9月23日（水）J2 第41節 福岡 vs 徳島（16:00KICK OFF/レベスタ）
スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：布部陽功、実況：南鉄平、リポーター：森田みき）
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　仙台を破った勢いのままに連勝を目指して室蘭に乗り込んだ福岡だったが、札幌と互角の戦いを演じながらも、上里一将のＦＫ一発にやられて敗戦。相変わらず、思うように勝点を積み重ねられない状況が続いている。しかし、下を向いても何事も解決しない。いまやるべきことは、持てる力の全てを相手にぶつけてチャレンジし続けること。そして、第４１節、福岡はホーム・レベルファイブスタジアムに徳島を迎えて仕切り直しの一戦に臨む。

　一言でいえば、福岡に求められているのはバランスだと言える。たとえば９０分間をバランスよく戦う力。前半の戦い方は落ち着いてきたが、後半に入って相手が戦い方を変えてくると、そのままリズムを失う傾向にある。あるいは攻守のバランス。攻めに出た時にリスク管理がおろそかになり、カウンターから失点することが多い。そして中盤のバランス。特にボランチが低い位置にとどまってしまい、前の４人が孤立するパターンがしばしば見られる。札幌戦ではこの傾向が顕著で、ボランチのところでボールを収められず、さらには前の４人をフォローすることも出来なかったために、攻撃を組み立てられないという壁にぶつかった。

　そして、徳島戦で最も重要になるのは中盤のバランスだ。４−２−３−１のシステムをとる福岡は、トップ下に位置する大久保哲哉と、前線に残る黒部光昭への長いボールを起点にして攻撃を組み立てるが、後方からのサポートと押し上げがなければ、２人は相手のプレスの標的にされ、そこからショートカウンターを仕掛けられるという悪循環に陥る。まさに札幌戦が、その典型的なパターンだった。
　移動を含めて中２日で迎える試合に向けては大きな修正は出来ず、人と組み合わせを変えることで対応することになりそうだが、ボランチを機能させることが勝利への第一条件だろう。

　さて、迎える徳島は、第３４節から５戦勝ちなしと苦しい時期を経験したが、第３９節の四国ダービーに競り勝つと、前節の熊本戦では大量６得点を奪って完勝。２試合連続無失点と波に乗りつつある。昨シーズンまでとは大きく様変わりしたチームは順位を８位につけているが、目指すものは更なる上のレベル。中位チームから上位チームへの脱皮だ。そのモチベーションは高く、福岡にとっては、ホームでの戦いとは言え、少しの油断も許されない相手だ。

　徳島の攻撃の特長は中盤でプレスをかけてボールを奪い、そこからショートカウンターを仕掛けるというもの。あるいは、前線の羽地登志晃へのロングボールを起点にして、徳重隆明、柿谷曜一朗が前線に飛び出してチャンスを窺う。
　守備のリーダーは中盤の底に位置する青山隼。ピンチの芽を察知して未然に防ぎ、チーム全体の守備をオーガナイズし、安定した戦いを支えている。そして、相手の特長や狙いに応じて、いくつものシステムを使い分けるのも徳島の特長のひとつ。「システムを頻繁に変えるチームはあまりないと思うが、我々はそういう戦い方をしていて、選手の適応能力は高いなといつも感じている」と、美濃部直彦監督は自らの強みを語る。

　その徳島との戦いでは両サイドの攻防が鍵を握りそうだ。柿谷、徳重の能力は高く、ここで自由にやられてしまっていては勝利は遠い。札幌戦で見せたように相手がスピードに乗る前につぶしてしまいたいところだ。その上で、サイドで数的優位を作って、この２人の裏に広がるスペースを使いたい。
　そして先制点。チームとしての戦い方に安定感がない福岡にとっては、リスクを負って追いかける展開だけは絶対に避けたいところ。まずは注意深く試合を進めることが肝要だろう。

　今シーズン、福岡がレベルファイブスタジアムで戦えるのも残すところ５試合。サポーターは、二度と来ない試合に力の限りに声援を送り、福岡に関わる人たちは、様々な思いを拍手に乗せる。その思いに応えられる唯一の方法は勝利を掴むことしかない。スタンドの観衆と喜びを分かち合うこと。それがいま福岡がやらなければならないことだ。

以上

2009.09.22 Reported by 中倉一志