9月30日(水) AFCチャンピオンズリーグ
名古屋 3 - 1 川崎F (19:00/瑞穂陸/8,798人)
得点者:27' 小川佳純(名古屋)、35' 吉田麻也(名古屋)、38' 鄭大世(川崎F)、88' ケネディ(名古屋)
☆11/7(土)ACL決勝@国立のチケット情報!
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天敵からの快勝劇で、名古屋が新たな歴史の扉を開いた。川崎Fとの同国対決となったAFCチャンピオンズリーグ準々決勝を2戦合計4−3で勝利。アウェイでの第1戦敗戦のビハインドを跳ね返し、ホームでベスト4進出を決めてみせた。
3日前のリーグ鹿島戦で王者相手に4−1の圧勝を収めていた名古屋は、さらに主力をターンオーバーで休ませる余裕の采配でこの第2戦に臨んだ。スタメンは第1戦のメンバーから吉村圭司に代え、三都主アレサンドロを起用する攻撃的な布陣。アウェイゴールや合計スコアの計算以前に、過去10戦未勝利の相手から勝利を奪う意気込みを見せてきた。
川崎Fも第1戦で出場停止だった村上和弘が戻り、ベストメンバーを瑞穂陸のピッチに送り込んできた。前日会見で「90分で勝ちきる」と発言した関塚隆監督は、その任務を託すに足る11人を選んできたといえるだろう。
試合は両チームとも非常に慎重な入り方を見せた。先に仕掛けたのは名古屋。15分を境にペースをつかみ、徐々に相手ゴール前への迫力を増してきた。ここでポイントとなったのが、試合後に関塚監督が語った「我々の左サイド、名古屋の右サイドでの攻防」だった。関塚監督は第1戦とサイドハーフの位置を入れ替え、突破力に優れるレナチーニョと村上を田中隼磨と小川佳純にマッチアップさせた。狙いは名古屋のサイド攻撃を抑止することだった。だが、その目論見は前半27分にもろくも崩れ去ることになる。
ハーフカウンターのような形でフリーになった小川が、中央を固める川崎F守備陣を尻目に強烈なミドルシュートをゴール右隅に突き刺し先制。注意していたはずのゾーンでミスが起きたことで、川崎Fは浮き足立った。34分には三都主の中央やや右より遠目のFKを吉田麻也がゴールに流し込み2点目を挙げる。この時点で合計スコアは3−2。名古屋が1度目の逆転に成功した。
だが、リーグ屈指の得点力を誇る川崎Fもさるもの。2失点目から3分後に左サイドをレナチーニョが突破。2人をかわして鄭大世に預けると、鄭はマークをものともせずにゴールにねじこんでみせた。これで合計スコアは3−3のイーブン。アウェイゴールも同数のため、試合はまったくの振り出しに戻された。前半はそのまま終了。勝負は後半の45分に託された。
ここで後半を迎える両チームの心中を推し量ってみる。川崎Fは1点を取ればアウェイゴールで名古屋を上回るため、比較的失点への恐怖は少ない。逆に名古屋は失点すればそこからさらに2得点が必要となるため、リスクマネジメントとして前には行きづらくなる。精神的には名古屋がやや不利。試合は硬化していく可能性が高いと思われた。
しかし実際の後半は予想を裏切り、両チームが前に出るアグレッシブな展開でスタートした。開始直後の2分にレナチーニョが、6分、7分と立て続けにケネディが決定機を迎え、積極的に試合を決めにかかる。ここで勝敗を分けたのが、チームスタイルとピッチコンディションだった。この日の天候は雨。「ピッチがスリッピーなところで、最後の精度を欠いた」と関塚監督が言えば、「向こうは雨のせいもあって、縦パスの精度が低かった」と増川隆洋も縦パス中心の川崎Fへの影響を証言する。ショートパスをつなぐ名古屋への影響は少なく、攻撃がつながらない川崎Fは疲弊の一途。おのずと、試合の主導権は名古屋へと移っていった。
後手に回った川崎Fに対し、名古屋は26分にボランチ2名をまるごと入れ代える大胆策を敢行。これで中盤の引き締めを図ると、迎えた43分。決勝点がまたも名古屋の右サイドから生まれた。吉田の前線へのフィードに田中隼磨が反応し、ファーサイドのマギヌンへクロス。ボレーシュートは当たり損なったが、これがGK川島永嗣のファンブルを誘い、最後はケネディが押し込んだ。劇的な逆転ゴールは、試合終了間際でも前がかりに攻め続けた勝利への執念が実ったもの。名古屋はその後守りを固めて追加点を許さず。実に11度目の正直で川崎Fから勝利を挙げるとともに、アジア4強の座も手に入れた。
名古屋はこれでACLにおける唯一の『日本代表』となり、浦和、G大阪に続く日本勢による大会3連覇という重責を担うことになる。「僕たちが倒してきた相手のためにも戦わなければならないし、日本の代表としてアジアでのポジションを維持するために優勝を目指す」と話したのはスタメン最年少の吉田。経験豊富な田中は「今日勝ってもまだ自分たちは何も得ていない。ただ準決勝への切符を得ただけ」と慢心を排除した。「国立(決勝進出)を目指すのではなく、優勝を目指します」とも。彼らはすでに自らの立場を理解している。準決勝の第1戦は3週間後(10/21@サウジアラビア)。相手はサウジアラビアのアル・イテハドに決定した。初の中東勢との一戦に名古屋はどのように立ち向かうのか。その間のJ1リーグ戦も連勝で突き進み、勢いをもってアウェイに乗り込んでほしいものだ。
以上
2009.10.01 Reported by 今井雄一朗
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