10月31日（土） 第89回天皇杯3回戦
神戸 1 - 0 柏　（13:00／ホムスタ／3,256人）
得点者：69' 大久保嘉人（神戸）
☆天皇杯特集
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J1勢の直接対決となった天皇杯3回戦、神戸vs柏の一戦は、後半、69分に大久保嘉人が奪ったゴールで、神戸が柏を1-0と下した。4回戦に進出した神戸は11月14日に敵地・カシマサッカースタジアムで昨季J1王者の鹿島と対戦する。一方、柏は2季連続決勝進出、元日の国立競技場でのプレーは叶わず、夢はここで途絶えた。

試合はJ1で残留争いを繰り広げている両者ということもあり、拮抗した一進一退の攻防が続いた。前半からカウンター狙いの神戸、パスサッカーの柏という色合いが鮮明になっていたが、そのなかで「奪ってから、案外、それほど難しくなく、ウチの前線の4人にボールが入って、前を向く状況ができていた」（三浦俊也監督）という神戸が、徐々に決定機を作り出す。

目立ったのは再三フィニッシュまで持ち込んだ神戸FW茂木弘人のプレー。10分には中央を金南一、吉田孝行とつないだショートカウンターから右ミドル。25分には吉田のスルーパスからGKと1対1の場面。33分にもボッティの右からのループクロスに右ボレー。37分には浮き球でDFをかわして、その落ち際を強烈な左ボレー。前半だけで実に4度も柏ゴールを襲う。しかし、わずかに枠を外れたり、柏GK菅野孝憲の好守の前に、いずれも決め切れない。

「あれだけ決定機を作ってくれたから、期待は持てるなというふうには思った」と三浦監督は試合後に茂木を讃えていたが、今季チームトップスコアラーがチャンスを活かせなかったことで、流れが柏に移りかねない状況にもなっていた。実際、23分には大津祐樹、42分には栗澤僚一に、それぞれペナルティーエリア内でゴールチャンスを与えたが、シュートはともに神戸GK徳重健太がセーブ。難を逃れていた。

また、後半にも神戸は苦しい時間があった。55分には神戸も吉田に決定機もあったが、52分には今季公式戦初先発した柏MF橋本和の左クロス気味のシュートをGK徳重が何とかクリアしたり、60分にポポ、63分には大谷秀和、66分には大津にそれぞれシュートを放たれている。それでも、相手の決定力不足にも助けられた神戸。すると、腰痛の影響でJ1第29節新潟戦に続き今回もベンチスタートだったFW大久保嘉人を64分に投入して、攻撃を活性化したことで、再び神戸に勢いが出る。

それが実ったのは大久保が入った5分後。「三浦監督の指示でいつもやっていること。前からしっかりプレッシャーをかけること、バックパスに対してしっかり反応するということがあったので、あの瞬間もすごい集中していて、オートマチックに身体が動くような感じになった」というボッティが、「ボール（相手バックパス）を奪って、右に運んで、その瞬間に（大久保）嘉人が走っているのは見えたので、タイミングを計って、センターバックのタイミングを外して、狙って出した」スルーパス。これを大久保がGKを見極めてきっちりゴール。神戸がエースの一撃でようやく先制点を挙げる。

その後、神戸にも柏にもチャンスが訪れたが、試合は動かず。結局、このまま1-0で神戸が逃げ切る形となり、ACL出場権獲得へ望みをつないだ。しかし、終了間際、神戸の大久保が柏の小林祐三と交錯したプレーが乱暴行為と見なされ、一発退場に。神戸にとっては勝ったものの、何とも後味の悪い終わり方でもあった。ただし、「最後まで集中を切らさず、全員がハードワークしてくれた」と三浦監督。結果、内容ともに満足の出来だったようだ。

逆に柏は、76分の3枚替えも実らず、J1リーグ戦の悪い流れをそのままひきずってしまう形となった。神戸の17本には及ばなかったものの、13本のシュートを放った柏。「今はゴール前で決定的な仕事ができる選手というのは、今はいないし、そういうプレーはなかなか作れない現状」とネルシーニョ監督も嘆くように、これで公式戦4試合連続無得点と元気がない。しかも、「五分五分で戦っていたのに、ああいうところで、ああいう形で点を取られてしまえば、負け以外の他の結果はなかった」と指揮官も憤慨するように、ミスからの失点での敗北はチームにも大きなショックを与えた。「責任感を持って一人一人がやっていかないと、この苦しい状況を打開することはできない」と栗澤。J1でも降格圏内にいる柏は今、切羽詰った状況で、大きな分岐点に立っている。

以上

2009.11.01 Reported by 前田敏勝