8月23日（日） 2009 J2リーグ戦 第35節
湘南 1 - 1 仙台　（18:04／平塚／12,670人）
得点者：58' 阿部吉朗（湘南）、62' 中原貴之（仙台）
スカパー！再放送 Ch183 8/24（月）19:30〜（解説：水沼貴史、実況：加藤暁、リポーター：児玉美保）
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5分、坂本紘司が高い位置でボールを奪い、右サイドを臼井幸平が駆け上がる。臼井のクロスは逸れたものの湘南の攻撃は続き、寺川能人のフリーキックにふたたび臼井が頭を合わせた。かたや仙台も18分、永井篤志の巧みなスルーパスに菅井直樹が抜け出し、右サイドからクロスを上げる。両者の攻撃はいずれもゴールに届いてはいないが、一瞬の隙をも許さぬ展開を予感させるに十分だった。予測していたと、仙台の手倉森誠監督がのちに語った「重苦しい試合」は同時に、最終クールの到来をあらためて感じさせた。

湘南は合流間もないリンコンが前線で時間をつくりつつ連動してパスを繋ぎ、リズムを掴んでいく。一方の仙台もしっかりとブロックをつくり、なかを割らせない。坂本ら危険な侵入者に対して身を挺し、あるいはオフサイドの網に掛けた。ボールを奪えばすかさずカウンターに転じる。逆に湘南も、最後の一歩を弛まぬ田村雄三のチェックを筆頭に、攻撃から守備への素早い切り替えを怠らない。43分、裏を突いた梁勇基の決定機はGK野澤洋輔が落ち着いて捕えた。両者ともに、堅い。

65発の花火が打ち上げられて迎えた後半、先手を取ったのはホームチームだった。58分、仙台のクリアミスを寺川が逃さず拾う。すかさずペナルティエリアに走りこんだのは、前半から攻守に走っていた阿部吉朗だった。パスを受けるや左足を一閃、迷いなき弾道がゴールへと貫かれる。「自分の仕事をしっかりやることが監督の期待に応えること」と語るストライカーが均衡を破り、1万を超えるスタジアムのボルテージを一気に上げてみせた。

しかし仙台も黙ってはいない。梁が深い位置まで走りこみ、左サイドを駆け上がった朴柱成に落とす。湘南の交代直後を突くあたりは試合巧者らしい。狙いすました朴のクロスに反応したのは、後半から投入されていた中原貴之だ。「後ろに下がってボールに飛び込むかたちを狙っていた」と明かす中原のヘッドは、「タカは力強く跳べるから高めに出した」という朴のクロスと宙高く重なり、野澤の手をもすり抜けてゴールへと吸い込まれた。詰めかけたおよそ2千人の仙台サポーターのまえで沈めた同点弾は、湘南の先制点からわずか4分後のことだった。

同点となって以降も互いに譲らない。相手の攻撃に対してともに粘り強く対応し、ボールを奪えば攻め返す。87分、湘南ゴール正面で得た梁のフリーキックはわずかに枠を逸れ、かたや途中出場の中村祐也の裏への動き直しは仙台DF陣のラインコントロールに絡み取られた。こうして両者攻め合いの末に、長い笛を聴くのだった。

「最初からエンジン全開で選手たちはほんとうによくやったと思う。この闘いをあと16試合やっていけば必ずいい方向に進むと思わせる、第3クールのスタートだった」と、湘南の反町康治監督が語れば、仙台の手倉森監督も「攻守に渡り、90分コントロールできたと思う。とにかく辛抱強くやっていく」と手応えを口にした。1勝1敗1分という互いに譲らぬ戦績は来季、上のステージで決着をつけたい。

アウェイ連戦を終えた仙台は次節、ホームに岐阜を迎え、湘南はあの4連敗の引き金となった福岡とのリベンジマッチに赴く。今節が出場350試合の節目となった坂本は言う。「今日のような堅いゲームは今後増えていくはず。でも僕らはいつも攻撃の練習をやっているし、僕自身もっと得点に絡めれば勝利に近づけると思う。堅いゲームのなかでも自分たちの攻撃のよさを全面に出していきたい」。鳴り止まぬサポーターの歌とコールを胸に、この日掴んだ勝点1を繋げるべく次へと向かう。

以上

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2009.08.24 Reported by 隈元大吾