中継は実況と解説、リポーターと、チームで
創っていくもの
スカパー!Jリーグ中継において、サンフレッチェ広島の実況アナウンサーとして活躍する君崎滋さん。スカパー!の仕事を始めるまではスポーツ中継での経験はなく、当初はピッチリポーターからスタートした。選手やクラブスタッフ、中継スタッフと仕事を進めるなかで、もっと現場の声を伝えたいという意志を持ち、自ら志願して2009年からは実況を担当している。
今回は君崎さんにリポーターデビューから現在に至るまでを当時の心境とあわせて振り返っていただいた。
Q:サンフレッチェの中継を担当するまで、スポーツ実況のご経験はないんですよね。
「そうなんです。広島のスポーツ番組でナビゲーターをやった経験はあるんですけどね。実はその番組が終わった時、自分の中に悔いが残ったんですよ。スタジオで原稿を読む役割だったんですが、一方で一度も取材に出たことがなかった。行こうと思えば行けたのかもしれないのに、自分で『取材に行ったらダメなんだ』と思い込んでいました。
現場に行かないとわからないことって、たくさんあるんです。例えば、清水戦で森崎和幸選手(広島)が打ったミドルシュート。あの試合は森崎和選手にとっては5ヶ月ぶりの復帰戦で、そこに至るまで彼がどんな病気のためにどれほど苦しんでいたのか。その前提を知っているかどうかで、このシュートに対する言葉は変わってくるはずなんです。それなのに、あの頃は現場にも行かず、ただ原稿を読むだけ。それでは面白くないし、恥ずかしい」
Q:2007年からスカパー!中継のリポーターになられたのも、そういう経緯から?
「いや、まさか自分がピッチリポーターの仕事を頂けるとは思ってもいませんでした。ただ(アナウンサーとしての)経験は積んでいたので、現場で何があっても対応できる、ということだったようですが。
でも、正直怖かったですよ。取材のイロハすら、わかってなかったから。選手に話かけるのも、どのタイミングで、どうやって選手を呼び止めて、どんなふうに話をすればいいのか。フリーだから教えてくれる先輩もいないし、現場で学ぶしかない。でも広島の選手たちはみんな、どんな質問にも誠実に答えてくるんです。本来、自分のミスや失敗談なんてしゃべりたくないじゃないですか。でも、10代や20代の若者たちが、そんな質問にもきちんと受け答えしてくれる。こっちが本気で話を聞きたいとぶつかれば、返してくれない人はいない。
例えば、久保竜彦選手。彼の居残り練習が終わるまで待って声をかけると、しっかりと止まって対応してくれる。質問しても、こっちがメモをとってしまうのを待って、それから話をしてくれるんです」
Q:リポーターの仕事は、いかがでした?
「難しかったですね。実況経験が豊富な友人アナに『実況と解説、リポーターと、チームで中継を創っていくもの』って言われていたんです。ただ、リポーターがネタを持っているからといって、実況と解説の話を壊してまでそれをねじ込むのはNG。あくまで話が膨らむために、ネタを投入しないといけない」
Q:その頃から「いずれは実況を」と。
「最初は自分に実況ができるなんて思ってはいませんでした。ただ、2007年からずっと広島を取材していると、選手たちの頑張りをすごく身近に感じるんですよ、その姿をもっとしっかりと、伝えたい。だから『実況をやらせてほしい』とスカパー!のスタッフに僕から申し出たんです。自信なんてさらさらなくて、ただ『やりたい』という情熱だけ。僕の人生って、いつもそうなんですけどね。アナウンサーになる時も、フリーになる時も」
Q:どういう反応でした?
「驚いていましたね。でも『君崎にやらせる』と決まった後は、トレーニングに協力してくれました。開幕から毎試合、スタンドから見ながら自分の実況をボイスレコーダーに録音していたんですが、スタッフがそれに映像をあわせたDVDをつくってくれたんです。その状況をみんなでチェックして、第14節の対神戸戦での実況デビューにつなげていきました」
Q:あの神戸戦は、広島の歴史に残るシーソーゲームでした。
「逆転、また逆転という凄い展開だったことは、僕にとっては幸運でした。というか、僕は本当にチームに救われていますよ。あれだけ面白いサッカーで、点も入って。実況をどう組み立てるか考える余裕もない未熟な僕にとっては、本当にありがたい。
ただ一方で『広島のサッカーは面白いけれど、あの実況が台無しにしている』と言われるのが、僕にとって一番辛い。選手たちの頑張りを自分の実況で際立たせたい、と思っているだけに」
Q:ご自分の実況について、どう感じられます?
「毎回ビデオで振り返るんですが、本当にイヤですね(苦笑)。中林洋次選手が(ミスをした)新潟戦のビデオを見ることができないと言っているんですが、気持ちは本当にわかります。毎試合、いろんなことを間違っているし、後悔ばかりしかない」
Q:まず、気をつけていることは?
「選手の名前を間違えないことは当然。ただ、広島の選手は俯瞰で見ても何となくわかるんですが、アウェイ側の選手は難しい。だからつい6対4の割合でアウェイ側を見るようになる。そうなると、逆に広島側の話ができなくて、自分の持っているネタを出し切れない。悔しいですね。目の前に起きていることにコメントするだけで、精一杯になってしまって。
理想を言えば、君崎は下手だけれど、でもあいつの実況は面白いと言われるようになりたい。選手の一生懸命なプレーをしっかりと伝えることで、『広島のサッカーに凡戦はない』と言われれば、本当に幸せですね。でも、まだまだそんな実況は、できていないのですが」
■君崎さんのプロフィールはこちら
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Reported by 中野和也
以上
J’s GOALニュース
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笑顔でインタビューに応じてくれた君崎滋さん。プロフィールは<a href="http://nanet-hiroshima.com/talent/kimizaki.html">こちら</a>
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