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【J2:第37節 甲府 vs 愛媛】レポート:PKで分け合った甲府と愛媛。何回やっても上手くマッチアップしない愛媛戦で見えた課題は決定機の数と…チャンスで決める決定力(09.09.03)

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9月2日(水) 2009 J2リーグ戦 第37節
甲府 1 - 1 愛媛 (19:03/小瀬/9,060人)
得点者:29' マラニョン(甲府)、73' 内村圭宏(愛媛)
スカパー!再放送 Ch181 9/3(木)15:00〜(解説:横森巧、実況:前田真宏、リポーター:石河茉美)
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大西容平が厄日だっただけなのか。C大阪と仙台は勝ったが、湘南が付き合ってくれたことを慰めにするのか。内容が悪くなかっただけに気持ちの置き所に悩む試合だった。でも、答えは安間貴義監督の言葉にあると思う。記者会見で「レフリーに負けたわけじゃない。チャンスに決め切れなかったことが第一の原因」と話した。判定に不満を持つ選手が判定を引き分けた理由にしてしまって、最大の原因をぼかしてしまうことを諌めるためにあえて言ったのだ。もし、そういうことがあったとしても感情的になりすぎたり、執拗に抗議したりすることはサッカーを壊す行為だということだろう。

愛媛のセンターバックの2枚(チアゴ、アライール)が低いポジションを取ることは予想した通りになったが、それに対する甲府の3トップが脅威を与えることが出来るかどうかがポイントだった。甲府の3トップは前節と同じで、松橋優を真ん中に左がマラニョン、右が大西という布陣。世界基準の高さで言えば、チビッ子3トップということになる。森田浩史やガウボンのようにあと10センチほどで2メートルに到達する高さを安間監督は選択しなかった。ガウボンはベンチにもいなかった。しかし、立ち上がりは松橋が積極的に動いて、スペースを作ろうとしていたしチビッ子3トップは悪くはなかった。特に、守備の面では前線からプレスをかけるから、ボールを失っても直ぐに奪い返すことが出来ていた。

前線でのボールの収まりの悪さは少し感じていたが、27分に吉田豊が倒されてPKをもらったときは大きな問題には思わなかった。しかし、甲府のマラニョンがPKを蹴るときにやらかした。マラニョンにはマラニョンの考えがあるのだが、助走して蹴る瞬間に止まって、GKの動きを見てから蹴ろうとして、枠を外した。これで決めたこともあるのだが、私はこのやり方がいいとは思わないから、下を向いてノートにマラニョンの悪口を書きなぐっているとなんかサポーターの様子がおかしい。顔を上げるとみんな喜んでいて、PKがやり直しになっていた。GKが先に動いたということで、やり直しになったようで、ボールを置き直したマラニョンにダニエルが近寄っていって「余計なことをしないで、落ち着いて蹴れ」なんてことを言っているように見えた。さすがに、マラニョンも蹴り直しは素直に蹴ってゴールイン。愛媛サポーターにはちょっと申し訳ないような気分で、先制ゴールを喜んだ。ただ、ロスタイムに藤田健のクロスを愛媛のDFがクリアできずにボールが都合のいい場所にこぼれ決定機が生まれたが、これを大西が外してしまい、とどめを刺すことができなかったことが最後は響いてしまう。

後半も甲府の守備のリズムは悪くなかった。中盤の底・アンカー・林健太郎は最終ラインとの間で愛媛のチャンスをダイソンの掃除機のようにことごとく吸引していた。中3日なので体力面を心配したが、少し前に37歳になったオジサンの星はいい仕事をする。90分間を通じて愛媛が中央から崩すというチャンスはなかった。あったのは、サイドからの攻撃。広島から期限付き移籍したばかりの内田健太は素晴らしかった。後半開始5分のサイドからの予想外のロングシュートは荻晃太を慌てさせたと思う。それでも、止めるから守護神なんだけれど、タッチラインのところからGKのポジションを見極めて正確にシュートを打っていける内田はいい武器を持っている。「日本代表のウッチーは内田健太」なんて時代が来るかもしれないが、今節はサイドから崩すことはできなかった。それだけ甲府の守備が連動して穴を作らなかった。また、甲府から移籍した田森大己にも注目していたが、何回か憎たらしいと思うプレーをしていたので悪くはなかったはず。試合後のミックスゾーンで石原克哉から挨拶代わりに胸パンチを入れられていたが、去年までいたチーム相手にガツガツと行って生き残りを賭けた戦いをしていた。逞しさと粘り強さを90分間出せるようになれば田森はもっといい選手になれるはずなので、第3クールのC大阪、仙台、湘南戦でもガツガツと活躍して欲しい。ついでにゴールも決めて欲しい。

追加点を取ってとどめを刺したい甲府は、後半13分には吉田が奪ったボールが起点となって、マラニョンが大西にスルーパスを出すが、足を伸ばして反応したシュートは枠の外。大西が決定的な場面を外すのは2回目だが、「大西の厄日か」と思うよりも決定機は作っているという思いで見ていた。今思えば、中3日という疲れを残した状態での試合は身体の感覚に少しズレが出ることがあるのだろうか。そうでないと前半ロスタイムのシュートは説明がつかない。暫くして、携帯でJ2の速報を見ると上位4チームは全て1-0というスコアで戦っていた。「どこか1チームくらい引き分ける」なんて思った瞬間、嫌な予感がしてそれを打ち消そうとしたが、甲府は3トップにボールがなかなか収まらずとどめを刺せそうにはなかった。そして、10分もしないうちに池端陽介のタックルがPK相当と判断されて愛媛のエース・内村圭宏がスカッとPKを決めて同点になってしまう(73分)。ハーフタイムに安間監督は「(甲府にPKを与えたんだから)同じファールに対してPKを与えることにレフリーは躊躇しない」という趣旨の話をしていたが、その通りになってしまった。

しかし、同点になって試合に動きが出てきた。甲府は3トップの中央に途中出場の森田、右にFWをやりたいDFの池端を上げて、中盤は國吉貴博と大西が並んでその下に藤田という配置で2点目を取りに行く。が、チームとしての連動はほとんど失われていて、あったのはパワープレー。4分間のロスタイムに入って愛媛のGK・加藤慎也が接触で痛んでサブの山本浩正に交代することになり、その分の時間がロスタイムに正確に加えられるのかどうか選手もスタンドも不安になったかもしれない。異様な雰囲気の中で、再開されたロスタイム終盤に森田がペナルティエリアの外で倒されたように見えたが、試合は止まらずに十数秒後にタイムアップ。感情的になって抗議をした杉山新に試合終了後に警告が出されるという後味の悪い終わり方になってしまった。愛媛とは何回戦っても上手くマッチアップしない内容になってしまうが、前線から連動した守備はよかったし、引き気味のセンターバック相手でもチビッ子3トップで、少ないが決定機を作ることが出来た。焦れずにやり続けてその回数を増やすという課題はあるが、ブレたり自信をなくしたりする内容ではなかったと思う。原点を見誤ることなく次節のC大阪戦(9/6@長居)に挑んでいくだけ。

以上


2009.09.03 Reported by 松尾潤
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