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【J1:第30節 名古屋 vs 磐田】レポート:結果的に打ち合いとなった試合は両チームともピリッとしない展開に。3点差を追いついた名古屋がリーグ戦連敗を2でストップした。(09.10.26)

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10月25日(日) 2009 J1リーグ戦 第30節
名古屋 3 - 3 磐田 (15:03/豊田ス/15,578人)
得点者:31' 前田遼一(磐田)、39' 前田遼一(磐田)、48' 前田遼一(磐田)、60' オウンゴ−ル(名古屋)、74' ケネディ(名古屋)、79' 玉田圭司(名古屋)
スカパー!再放送 Ch185 10/26(月)23:00〜(解説:森山泰行、実況:吉田太一、リポーター:水谷陽介)
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サウジアラビア遠征から中2日で迎えたリーグ30節は、名古屋がどのようなメンバーをピッチに送り込むかがひとつの注目点だった。この試合から中2日となる水曜日にはAFCチャンピオンズリーグ準決勝の第2戦がある。選手の疲労をどれほど考慮するのか、そして欠場者続きのCBの人選が、磐田戦ではある程度見えるはずだったからだ。

特に名古屋のDFライン中央は現在火の車。この試合のみを考えれば竹内彬と吉田麻也で決定だろうが、竹内が出場停止のACL準決勝第2戦を考えれば、吉田のパートナーに他の選手を試しておく必要がある。スタメンのDF登録を見ると阿部翔平がその位置に収まりそうだったが、名古屋はここで温めていたスクランブル時の起用法を決断した。FW巻佑樹のセンターバック起用である。高校時代までDFだった巻だが、プロとしては初のプレーとなる。同様にDFが足らなくなったホームのG大阪戦でも浮上したプランはある種の賭け。名古屋は窮地を脱するべく、思い切った策をこのホームゲームで採用してきた。

一方の磐田はここ数試合におけるベーシックな布陣でアウェイに乗り込んできた。現在15得点の前田遼一と11得点のイ・グノのツートップも好調で、前田はここ5試合で3得点、イ・グノは24節〜27節までの4試合で連続得点を挙げている。また、今節で勝点1以上を獲得すればJ1残留が決定するとあって、チームのモチベーションが高まっていたであろうことは想像に難くない。

試合の主導権は、磐田の柳下監督の言葉通り「どっちに転んでもおかしくない」展開の中で両チームの間を左右した。アウェイながら前目にディフェンスラインを設定した磐田が積極的にボールを奪いに行けば、メンバーを入れ替えた名古屋もパスワークで回避する。そのまま前半10分ほどはどっちつかずの展開が続いたが、12分にケネディがGKとの1対1を外す決定機を迎えると、以降の試合は打ち合いの様相となっていった。

そこで決定力を見せたのが磐田だった。前半だけで少なくとも6度の決定機を逸した名古屋に対し、リーグ得点王争いトップを走るストライカーがその力を見せつけた。31分、イ・グノのスルーパスに反応したのは前田。角度のないところから逆サイドネットに突き刺し先制点を挙げると、39分にもイ・グノのフォアチェックのこぼれ球を拾ってミドルシュートを叩き込んだ。名古屋はやはり中東遠征の疲れが出たか、20分以降は足が止まった印象。玉田圭司やブルザノビッチがチャンスメークを図ったが、相手GKの好守もあり、2点のビハインドを背負って試合を折り返した。

迎えた後半、出場停止処分のストイコビッチ監督に代わって指揮を執ったジュロヴスキーコーチの指示はいたってシンプルなものだった。
「とにかくまずゴールを決めよう。まとまってシンプルに、自分の責任を果たせ」
だが、後半も先手を取ったのは磐田だった。47分にイ・グノのミドルシュートを名古屋GK長谷川徹が弾いたところをつながれ、最後はまたも前田が決めてハットトリックを達成。試合はほぼ決まったかに思われた。

しかしここから、名古屋が執念の追い上げを見せる。きっかけは磐田の交代だ。足のつった犬塚友輔が大井健太郎に代わると、60分にその大井がオウンゴール。さらにメンバーが変わったことでバランスを崩した磐田がもたつく間に、名古屋は田中隼磨に代えて小川佳純、マギヌンに代えて杉本恵太を投入。すると74分に小川のクロスをケネディが決めて1点差とすると、79分には玉田が獲得したPKを自ら決め、試合を振り出しに戻した。

その後は名古屋がさらなる攻勢に出るかと思われたが、88分にブルザノビッチがこの日2枚目のイエローカードで退場。これにより10人となった名古屋が残り時間を守りに入る羽目に。試合はそのまま終了し、両チーム合わせて6得点が飛び交う打ち合いは、結局ドローでの決着を見た。

名古屋のジュロヴスキーコーチは「とてもエキサイティングなゲーム」と讃えたが、名古屋の決定力不足と磐田のゲームコントロール力不足が招いた結果の引き分けでもある。両チームに共通するのは試合を決める力に欠けたこと。ともあれリーグ戦連敗を止めた名古屋だが、アウェイでのACL準決勝第1戦に続いて失点を重ねてしまったのは大きな反省材料だ。4得点以上を挙げ、1失点以下に抑えなければいけないACL準決勝第2戦はもう目の前に迫っている。選手を入れ替え、45分間で3得点を決めた粘り強さをモチベーションに変え、その後の戦いにもつなげていきたいところだ。

以上

2009.10.26 Reported by 今井雄一朗
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