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【J2:第40節 鳥栖 vs 富山】レポート:富山のハードワークに苦戦した鳥栖が、3戦目にして対富山戦の決着をつける。(09.09.20)

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9月19日(土) 2009 J2リーグ戦 第40節
鳥栖 1 - 0 富山 (19:03/ベアスタ/6,239人)
得点者:65' 島田裕介(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch185 9/22(火)05:00〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
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「サッカーの試合では、90分間を通して勝利で終わる手段を考えないといけない」
岸野監督が、熊本戦後にFWトジンに伝えた言葉である。
しかし、この言葉は岸野監督が鳥栖に加わってから、事あるごとに用いているものである。

今節の鳥栖対富山の一戦は、まさに岸野監督の言葉どおりの内容となった。今節の試合で、鳥栖が勝点3を上積みできた大きな要因を、以下に2題ほどあげる。

【初のヘディングシュート】
島田裕介は、Jリーグで通算27ゴール(第39節終了時)をあげている。そのすべてゴールは、彼の左足から生まれたものだ。そして、今節の対富山戦での決勝点は、島田裕介が“自身初となるヘディングシュート”を決めたものだった。
すばらしいヘディングシュートだったが、特筆すべきはそのヘディングシュートにいたるまでの鳥栖の選手たちの連動した動きである。
65分中央でボールを受けたホベルトが、右サイドを駆け上がってきた右DF柳沢将之にパスを送った。柳沢は、「中に多くの鳥栖の選手が見えた」ことで、迷わず富山ゴールの前に送った。
そこには、高い打点をもったFWハーフナー マイクがいたが、2列目から飛び出してきた島田裕介が頭で決めた。
富山の守備を崩すには、サイドからの攻撃を繰り返すことが効果的であるが、前半に限っては全くそれもできずに押し込まれていた。だからこそ、65分に鳥栖らしいサイド攻撃からの島田裕介の決勝点は、チームに勇気を与えるゴールになった。

【第9節以来の出場なし】
今季加入した山田卓也は、鳥栖の貴重なユーティリティプレーヤーであることは誰もが認めるところ。第10節以降、ピンチを救い、流れを変えるためにその力が求められたときには、労を惜しまず力を発揮してくれた。しかし、今節は彼の出番がなかった。逆に言うと、彼に頼らずとも選手達は“今何を成すべきか”を理解し、最後まで走りきったのである。これから、今季未勝利(水戸・東京V)との対戦が続く。そのあとの上位との対戦もある。昇格争いなど経験のない若いチームにとって、プレッシャーのかかる試合や経験での判断が必要な場面が多く出てくるだろう。今の苦しさに耐え、経験することによって、貴重な経験を身体に覚えこませることもできるし、彼自身の休養も必要だろう。山田卓也という選手の存在は非常に大きいが、山田卓也は一人しかいない。選手個々がシーズン終盤に向けて、貴重な体験を得ることは非常に大きな財産である。

今節の勝利は、前述した2つだけが要因ではないことは、重々承知している。ほかにも色々なことがあげられるが、筆者が特に感じた2つをあげてみた。
『なぜ、得点に至る過程と出場しなかった選手なの?』と感じる読者諸兄も多いだろう。
そう感じさせたのは、今節の富山のプレースタイルにあったことを紹介することで、今節のレポートに替えさせていただきたい。
それというのも、富山が試合開始直後から早いプレッシャーとハードワークで臨んできたために、鳥栖の得意とするサイドからの攻撃の芽を摘んだからである。
4−5−1で中盤を厚くし、鳥栖の中盤にプレッシャーをかけた。朝日大輔・石田英之・木本敬介らスピードを持った選手は、鳥栖のDFにボールがあるとすぐさまプレッシャーを掛け、判断を奪っていった。DFから幾度となくGK室拓哉にボールが返されたことがその証拠である。

長山一也・野嶋良は、DFとのバランスを取りつつホベルトと高橋義希の起点を潰しにかかった。これに加え、足助翔と中田洋平も高い位置でボールに対してアプローチを掛ければ、鳥栖の両サイドは押し込まれてしまう。舩津徹也と金明輝は、鳥栖の2トップにボールを入ることを許さなかった。
前半は、これらの富山のハードワークが完全に機能し、鳥栖の見所は皆無だっただけに、島田裕介の初ヘディングシュートと全員の集中力と勝利に対する執念が際立って見えた。

「今までだったら、足で行っていたかもしれない」と島田裕介は笑顔で教えてくれた。
「むっちゃ、頑張ったっす」と渡邉将基は自分のプレーに自信を見せた。
試合終了のホイッスルがなると、飯尾和也と武岡優斗はピッチに倒れこんだ。
誰もがガムシャラにプレーし、時間を忘れ無我夢中だったに違いない。
決して90分間を通して褒めることばかりではなかったが、“結果が得られたから良かった”以上に今節の試合運びの中で得られた経験は、残り試合で必ず生きてくるに違いない。
そして、岸野監督が言い続けた、「サッカーの試合では、90分間を通して勝利で終わる手段を考えないといけない」ことが、実践できるようになってきた。
今節の勝利は、リーグ終盤に向けて新たな闘志に火をつける勝利といえる。

我々が試合を見て感動を得るのは、試合結果だけではない。華麗なテクニックや、激しいぶつかりあいだったりすることもある。
しかし、その試合でおきた現象を記録で見ることで、選手の成長や健闘振りを知ることができる。
これも、試合から得られる感動である。
スタジアムで観戦することで、クラブ史上の歴史的証人となり、後世に語り継ぐ伝道師となれるのである。
スタジアムに来ると、プレーに興奮し、ファインプレーに震撼し、選手の汗に感動することができる権利を誰もが得ることができる。
チームとファンとスタジアムが一体となって織り成すサッカーという協奏曲は、聴く人によって異なる音色になるに違いない。

サッカーの奥深さを見つけることも、試合の楽しみ方のひとつである。

以上

2009.09.20 Reported by サカクラゲン
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