陣でこの試合に臨むのかという部分は大きな注目点となる。
　もちろん、前節・柏戦で長谷川エスパルス最多タイの5失点を喫した守備の立て直しも大きなテーマ。チーム全体として、「細かいところも含めて、今までやれていたことができていない部分がある」（児玉新）と、守備の再確認を図っている。甲府のマラニョンと金信泳の2トップがそのまま出てくれば、J1でも通用するレベル。岩下と青山直晃というセンターバック2人を欠く中で、そこをいかに封じるかが大きなテーマとなる。
　天皇杯2試合に出場して無失点を続けるGK西部洋平は、今度も先発が予想されるが、「守備の手応えはかなり出てきた。みんな同じイメージを持ってやれているし、DFラインが上がってコンパクトになってきた。自分も全体に声をかけて、無失点という結果を出したい」と意欲を見せる。

　過去の対戦成績では、清水が3勝1分と甲府に負けたことがなく、しかもまだ1点も取られていない。だからこそ、甲府としては今度こそ清水から点を取って勝つという強い気持ちで臨んでくるだろう。久しぶりにトップリーグの試合を地元で観られる鳥取の観衆にとっても、楽しみな要素の多い一戦となるはずだ。

以上

2009.11.13 Reported by 前島芳雄