本文へ移動

今日の試合速報

ブルーロックLP
ブルーロックLP

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第40節 札幌 vs 福岡】レポート:膠着したゲームはセットプレーが勝敗を分けた。上里一将の直接FKが札幌に歓喜の勝点3を呼び込んだ!(09.09.21)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
9月20日(日) 2009 J2リーグ戦 第40節
札幌 1 - 0 福岡 (13:03/室蘭/5,824人)
得点者:48' 上里一将(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 9/21(月)21:00〜(解説:野々村芳和、実況:岡崎和久、プレーヤー解説:大森健作、リポーター:藤井孝太郎)
☆室蘭での観戦はこの試合が今季ラストチャンス!観戦したらぜひアドバイス登録を!
≫皆さんの投稿で作るスタジアム情報【2009イレブンミリオンパークβ】
----------
試合大まかに振り返ると、全体的には膠着した内容だったと言っていい。前半は風上に立った札幌がアグレッシブに前へとボールを運んでゲームの主導権を握っていたようにも取れるが、福岡・篠田善之監督は「前半は風下でああいう形になることは読めていたので、無失点で終えることが第一条件。選手たちがしっかり前半を終えてくれたことは狙い通りだった」と振り返る。札幌のリズムで進んでいたように見える一方で、福岡側に立てばプラン通りだった。そうしたことを考えると、内実としてはやはり五分五分の拮抗した試合だったということだろう。

試合は立ち上がりからアクシデントがあった。4−1−4−1のシステムでアンカーとしてプレーする札幌のダニルソンが負傷退場をしてしまったのだ。抜群の身体能力と豊富な運動量で幅広いエリアをカバーできるダニルソンを欠くことで、札幌はシステム変更、つまり守備的MFを2枚にすることを強いられるかと思われた。しかし、代わって投入された芳賀博信はそのままアンカーの位置入り、そしてこの選手が好パフォーマンスを見せる。

ダニルソンは幅広いエリアをケアするプレースタイルだが、この日の芳賀はバイタルエリアから大きく外に出ることなく、危険なスペースを埋めたうえで周囲の選手を動かして多くのエリアをケアした。ダニルソンほどのダイナミックなボール奪取はないが、危険なエリアにあらかじめフタをすることで守備を引き締めていたのだ。システムのキーマンとも言えるダニルソンの負傷は札幌にとって大きなダメージになるかと思ったが、軽症に収まるどころか違った形で守備は安定した。「周りの選手を上手く動かせた」と芳賀。このあたりは昨年までの札幌が採っていたゾーンディフェンスの戦術が生きたと言っていい。

対する福岡はボールを奪うと素早く縦にボールを運ぶことでチャンスを見出した。10分にはスルーパスから黒部光昭が裏のスペースへ抜け出してシュート。12分過ぎにはインターセプトから丹羽大輝がそのまま攻撃参加して相手守備を脅かす。33分には再び黒部がボックス内で左足を振り抜くが、このシュートはゴールの右側へと外れていった。
惜しむらくは中盤の底でプレーした宮原裕司を活かすことができなかったところか。この宮原の持ち味は広い視野を武器としたスルーパスやサイドチェンジ。だが、チーム全体の攻撃が縦に急ぎがちだったためか、宮原がいいポジションでボールに絡むことができず、空回りしてしまった印象だ。この選手が前を向いてパスをさばく局面をもう少し作れていれば、ゲームのパワーバランスにも変化があったことだろう。

いずれにせよ、試合はどちらが優位というわけでもなく、一進一退のような空気で推移。こういった試合で明暗を分けるのは、言うまでもなくセットプレーだ。

48分、ゴールまでおよそ20メートルの距離で得た札幌の直接FK。ゴールに向かってやや右より、「得意な位置だった」という上里一将が左足で見事に枠の内側へ蹴り込んだ。前回の対戦で上里は約65メートルの超ロングシュートを決めており、福岡としてはこの選手の左足には警戒をしていたはず。だが、そうした警戒を通じなくさせてしまうのがセットプレーであり、その中でもキッカーがフリーで前を向いてシュートを打てる直接FKなのだ。

福岡としては2トップの一角に入った身長190センチの長身FW大久保哲哉を上手く使えなかったことも、響いたようだ。これは前半から見られたことだが、福岡の最終ラインがボールを持った場面で、札幌のFWキリノのアプローチに神経質になり、クリアに逃げるのか、大久保めがけてロングボールを蹴るのか、それとも隣にいる選手に預けるのか。この判断に時間がかかり、大久保とボールとの位置関係が悪くなって攻撃が単発になっていた嫌いがある。後半は展開力のある鈴木淳を投入したことや、風上に立ったことで「ボールは動くようになった」(篠田監督)のだが、残念ながら大久保はパス回しに合わせて飛び出したり、ポジションチェンジのローテーションに加わってプレーするタイプの選手ではない。決してノーチャンスではなかったが、福岡は最後まで攻撃の歯車が噛み合わなかった印象だ。そして試合は1−0のスコアのまま、タイムアップの笛が鳴った。

ところで、札幌サポーターが陣取るスタンドの最前列には「Remember 12.5」と書かれた横断幕が張られていた。そうか、室蘭での札幌−福岡戦といえば、98年に行なわれたJ1参入決定戦の第3参入クラブ決定戦ではないか。J2の8位と13位との対戦であり、全国的な報道では試合結果しか伝えられないかもしれない。しかし、人によって重みのあるカードというのは異なるものなのだろうなあ、と改めて感じさせられた。この札幌−福岡戦の話しから外れてしまって大変恐縮だが、100人いれば100種類の“クラシコ”があるということなのだろう。そんなことを、サッカーの街・室蘭で感じた9月20日だった。

以上

2009.09.21 Reported by 斉藤宏則
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/26(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田Jリーグ全ゴールまとめ【0824-0825】