10月20日に行われた全国社会人大会準決勝第2戦、tonan前橋対ツエーゲン金沢。Tonanの左サイドMF森田真吾（04年〜05年水戸に在籍）と金沢の右サイドバック・ビジュ（07年〜08年に水戸に在籍）が激しくマッチアップ。38分にはビジュが右サイドから正確なクロスを上げて先制点をアシストする。さらに後半15分には金沢が選手交代。ピッチに投入されたのは秋田政輝（05年〜06年に水戸に在籍）。切れのある動きを見せ、終了間際に左サイドからの折り返しをうまく合わせてダメ押しとなる4点目を決めてみせた。

試合終了後はまるで水戸の同窓会であった。森田のもとに秋田が挨拶にやってくると、さらにビジュもやってきてちょっとした輪ができあがり（森田とビジュは水戸では同時期に在籍していないが、06年に甲府で一緒にプレー）、私も混じって過去の思い出話や近況報告などとめどなく会話が続いた。前回のJ2日記でも書いたが、こうしてサッカーの現場で再会するのは記者としての幸せ。本当に楽しいひと時だった。
特に森田は自分にとって思い入れのある選手である。横浜FC時代の森田のプレーに魅了され、彼が水戸に加入したのをきっかけに水戸への取材活動がはじまった。それが縁で今もこうして水戸担当として活動させてもらっている。本当なら水戸のエースとして、またはさらに華やかな舞台で躍動する森田の姿が見たかった。でも、こうしていつまでもサッカーにしがみついて生きている彼の姿を見られるだけでもうれしい気持ちになれる。

今は群馬県内の高校で教師をしているという森田。「真吾が教師をやっているんだから、世も末だな」と冗談混じりで言うと、「みんなからそう言われますよ」と苦笑していた。現役時代からジョージ・ベスト的なある意味破天荒な生き方をしていた森田だが、今では「仕事が忙しくて飲みに行けないですよ」という。現役時代「どんだけ飲んでたんだよ！」とツッコミを入れたくなるが、確かに現役時代よりも体つきがシャープになっていたのが、なんだか笑えた。「言うことを聞かない生徒を見ていると、俺も昔はこんなだったんだろうなと反省しますよね」と、やっと大人の階段を昇りはじめたことを屈託のない笑みで話す森田は、いつまで経ってもどこか憎めない男であった。

「君らしい終わり方だったな」。あるJクラブのスカウトが森田に笑いながら言葉をかけてきた。試合終了3分前、右サイドからのクロスに対して飛び込んだ森田は勢い余って相手を蹴ってしまい、この日2枚目の警告を受けて退場となってしまったのだ。久しぶりの再会で、最後の最後に森田らしい『オチ』をつけてくれるところに、不謹慎かもしれないが、「さすが真吾、空気を読んでいるな」とちょっとうれしくなってしまった。

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2009.10.21 Reported by 佐藤拓也