今日の試合速報

10月8日(火)24時〜27時 J.LEAGUE.jp メンテナンスのお知らせ

J’s GOALニュース

一覧へ

【キリンチャレンジカップ2009 日本 vs SCO】レポート:徹底したプレスから狙い通りのサイド攻撃で2点をたたみ掛けスコットランドに快勝。課題はあるが、悪くはない結果(09.10.11)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月10日(土) キリンチャレンジカップ2009
日本 2 - 0 SCO (19:20/日産ス/61,285人)
得点者:82' オウンゴール(日本)、90' 本田 圭佑(日本)
★10/14vsトーゴ@宮城・チケット好評発売中!
----------
あのペースで持つのかなと、素朴な疑問が湧いた。日本代表は前半から猛烈なプレスを仕掛け、スコットランドに攻撃の糸口を与えなかった。おそらくは、岡田武史監督から直々に選手に対し、プレスについての指示が出ていたのだろうと想像した。
攻守が入れ替わった瞬間のすばやい切り替えや、積極的なプレスによるディフェンスは日本代表が世界と渡り合うときの武器にしようとしているもので、だからこそ、90分にわたって体力を持たせるためのペース配分や、プレスのタイミングなどについて詳細な指示が出ているのだろうと想像した。
試合後、走り回っていた内田篤人(鹿島)にペース配分についてのチームとしての見解を尋ねると、「今日は行ける相手だったですし、リズムを作りたかった」と、彼個人がどういう意図でプレスをかけていたのかについての感想が返ってきた。
中村憲剛(川崎F)にも「ペース配分はどう考えていたのか」という質問をしたところ、「オレはペース配分は考えない。そんな事は言っていられないし、出られる時にやらないとダメだと思っていますから」と、これまた彼自身が行っていたプレスに対する見解を口にするのだった。
あれだけ徹底した囲い込みを行っていたのである。てっきり岡田監督から、チームとしてプレスについての詳細な指示や、ペース配分について話があったのだろうと思っていたが、実際は選手個々がそれぞれに判断して、走り回っていたのである。

岡田監督はこのスコットランド戦を前に「このシリーズ(香港戦からの3連戦)は我々の新しいステップの最初のシリーズになる。この第2戦目(のスコットランド戦)も我々のやらなければならない事に対するトライを90分間続けたい。アグレッシブなサッカーをして、ぜひ結果を出したいと思っています」と語っており、基本的な戦い方についての指示、つまりオランダ遠征で出た課題を受けての指示は出ていたはず。しかし実際に試合が進む中でどこまでプレスをかけるのか、つまりどこまで自分を追い込むのかという領域については、選手個々の判断に委ねられていたのである。
オランダ戦の敗戦を理由にプレスを放棄すべきとの言説がなかった訳ではないが、このスコットランド戦を見る限り、日本代表としてあくまでもプレッシングサッカーを貫くのだとの意思は固いように感じた。そして、実際に前後半を通して見せていた試合運び自体は悪くはなかった。

ただ、手放しでこの試合を賞賛するのは避けたいと思っている。相手を圧倒しながらも、無得点に終わった前半については岡田監督から「前半はサポートの顔出しも、パスを出すのも遅くて、選手間の距離が長すぎた」との反省の弁が出ていた。チャンスがなかったわけではなかったが、オランダ戦と同様に、決めきれないもどかしさを感じさせられた前半だった。

スコットランドと違い、もっと狡猾な相手との対戦であれば、プレスをかけるべく駆けずり回るだけでは、いたずらに体力を消耗させられる結果になりかねない。特にこの試合の前半は、ボールを奪ってからの攻撃のコーディネイトという点では貧弱で、単発な形が多かった。あれではなかなか強豪を崩すのは難しい。ただ、それでも04年2月のマレーシア戦以来の出場となった石川直宏(F東京)の飛び出しに中村憲剛が合わせる場面が何度か見られ、選手の特徴を生かした攻撃自体はできていたように感じた。
また、よりサイド攻撃を意識しはじめた後半は、目指す形のサッカーになっていたのではないかと思っている。たとえば後半に生まれた2ゴールの両方に絡んだ駒野友一(磐田)は「今練習をしている通りにボールを入れられました。オウンゴールでしたが、仕事ができてよかったです」と1点目を生み出した82分の早く低いクロスについて振り返り、「ああいう高い選手に対しては、ああいうボールが効く。そういう形で練習しているので、練習どおりのボールで点が入ったのは良かったです」と言葉を続けていた。

この得点については岡田監督も「駒野が練習通りの非常にいいクロスをあげてくれた。オウンゴールにはなったが、あれは触らなければ後ろには森本貴幸(カターニャ/イタリア)がいたので高い確率でゴールになっていたと思う」と賞賛の言葉を述べており、まさに意図どおりの得点だったといえる。本田圭佑(VVVフェンロ/オランダ)が90分に決めた2点目も、その起点となったのは駒野からの低いクロスであり、途中交代出場の森本がすばらしい反転からのシュートを放ち、そのこぼれ球を本田がきっちりと決めたものだった。

どうしても体格で劣る日本の弱点を補うべくトライしてきた「低くて早いクロスに複数の選手が詰める攻撃」もそれなりにできていたと思う。「サイドバックが上がったときにエリアの中に4人とか入っていた」と中村憲剛は振り返るが、それは代表合宿中の練習で繰り返し行われてきた形でもあった。
この試合のポイントはとにかくどこまでプレスをかけられるのかという点にあった。つまり、出場した選手が自らを追い込み続けた試合だった。その結果として、スコットランドの悪さもあったが、主導権を握り続ける中で試合を終える事ができた。そしてもう一つのポイントが、サイドからの攻撃で練習どおりの形が出せたという部分である。これらの成果を残せたという事について、意味のある試合になっていたと思う。

惜しむらくは「けが人が出た」事によりスコットランドが必ずしもベストな布陣ではなかったという点である。やるからにはベストメンバーに近い相手と本気で戦いたかったが、こればかりは相手がある事でもあり仕方はない。この時期は成果と共に課題をあぶりだしておきたいところだが、経験の少ない選手を多数出場させた日本代表を相手に、90分間でシュートを1本しか打てないのでは、日本の課題があぶりだされる事も少ない。なかなか課題が見つからない試合ではあったが、強いて上げるならば、やはり決定力不足という事になるだろう。この試合では特に前半に訪れていた決められそうな場面で決めきれなかったという部分に一抹の不安を感じざるを得なかった。オランダ戦の二の舞を覚悟していた部分はあった。

もちろんあのメンバーで試合を積み重ね、コンビネーション、コミュニケーションが取れてくれば、また違った形になるはずで、いきなり100点満点を望むのは少々酷な話なのかもしれない。
いずれにしても、日本代表は持ち前のプレスによってペースを握り、練習通りの形で得点を決めた。相手を考えればベストな結果ではないまでも、まずまずの成果が出せたと、そんな試合だったように思う。

以上

2009.10.11 Reported by 江藤高志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/10/07(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田Jリーグ全ゴールまとめ【1004-1006】