選手たちの笑顔。子どもたちの笑顔。家族の笑顔。そして、ボランティアの笑顔。10月12日、雁の巣球技場にたくさんの笑顔があふれた。この日、雁の巣球技場で行われた「雁の巣パーティ2009」の光景だ。
このイベントは、普段は雁の巣球技場になかなか足を運ぶことが出来ない人たちに練習場見学の機会を提供し、練習後の選手たちと触れ合うことを目的として、昨年の10月にサポーター有志が企画・立案したもので、今年はアビスパ福岡(株)が主催し、アビスパ福岡後援会、アビスパ福岡サポーター有志の協力で行われた。参加したのは、前日の天皇杯を戦ったメンバーを中心とした11人と、小学生以下の子供連れの家族84人。運営のボランティアを含めると、100人を超す人たちが雁の巣球技場に集まった。
まずは、あこがれの選手たちの練習見学。クールダウンのためにジョギングする選手たちが観客席の前を通るたびに参加者から拍手が起こる。普段の雁の巣球技場では見られない光景に、選手たちはどことなく恥ずかしそう。しかし、子どもたちの声援と無邪気な笑顔に、どこか嬉しそうでもある。
練習終了後は全員がピッチの中に入って青空のもとでのトークショー。子どもたちを中心に様々な質問が飛び、選手たちがリラックスした表情で答えていく。「一言だけ」と釘を刺されたにもかかわらず話しこむ吉田宗弘に、選手たちはいつものように「長いぞ」と突っ込み(笑)、「自分が女性だったら、チーム内の誰を彼氏にするか」という質問に、鈴木惇は「ヨシさん(吉田)は自分の世界があるから対象外」と答えて笑いを誘う。
そして、雁の巣レクリエーションセンターに併設されている農園に移動しての芋掘り大会。選手と参加者、そしてボランティアが一緒になって土を掘り返す。この頃になると、選手、子ども、家族、ボランティアの垣根は全く消え、まるで、町内会の芋掘り大会のように打ち解けている。事情を知らない人が見たら、近所のサッカーチームのお兄さんたちと子どもが芋を掘っているとしか見えなかったかもしれない。でも、その垣根のなさが、選手たちにも、参加者にも心地よい。それは、誰もが浮かべていた満面の笑顔が物語る。
「普段は試合をしているところしか見られませんが、選手の普段の姿に触れることが出来たし、選手と接することは、子どもたちの将来の夢や希望にもつながるので、是非、また参加したいですね」と話してくれたのは平山里美さん。この日はご家族4人での参加。長男の湧登(ゆうと・10歳)君は「選手たちはかっこよかったし、一緒に芋掘りとかをして楽しかったです。また来たいです」と笑顔。そして、長女の鈴望(りほ・8歳)ちゃんは、最近サッカーに興味を覚え、現在サッカースクールに体験入学中とのこと。将来は、なでしこリーグで活躍しているかも知れない。
元気をもらったのは子どもたちだけではない。「前日の試合がPK戦まで行って、さらに移動も大変で疲れていたんですけれども、やって良かったです。いいリフレッシュになりました。特に子どもたちの素直な一面に触れられて、いいリラックスになりました」とは鈴木惇。そして黒部光昭は次のように話した。「子どもたちをはじめ、僕たちを応援してくれる人たちが集まってくれて、お互いが元気をもらいあって、本当に励みになりますね。こういう機会を増やして、もっとアビスパというチームを身近に感じてもらって、そして試合を見にきてもらって、僕たちが勝つ試合を見せて、みんなが喜んで帰ってくれるということを繰り返すことで、アビスパというチームがもっと福岡に根付くと思います。いいきっかけになるイベントでした」
地域の人にとってチームは町の誇り。そして、子どもたちにとってその存在は、夢と希望でもある。選手と触れ合うことで子どもたちが見せてくれた笑顔は何よりもその証拠。2時間足らずの時間だったが、この日の選手たちとの触れ合いを、子どもたちはいつまでも忘れず、励みにすることだろう。
そして、その素敵な笑顔は、子どもたちが感じた喜び以上の勇気を選手たちに与えたはず。もしかすると、この日、一番の思い出を作ったのは選手たち自身だったかも知れない。素敵な1日だった。
以上
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2009.10.19 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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(C)中倉一志
選手たちは子どもたちのあこがれ。夢と希望でもある。無邪気に見せる素敵な笑顔に、その気持ちが溢れている。
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(C)中倉一志
参加者からプレゼントされた「アビーくんキャップ」をかぶって照れ笑いを浮かべる鈴木惇。そのほかの選手たちも、普段は見せない柔和な表情を浮かべて参加者との触れ合いを楽しんだ。
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(C)中倉一志
子どもたち、選手、家族、ボランティアが参加して行われた芋掘り。選手たちも童心に帰ってくわをふるって芋を掘り起こす。
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(C)中倉一志
怪我の治療のため、イベントには不参加だった大久保哲哉だが、楽しそうな声に誘われて、治療室の窓から顔を出して自分の存在をアピール(笑)。サインに応じていた。
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