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【J2:第42節 札幌 vs 湘南】レポート:ホームの札幌がキリノの2ゴールで快勝!シーズン終盤らしく緊迫した試合を制して3連勝を達成!(09.09.28)

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9月27日(日) 2009 J2リーグ戦 第42節
札幌 2 - 0 湘南 (13:05/札幌厚別/8,935人)
得点者:28' キリノ(札幌)、71' キリノ(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 9/28(月)10:30〜(解説:川本治、実況:宮永真幸、プレーヤー解説:大森健作、リポーター:藤井孝太郎)
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前半の立ち上がり、どちらも運動量があまり多くなく、どこか慎重な雰囲気が漂う展開だった。それはそうだろう。ホームの札幌は7位で、J1昇格を考えるともうひとつも落とせないような状況にある。対する湘南の方も41節時点で、昇格圏内ギリギリの3位であるため、少しでも成績を落とせば苦しい立場に陥ってしまう。双方ともに、勝ちたいのは当然ながらも、それ以上に「負けたくない」という気持ちが先行していたようだ。シーズンの残り10試合という状況を考えると、どんなに経験豊富なチーム同士の対戦であったとしても、こうした展開になってしまうだろう。

ゲームの展開としては、大まかに言うと前半は札幌は宮澤裕樹、湘南は田原豊の活かし合いだったと言っていい。札幌は宮澤のパスセンスを活かして相手の急所にパスを送り、湘南は187センチという田原の長身と懐の深さを活かして前線にうまくボールを収めていた。札幌は趙晟桓、ダニルソンという外国籍選手2人が負傷のため欠場していたが、そのポジションに日本人選手が入った分、言葉がうまく通じるというところでコミュニケーションの部分が上手く機能し、組織全体としては普段よりもうまくいっていた印象がある。だが、個の力の部分。趙もダニルソンも、規律という部分では若干のズレがあるもののフィジカルは突出している。そのため、この2人を欠いて戦術的には洗練されたが、田原のようなタフな個の力を持った選手を封じるには、やはり趙とダニルソンの欠場は響いていた。田原とマッチアップした吉弘充志もよく体を張って対応していたが、後手に回っていた感は否めなかった。

ここで功を奏したのが札幌のシステム変更だ。この試合の札幌は芳賀博信をアンカーの配置する4−1−4−1でスタートしたが、田原への対応に苦しむと「選手と、監督の意見を反映して」(高原寿康)守備的MFを芳賀と上里一将の2枚へと変更したのだ。「田原にボールが入ったときに、CBと自分が挟みに行ったら簡単に横に出されてしまう。そこを2枚にしたことで安定した」と芳賀は振り返る。

湘南として残念だったのは、2列目でプレーした寺川能人と坂本鉱司がパスの配球役としては機能していたものの、後方からはなかなかいいタイミングで飛び出すことが出来なかったことだ。この試合を前に札幌のCB石川直樹は「相手の2列目がいいタイミングで飛び出してきたら、あまり思い切ってDFラインを押し上げることはできないかもしれない」と話していた。しかし、そういった動きがあまり活発ではなかったため、札幌は積極的にDFラインを高く保ち、田原にボールが収まったとしてもすぐにCBと守備的MFが挟み込んで対応することができていたのだ。

そうしたなかで試合が動いたのは28分。札幌は宮澤が起点となって右サイドを突破し、そこから西大伍が中央へ低くスピードのあるクロスを入れると、そのボールをニアサイドに飛び込んだ古田寛幸が上手く流して最後はキリノが押し込んだ。

それまでの流れを考えると、ゲームの主導権は札幌が握ったまま推移し続けるのかと予想された44分。湘南がPKを得たのだ。時間帯を考えると、そこまでいい流れで試合を進めていた札幌にとっては痛恨だった。幸い退場者こそ出なかったものの、このPKで流れは一変するかもしれない。そう考えた矢先に、阿部吉朗が蹴ったPKを高原が見事にストップしたのである。札幌は選手たちが一斉に高原へと駆け寄り、そのPKが札幌サポーターの陣取るホーム側のゴールで行なわれたこともあってスタンドの盛り上がりは最高潮に。途切れたかと思われた札幌の流れは、災いが転じて再び大きなものとなったのだ。

札幌が1−0のスコアで迎えた後半は、完全にスタンダードなゲームとなった。ビハインドを追う湘南が攻撃の圧力を強め、それを受けた札幌がカウンターを仕掛けるという展開だ。
58分、湘南は阿部がフリーで抜け出すというビッグチャンスがありながらもシュートはクロスバーに弾かれる。札幌の方も3度ほど決定的に近いカウンターに持ち込みながらもシュートが入らないというシーンがあった。湘南は流れを変えるチャンスが、札幌には勝負を決めるチャンスがありながらも、どちらもシュートを決めきれない。これもまた、J2のスタンダードな展開と言えるのかもしれない。

そうした展開を変えるべく、湘南の反町康治監督はリンコン、鈴木修人を2枚同時投入。システムを4−3−3から田原、リンコンを前線に配置した4−4−2へと変更。中盤はダイヤモンド形だ。そして右MFの位置に入った寺川は比較的内側へとポジションを取るため、そうして出来た右サイドのスペースを攻撃的な右サイドバックの臼井幸平が駆け上がる。ターゲットが2枚になったこと、サイドバックの攻撃参加が増えることで攻撃力を一気に強めたのだ。

だが、残念ながらこの策は機能せず。策としては悪くなかったのだが、後半の立ち上がりに札幌のカウンターを浴び過ぎたせいで、全体的に体力を消耗していたようである。肝心なところで動きに鋭さが足りなかった。

そして71分、今度は札幌がカウンターからPKを得て、こちらはキリノがしっかりとゲット。スコアを2−0として勝負を決めた。

終わってみると、やはりシーズン終盤らしい展開だったと思う。立ち上がりは互いに慎重だったし、結果こそ札幌の完勝ではあったが、札幌の石崎信弘監督が「相手も1本PKがありましたし、ひとつバーに当たったシュートもあった。ああいうところを入れられるとゲームというのはどういう風になるかわからない」と振り返ったように、展開としては紙一重だったのかもしれない。ちょっとの出来事が試合結果を大きく変える、そんな緊張感の溢れる試合がラスト9節、演じられるのだ。

以上

2009.09.27 Reported by 斉藤宏則
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