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【J2:第42節 横浜FC vs 富山】レポート:横浜FCは「リベンジ」から遠い敗戦。ハードワークの差で上回った富山が、鮮やかな逆転劇で7試合ぶりの勝利を収める。(09.09.28)

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9月27日(日) 2009 J2リーグ戦 第42節
横浜FC 1 - 3 富山 (13:03/ニッパ球/3,076人)
得点者:32' 八角剛史(横浜FC)、38' 中田洋平(富山)、60' 木本敬介(富山)、82' 石田英之(富山)
スカパー!再放送 Ch183 9/28(月)13:00〜(解説:田中真二、実況:野村明弘、リポーター:湯本久美)
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この試合の予兆は、両チームの前節の内容にあったと言って良い。前節、横浜FCは全く走れずに、試合終了間際の同点ゴール以外は最近の好調さが嘘のような内容。一方の富山は、0-2の敗戦ながら後半は持ち前のハードワークが復活し、草津に迫る内容だった。ともに長距離移動を挟んだ中3日の試合の中、前節の試合をそのまま写したようなゲームとなった。

前半、横浜FCは守備ではバランスを取ることに成功するが、一方で攻撃時の動きが少なく、連携も不足していた。この日トップで起用された西田剛と安孝錬の距離が離れていたため、西田へのクサビのボールに対する堤健吾、金明輝のチェックの前に起点が作れず、試合はかなり早い時間から膠着状態に陥る。ボールを持つ時間が長いのはホームの横浜FCだが、そのポゼッションに怖さを見せられない状態が続く。富山から見れば持たせている感じすらあった展開。怖さという点では、時折、長谷川満のポストプレーからカウンターを展開する富山の方がより強く感じられた。そのような展開の中、先制点は横浜FCに入る。32分、一度右サイドに展開されたボールから、田中輝和からのクロスを「最初から飛ばしてでも、前に飛び込むプレーを心がけた」という八角剛史がヘディングで押し込んだ。この先制点を機に、富山も前に出る意識を強めると、38分にコーナーキックから中田洋平のJリーグ初ゴールで同点に追いつく。これが、後半につながる大きなゴールとなる。その後も活性化できない横浜FCに対して、徐々にペースを上げていく富山がチャンスを作りながらゲームは進行した。43分に朝日大輔が怪我で退くアクシデントはあったものの、後半に向けたムードの差を感じさせながら、前半は1-1で終了する。

「ハーフタイムのコメントに反応してくれた」という楚輪博監督の言葉通り、後半立ち上がりから、引き続き富山が攻勢を強める。このペースチェンジに後手を踏むようになると、すかさず樋口靖洋監督も手を打つ。なかなかボールが収まらなかった西田、安のコンビをあきらめて難波宏明を投入。難波が富山のDFラインの裏に走るプレーを見せると、ようやく西田にもボールが入り始め、応戦態勢を整え始めたかに見えた。しかし、この交代でも前半から失われたままだったチーム全体のダイナミズムを復活させるには至らず、再び富山のハードワークに屈するようになる。そして、プレッシングのバランスが崩れたところを、西野誠のドリブルで前線に運ばれると、ミスが生じたDFラインを突いて60分に木本敬介が逆転ゴール。そして82分深い位置からのフィードを途中出場の石田英之が引っ掛けて奪うと、一度木本に預けてから石田がゴールを決めて3-1と富山がリードを広げた。この間、横浜FCはペースアップした富山に完全に主導権を明け渡したままであり、そして2点差を付けられた後も自らのプレーを忘れたかのようにポゼッションも出来ない状態が続いた。ゲームは、そのまま3-1で終了するが、後半だけを見ればどちらがホームかわからない試合であり、ハードワークの質の差が、直接的にスコアに表れた結果となった。

横浜FCにとっては「プロとしてはあってはならないようなゲーム」と樋口監督が振り返ったように、前節に引き続き走れないゲームを繰り返したという点が大きく課題として残った。第2クール途中からようやく内容が結果としてつながるようになり、ホームゲームでは内容と結果の両方を見せられるゲームをしていただけに、第1クールのような試合に戻るわけにはいかない。幸い、第1クールと違い、結果を残せるようになった経験は蓄積されているはずであり、その経験をもたらしたプレーの原点に立ち戻ることは可能だ。「もう2度とこんなゲームをしないということを選手共々誓って、残り9試合をしっかり戦いたい」という指揮官の強い言葉を、チーム全体でどのように表現できるか。良かったときのハードワーク、戦術的なまとまりを取り戻すことが求められる。

一方の富山は7試合振りの勝利、それも3試合無得点を脱する3得点で勝利できたことの意味は大きい。JFLからの昇格初年度ながら、新加入クラブの中では最もコンスタントに勝点を積み重ねた、その自信を取り戻すきっかけとしては、良い試合となったに違いない。後半にかけてプレーが良くなった原因は、ハードワークと前半の同点ゴールの相乗効果だろう。その相乗効果はハードワークがあって初めて表れてくることを、この日の富山は身を以て示した。残りの9試合も、この戦いを続けられれば、J2初年度の戦いをより意義深いものにできるだろう。

第3クールになると、自らのチームの戦いが成熟すると同時に、相手の戦いも成熟している。その中でリベンジを果たしていくいためには、ハードワークで負けてはいけない。次節、今季最後のニッパツ三ツ沢球技場の試合に、この悔しさをぶつけられるか。この試合の意味は、その1点に掛かっている。

以上

2009.09.28 Reported by 松尾真一郎
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