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【J2:第43節 水戸 vs 徳島】レポート:吉原が流した涙。水戸、ミスによる自滅で5連敗。もっと強く、もっとタフに戦わなければならない。徳島は7位水戸と勝点差1に迫る貴重な勝利。(09.10.04)

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10月3日(土) 2009 J2リーグ戦 第43節
水戸 0 - 3 徳島 (13:04/笠松/1,595人)
得点者:64' 挽地祐哉(徳島)、68' ファビオ(徳島)、73' ペスンジン(徳島)
スカパー!再放送 Ch185 10/5(月)17:30〜(解説:遠藤雅大、実況:加藤暁、リポーター:佐藤愛美)
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「生まれてはじめて情けなくて涙が出た」。69分、2失点直後にベンチに下がることとなった水戸・吉原宏太は涙を拭いながら、ピッチを去った。ミスからの失点による惨敗で、泥沼の5連敗。一時4位に勝点差5まで迫った強さは完全に失われている。試合後、吉原は何度も何度も「情けない」という言葉を繰り返した。

チーム全体が強く試合に立ち向かったからこそ、悔しさは募る。「失点までは今年の中で数えられるぐらいのナイスゲームだった」と大和田真史が振り返るように、ここ数試合の悪い流れを断ち切ろうと選手たちはアグレッシブな姿勢を見せた。これまでのロングボール頼みの攻撃ではなく、中盤でテンポのいいパスを回し、サイドに展開。厚みのある攻撃で徳島ゴールを襲った。守備でも前線から激しくプレスをかけ、DFラインを押し上げて高い位置でコンパクトを維持。徳島に攻め手を作らせず、「前半はほぼノーチャンス」(美濃部直彦監督)に抑えた。圧倒的に試合を支配した水戸に光が射し始めていた。

だが、水戸は自らの手で光を閉ざしてしまった。64分、徳島の右サイドのクロスに対し、キム・テヨンがクリアミス。力なく蹴りだされたボールは目の前の徳島・柿谷曜一朗の前へ。柿谷からフリーで走り込んだ挽地祐哉に送られ、いとも簡単にシュートを打たれて先制点を許すこととなった。そこからの水戸のメンタルの崩壊は無惨であった。それまでの内容が嘘のようにミスを連発。4分後には中盤で森村昂太がトラップミス。そこから速攻を食らい、最後はファビオに1対1を決められ、2点差に。さらに73分にはCKのマークを完全に外し、ペ・スンジンに鮮やかに頭で決められ、一挙に3点差にされてしまった。前節草津戦後から何度もミーティングやビデオを見ることを繰り返し、自分たちの戦いを見つめなおした。そこで確認し合ったのが、「今の流れで絶対に軽いプレーをしてはいけない」(吉原)ということだった。それにも関わらず、起きた軽いプレーからのミスによる失点。「甘さ以上にひどいいい加減さ」。吉原の怒りは鎮まることがなかった。

ただ、それ以上に残念だったのは選手たちの失点後の落胆ぶりだ。「失点してから全体的に気持ちが切れている感じがあった」と森村が言うように、完全に集中力を欠くプレーの連続。3失点目のプレーはそれを顕著に表していた。あまりにも弱いメンタル面。今の水戸に必要なのは「もっと強く、もっとタフにならないといけない」(木山隆之監督)ことだ。強くなるために必要なことは何か。それはチームがひとつとなって戦うことである。サッカーにミスはつきもの。運不運もある。そこで必要なのはミスをカバーし合う精神ではないだろうか。たしかにミスから失点を繰り返した。ただ、そこで気持ちを落としているチームはもはやチームではない。ミスが起きたら、それを取り返そうとより強い気持ちでプレーするのがチームなのではないだろうか。

ここでもう一度見直さなければならない。サポーターやファンはチームの勝ち負けだけを見に来ているわけではないということを。彼らは愛しているクラブの選手たちの、90分間前を向いて戦う姿を見に来ているのである。その結果、たとえ試合に敗れても胸を張ってスタジアムを後にできるだろう。しかし、それが出来なかった場合、いかなる結果になろうと満足して帰ることはできない。試合後にスタンドから痛烈な罵声が飛んだが、それは選手たちが最後まで戦う姿勢を見せられなかったからで、試合に負けたことだけが理由ではないはずだ。「2度とこういう試合をしてはいけない」と吉原は言う。だが、それは2度とミスをしないということではない。2度とミスをしても頭を下げないということである。戦術、技術、体力よりもまずはそのプロとして最低限のメンタリティーを見せること。いや、見せ続けること。それでしか失った信頼は回復できない。「この負けを重く受け止めないといけない」(吉原)。水戸は立ち上がることができるか。

徳島にとっては大きな1勝だ。7位水戸と勝点差1に迫る勝利であり、大勝後に弱いというジンクスを跳ね除ける貴重な勝利でもあった。前半は水戸の猛攻にさらされることとなったが、「粘り強く守れば、勝てると信じて戦っていた」とペが言うように、集中を切らすことなく、耐え続けた。その結果、後半、相手のミスに乗じてゴールを連発。90分通して安定した戦いを見せたことが勝利につながった。

一時は9位まで落ち、苦しい状況に陥っていた徳島だが、そこから強く這い上がってきた。その原動力となっているのが、六車拓也や挽地といった「夏場までチャンスのなかった」(美濃部監督)選手たちの台頭だ。開幕から出場機会に恵まれなくても必死にトレーニングに打ち込んできた彼らの姿勢と成長がチームを活性化することとなっている。今節はメンバー入りこそしなかったが、林祐征も遠征に帯同。着実にポジション争いが激しくなっており、シーズン前から美濃部監督が求めてきた選手層の厚さがやっと整ってきているのである。この試合で挽地が決勝ゴールを挙げて勝利。そこに昨季まで3季連続最下位だったチームの面影はなかった。今後数年、さらに強くなる基盤が築かれつつある。それを証明した勝利であった。

以上

2009.10.04 Reported by 佐藤拓也
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