8月5日（水） 2009 J2リーグ戦 第32節
Ｃ大阪 1 - 0 草津　（19:04／長居／6,733人）
得点者：71' カイオ（Ｃ大阪）
スカパー！再放送 Ch183 8/6（木）20:00〜（解説：長谷川治久、実況：谷口広明、リポーター：森田純史）
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　前節から先発もサブも不変の首位Ｃ大阪と、累積警告による出場停止の影響もあって5選手が鳥栖戦から入れ替わった12位草津。対照的な両者の対戦は、蒸し暑さもあって序盤はどちらもハイプレスをかけるようなこともなく、落ち着いた展開で始まる。そのなかでも、次第にポゼッションで上回るＣ大阪が攻勢を仕掛けると、右サイド酒本憲幸の攻め上がりを軸に草津を押し込んでいく。

　途中、草津も左サイドバック小池純輝のオーバーラップや、スルーパスに山崎渡、後藤涼らが絶妙な飛び出しを見せて決定機を作るが、「そういう展開のなかでも、Ｃ大阪の巧さが出ていた」と語るのは、草津MF熊林親吾。マルチネスへのラフプレーで松下裕樹が警告を受けた23分以降は、Ｃ大阪ペースが加速する。

　ただ、「プラン的に、前半に関しては本当に予定通りで、気持ちもみんな入っていたし、よくできていた」と草津DF喜多靖。都倉賢、廣山望といった攻撃の要を出場停止で欠くなか、中央、ゴール前では堅い守備を展開。香川真司、乾貴士のＣ大阪2枚看板の突破を許さない。ディフェンスラインも下がりすぎず、むしろ高めに取り、Ｃ大阪の前線が裏へ抜けようとしても、オフサイドにかけて阻むケースが目立った。前半終了間際、Ｃ大阪のイージーミスから逆に草津にも再びチャンスが舞い込むが、活かしきれず。結局、互いにスコアレスで後半を迎える。

　すると後半開始時、Ｃ大阪、草津ともに選手交代。Ｃ大阪は、さらに「テンポよくボールを動かす」（レヴィークルピ監督）ため、黒木聖仁に代えて濱田武を投入。一方の草津は、FW後藤が負傷交代を強いられ、小池をFWに上げて、左サイドバックに寺田武史を送り込む。

　これで活力を得たのはＣ大阪。草津の熊林が「後半、グッとこっちのコンディションが落ちて、相手が勢いを持ってきて、そこでさらに中盤に濱田が入ってきて、より（Ｃ大阪が）ボールを持てるようになった」と言うように、濱田、マルチネスの両ボランチが、キープ力の高さを活かして草津にプレッシャーを与える。さらに、前半とは逆に、今度は左サイドから、カイオ、石神直哉がクロスを上げてゴール前に迫っていく。

　そして71分、ようやくＣ大阪が先制に成功。決めたのは、この試合で何度も草津DFの裏を狙っていたFWカイオ。石神の絶妙なアーリークロスを、ファーサイドから走り込んできたカイオがニアで軽く合わせてゴール。「普段からずっと練習している」（カイオ）形での、今季好調だった前半戦でもよく見られた得点パターンで、じりじりとした展開をＣ大阪は打破した。

　その後、反撃に出たかった草津だったが、「力の差を正直感じた」と、ベンチ入り停止処分の佐野達監督に代わって指揮を執った鳥居塚伸人コーチ。疲労感の隠せないイレブンにはリスクをかけて攻め出る余力はなく、途中出場の選手にも流れを変える力はなかった。

　Ｃ大阪もリードしたあとに、香川、小松塁に追加点のチャンスはあったものの、決めきれず。2人で34得点を叩き出している香川、乾のコンビにゴールは生まれなかったが、前節札幌戦から取り戻した安定感のある守備できっちり草津を零封し、1-0の最少スコアで勝利。ホーム戦連続完封勝利で勝点を66に伸ばし、しっかり首位をキープした。

　さすがに中2日、大阪独特の暑さ、湿度70％のなかでのゲームだけあり、疲労の色が見えたＣ大阪と草津。双方アグレッシブな展開にはならなかった。しかし、そこで確実に勝利を手にしたのは首位Ｃ大阪。終了のホイッスルと同時に田中淳、櫻田和樹らがピッチに倒れ込むほど草津も奮闘はしたが、1点は想像以上に重かった。「本当に難しい、タフなゲームで勝利を収められたことを、本当にうれしく思う」と、Ｃ大阪レヴィークルピ監督。第1クールの点の取り合いとなった「バトル」とは違ったなかでも、巧みなゲーム運びで勝点3を奪い、Ｃ大阪はチームとしてまたひとつ成長を遂げた試合になった。

以上

2009.08.06 Reported by 前田敏勝