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【ヤマザキナビスコカップ 横浜FM vs 川崎F】川崎F側レポート:数的不利の難しさを耐えた川崎Fが、終盤のジュニーニョのゴールによって決勝進出を決める。(09.09.07)

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9月6日(日) 2009 ヤマザキナビスコカップ
横浜FM 1 - 1 川崎F (18:00/日産ス/16,467人)
得点者:68' 山瀬功治(横浜FM)、89' ジュニーニョ(川崎F)
☆ナビスコカップFINALチケット情報
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 2人の退場者を出す試合展開を予言するかのように、試合2日前の関塚隆監督がこんな事を口にしていた。「ホイッスルが鳴るまでは何がおきるかわからないですよ」と。もちろん選手にしてもサポーターにしても、油断というものが百害あってただ一つの利すらないことは理解していた。実際に寺田周平は4日の練習後に「今一番危ないのは油断だと思います」と気を引締め直していた。ただ、等々力で行われた第1戦の2-0での勝利を見ていた人のほとんどすべてが、この試合のここまでの苦戦を予想する事はできなかった。

 たとえば試合前のサポーターである。彼らが熱心な川崎Fサポーターであるという背景を考慮してもなお、決勝進出を信じて疑う様子は皆無だった。0-0で折り返したハーフタイムには、その空気は報道陣の間にも伝播していた。横浜FMは彼らの持ち味である高い技術を持つ選手個々をうまく使いこなせていないように見えた。

 ただ、横浜FMの木村浩吉監督はそうした前半の試合展開についてある程度織り込んでいたようで、試合後に「後半勝負になると考えていたので、坂田と山瀬はベンチからのスタートとした」とのゲームプランを説明。坂田大輔、山瀬功治を後半の頭から起用した交代采配について予定通りだったと述べている。ただ、実際のところこの交代采配によって試合に劇的な変化がもたらされたわけではなかった。がしかし、思いがけないワンプレーで試合の流れは一変する。後半68分。ラインの裏に抜け出した金根煥に井川祐輔が背後からタックル。これがファールの判定となり、井川には一発レッドが。さらに横浜FMにPKが与えられる。キッカーの山瀬功治がきっちりとこれを決めた事で、試合の流れは一気に横浜FMへと流れる事となる。

 よく「2-0の試合は次の1点が大きい」といわれるが、まさにこの試合はそうした状況となる。一人少ない川崎Fに対し、2試合トータルで1点差に追いすがる横浜FM。ホームの余勢を駆った横浜FMが一気に攻勢を強める展開となる。川崎Fにしてみれば準々決勝の鹿島戦( /jsgoal_archive/game/2009/20090020060120090729.html )が脳裏に浮かんでいたはず。土壇場で追いついた川崎Fが、延長戦で2ゴールをたたみ掛け、鹿島を下したあの試合と全く逆の展開がありうるという状況となったのである。

 そして実際に1ゴールを奪った直後の71分に途中交代出場の坂田が長谷川アーリアジャスールとのコンビネーションで左サイドを突破。あわやゴールか、という場面を作り出す。ただ、そうした状況の中でも川崎Fの選手たちは慌てる事がなかった。

 今季の川崎Fは選手層を高めるという意味もあり、各ポジションごとにさまざまな組み合わせが試されてきていた。「組んでいないメンバーは居ない、というくらいにいい意味で今季は選手が入れ替わっている」(村上和弘)と胸を張るほどに経験を積み重ねてきていた。だからこそ「井川が居なくなっても(寺田)周平さんが落ちてくるのか、ヨコ(横山知伸)になるのかな、という事はイメージできました」(村上)と川崎Fの選手たちは冷静に対処できていたのである。

 井川の退場後、横浜FMは攻勢を強めるが川崎Fは杉山力裕が「1点を取られた後も守備陣が体を張って守っていてくれました」と振り返る固いブロックを形成し、横浜FMの攻撃をはじき返し続けた。攻めているようで、攻めきれないという状況が、もしかしたら飯倉大樹の心理に焦りをもたらしたのかもしれない。

 87分に鄭大世のポストプレーをきっかけにホイッスルが吹かれる。プレーが止まった後にも関わらずジュニーニョがボールを持ち出してシュートを放つ。ジュニーニョ本人は「笛は鳴っていないと思っていました」と話すが、一刻を争う状況での遅延行為に飯倉は耐えられなかったのだろう。ジュニーニョを背後から突き飛ばしてしまうのである。

 川崎Fがレッドカードで一人の選手と1点を失ったのと同様に「ホイッスルが鳴るまでは何がおきるかわからない」という事態になったのである。

 結局交代枠を3つ使い切っていた横浜FMは、水沼宏太にGKを委ねるしかなくなる。数的有利の状況が解消され、不慣れなフィールドプレーヤーにGKを任せざるを得なくなった事で川崎Fへのプレッシャーは大きく軽減する事となる。

 退場者が2名。両チームとも3枚の交代枠を使い切っていた事もあるのだろうがロスタイムは7分。どよめくスタジアムの余韻の中、そのロスタイムを5分ほど消化した95分ごろに、ジュニーニョがこの試合の同点ゴールをねじ込む。これにより、この試合の延長戦突入の可能性が消滅。さらに1失点だった川崎Fのマージンは3失点へと拡大する事となった。試合はその後も2分ほど続いたが、この同点ゴールによって試合は事実上決着したのである。

 誰もが予想しなかった終盤の「事件」によって川崎Fは決勝進出を拾った。結果的に、衆目の予想通りの結末に落ち着いた訳だが、一つ間違えば準々決勝で鹿島を下した等々力での試合のような展開もありえた。そういう意味では「決勝に行けてよかったが、まだタイトルを取ったわけではない」(杉山)という状況である事を誰もが見つめ直す必要があるだろう。

 いずれにしても、思いがけず苦しんだ試合ではあったが、川崎Fが悲願の初タイトルに向け、決勝進出を決めた。

以上


2009.09.07 Reported by 江藤高志
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