9月27日（日）J2 第42節 草津 vs 水戸（16:00KICK OFF/正田スタ）
スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：佐藤正美、実況：吉田学、リポーター：円戸由香）
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このままで終わるわけにはいかない。今季、栃木がＪ２に参入したことにより３チームによる覇権争いへとランクアップした「北関東ダービー」。計９試合のダービーマッチのうち計４試合をホーム敷島で開催しホストチームとなっている草津にとって、現在の状況は屈辱以外のナニモノではない。

草津は北関東ダービー４戦を終えた時点で２分２敗の勝点２。３勝１分１敗の勝点１０で首位を走る水戸、２勝１分２敗で勝点７を奪っている栃木に大きく水を開けられた。残る２戦で連勝しても水戸の勝点を上回ることができないため、北関東王者は水戸か栃木に絞られた。今節の水戸戦で草津が勝利を収めない限り、チャンピオントロフィーは敷島の地で、水戸サポーターに手渡されることになる。また、勝利を逃した時点で草津の最下位が確定する。草津は、今節を含めた残り２戦で連勝し意地を見せるしかない。

これまでは水戸の快進撃を、指をくわえてみているだけだったが、ついに水戸を叩くときがやってきた。草津は前節富山戦でも完封勝利を収めて約４カ月ぶりの２連勝。今季、苦しみ続けたチームにようやく光が見え始めた。今節の草津のミッションは、前節鳥栖戦で敗れて３連敗となり昇格への道が遠のいた水戸の傷口へ塩を塗り込むこと。今季の対戦成績は１分１敗。草津は、ライバルを敷島で叩いて戦績をイーブンへと持ち込む。

水戸征伐の急先鋒となるのは、身長１８７センチの大型ストライカー都倉賢と、身長１６２センチのリトルドラゴン小林竜樹で結成される、身長差２５センチの２トップだ。８月に湘南から期限付き移籍した小林は、前々節甲府戦でプロ初先発し初ゴールを記録すると前節富山戦でも先発出場し２戦連続ゴール、新天地で鮮烈なデビューを果たし強運ぶりを発揮している。「竜樹（小林）は１．５列目から飛び込むタイプ。新加入だが良い意味でチームを荒らしてくれている。コンビネーションを高めれば、もっと良いプレーができる」と都倉。今ゲームは草津の新生２トップがさらなる輝きを魅せるはずだ。

ちなみに小林と水戸・高崎寛之は駒大時代の同期で、２トップも組んだ間柄。小林によると、草津へ移籍した際も連絡を受けたという。元チームメートとの対戦を待ちわびる小林は「（高崎は）身体能力は大学時代から凄かったが、プロになって足元もうまくなった。味方としては頼りになる選手だが、敵にすると嫌な選手だ」と話し、「自分はチームが勝つために何ができるかを常に考えてプレーしたい」と決戦へ挑む。

７月、８月を９勝２分１敗という驚異の成績を残し昇格争いに手が届く場所まで上り詰めた水戸だが、昇格を意識した９月から停滞感が漂い始めた。３９節で栃木に０対２で完敗を喫すると、続く岐阜、さらには鳥栖にも敗れて今季初の３連敗。高崎、荒田智之の2トップ頼みのサッカーから脱却を図ろうとしたことでバランスが崩れた面もあるが、ゲームメーカー菊岡拓朗らが構成する中盤の組み立ては面白く、きっかけさえつかめば再び気流に乗る可能性を秘める。最近は攻撃陣が前がかりになるあまり、前線とＤＦが間延びし中盤の底に大きなスペースが生じている。草津は、切り替えの速いサッカーで水戸の急所を突きたい。水戸を前へとおびき出すためには先制点がほしいところだ。

２戦連続無失点の草津守備陣は、守備の要CB田中淳が累積警告で出場停止。藤井大輔の起用が濃厚だが、小池純輝、喜多靖とのライン形成は初となるだけに連携面では細心の注意が必要だ。草津DFは水戸２トップの決定力を警戒しながら攻撃陣の援護射撃を待つ。喜多は「水戸の２トップは一瞬でも隙を見せたらやられる。DFは90％とかではなくパーフェクトが要求される」と表情を引き締める。攻撃面では、前節で負傷交代したキーマン熊林親吾の回復状態が気掛かりな点だ。

これまでの北関東ダービーでサポーターの想いに応えられなかった草津の選手たちは、この１戦にすべてを捧げる覚悟だ。「ダービーは意地とプライドの勝負。技術ではなく気持ちで負けないことが何よりも求められている」と都倉が話せば、水戸キラーでもある松下裕樹は「昇格争いが厳しくなった水戸がどんなモチベーションで来るか楽しみ。水戸が熱ければ熱いほど、燃えてくる」と闘志をみなぎらせる。草津は、水戸を倒すことで水戸の昇格争い参入に引導を渡す。そして、北関東ダービー残り２戦で草津の真の強さを証明する。

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2009.09.25 Reported by 伊藤寿学