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【J2:第43節 横浜FC vs 草津】レポート:個の力を発揮させる意識が生んだ都倉の2ゴールで草津が4連勝を果たす。横浜FCは今季ラスト三ツ沢を勝利で飾れず。(09.10.05)

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10月4日(日) 2009 J2リーグ戦 第43節
横浜FC 1 - 2 草津 (16:03/ニッパ球/3,333人)
得点者:40' エデル(横浜FC)、60' 都倉賢(草津)、84' 都倉賢(草津)
スカパー!再放送 Ch183 10/5(月)16:30〜(解説:菅野将晃、実況:山下末則、リポーター:三須亜希子)
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横浜FC、草津共に昇格争いからは無縁な存在になってしまったが、プロとして1つでも上の順位を目指して、サポーターのために戦うというモチベーションは失われることはない。この試合の両チームは、コンディションや出場停止の関係でベストメンバーは組めないという制約された状況の中でも、最大限の力を発揮する努力が表現された試合となった。その中で草津の勝因となったのは、都倉賢という個の力と、その都倉の力を90分の中で発揮させる草津メンバーの確信だった。

「この試合のポイントはセンターバックだった」と佐野逹監督が語るように、出場停止のメンバーがいたこのポジションに、ボランチの松下裕樹を起用した。一方の、横浜FCも不在の安孝錬と小野智吉に代わり、エデルと根占真伍を起用。前半、この起用が吉と出たのは横浜FCのほうだった。

開始直後は、ともにゴール前までボールを運ぶオープンな展開。横浜FCがこの日スタメンに入ったエデル、根占を中心にチャンスメイクすれば、草津も小林竜樹の絶妙なオフ・ザ・ボールの動きで、横浜FCの守備ブロックを崩しに掛かる。そして、10分を過ぎたあたりから、陣形は徐々にコンパクトになる。そして、この時間からエデルのプレーが目立ち始める。24分に左サイドを3人抜きし決定的なチャンスを作ると、26分に広い視野から難波宏明へラストパスを送る。難波の放ったニアへのシュートはキーパー常澤聡に防がれるが、流れは横浜FCに傾く。そして40分、片山奨典のFKにエデルが絶妙な動きで抜け出し、Jリーグ初ゴールを決めて横浜FCが先制する。佐野監督が警戒していた安の代わりに出場したエデルが、松下が入った守備陣をかき回す形で、まずは選手起用の妙が横浜FCに味方した前半となった。

後半立ち上がりも、田中輝和のバーを叩くロングシュートなど、横浜FCに得点機が訪れるが、53分草津が秋葉信秀を投入し松下をボランチに戻したところが、この試合の大きなターニングポイントとなる。60分に、都倉が早川知伸を入れ替わったところを倒されPKを得て、そのPKを都倉が決めて同点とする。そこからは、見た目は一進一退の攻防となるが、攻撃に松下という推進力を得た草津が、「慌てず揺さぶって、ゴールに向かってポゼッションしていこう」という佐野監督のハーフタイムコメント通り、サイドチェンジを多用しながら徐々に横浜FCの守備ブロックを押し下げていく。これがボディブローのような形で横浜FCの体力を奪っていく。そして、横浜FCがフレッシュな選手への交代を準備して、第4審判に交代を紙を提出している最中の84分、左サイドからのクロスを都倉が驚異的な打点からのヘディングシュートで叩き込み逆転に成功する。相手の運動量を奪うことで、都倉の個が活きる瞬間を狙い続けた草津の狙いがハマった形だった。横浜FCも、この試合が今季最後となるニッパツ三ツ沢球技場での勝利を狙い、最後までゴールを狙い続けるが、「相手のジャブが効いていた」(三浦淳宏)影響か、正確に枠を捉えるプレーができずに、試合は1-2で終了した。

前節の富山戦で、不甲斐ない試合をした横浜FCにとっては、ハードワークの部分を取り戻したこと、エデルを中心として今後に期待させる種を見出したことは評価できるが、一方で安、小野が不在の時のプレーの精度にはまだまだ改善の余地があることを再認識する結果となった。時計の針が進む毎に、エデルと周りのコンビネーションが良くなっていったが、組み立ての段階で押し上げが足りずに相手を追いつめる状況を多く作り出せることはできなかった。ニッパツ三ツ沢球技場での2連敗という非常に残念な結果をバネに、残りの8試合でいかに良かったサッカーを取り戻すか。エデルという光明も見出した試合だけに、チームとしての戦い方の更なる向上が必要となる。

一方の草津は、前節に続きレギュラー不在の中4連勝を果たした。都倉という個の力だけでなく、その個の力を90分の中で発揮させるというチームの意思統一、確信で上回ったと言える。次は昇格に望みを繋いでいる鳥栖との対戦。この試合で発揮した強みの真価が問われる。

単純に個の力の差ではなくて、個の力を90分のどこかで発揮させるチームとしての戦い方。その点に一日の長があった草津の勝利となった。個の力に極端に依存するのではなく、いかに生かすか。その点で示唆に富んだ試合であった。

以上

2009.10.05 Reported by 松尾真一郎
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