8月1日（土） 2009 J2リーグ戦 第31節
徳島 6 - 0 愛媛　（18:35／鳴門大塚／13,473人）
得点者：27' 羽地登志晃（徳島）、44' ペスンジン（徳島）、46' 藤田泰成（徳島）、48' 羽地登志晃（徳島）、63' 登尾顕徳（徳島）、80' 青山隼（徳島）
スカパー！再放送 Ch183 8/3（月）23:00〜（解説：大西貴、実況：寺西裕一、リポーター：藤原美佳/重橋秀香）
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試合後の会見で美濃部直彦監督は「今日に向けて雰囲気を作ってくれたサポーターの皆さんとクラブ、そしてピッチでそれを期待通りに表現して結果を出した選手達それぞれの努力の結果だと思っています」とこの勝利を評したが、まさにその通りと言って間違いない。サポーターとクラブが一体となってこの一戦への準備を進めた結果、ホームスタジアムを埋めた観衆はクラブ最多の13,473人（これまでは昨季の四国ダービー／38節／11,897人）。そしてその多くの後押しを受けた選手たちは強い気持ちを全面に出してピッチ上で躍動し、ゴールを重ねた。

四国ダービー、6-0で圧勝。もちろん前半途中から数的優位に立ったこともあったが、それを差し引いても徳島は特別な戦いで最高の勝利を収めたと言えるだろう。

改めて振り返れば、指揮官も「大きかった」と語った先制点がこの戦いにおける最大のポイントだったように思われる。27分、徳島は速攻から素早くタテへと繋いで柿谷曜一朗へボールを渡すと、その柿谷がオフサイドラインぎりぎりでタイミングを見計らっていた羽地登志晃へ絶妙のスルーパスを通し、愛媛最終ラインの裏を完璧に取る形でそれをもぎ取った。
するとそうして奪った先手は得点上のリードだけでない影響を愛媛の特に守備陣へ与えていく。彼らに気持ちの混乱と焦りを生じさせ、ついにはセンターバック2人の相次ぐ退場（34分／金守智哉・41分／松下幸平）も引き起こさせた。

ただそれも先制後の徳島がさらに攻撃の圧力を強めたからこそ。倉貫一毅と青山隼が効果的な繋ぎ役となれば、スタメン復帰した徳重隆明と柿谷がうまくスペースを見つけて精力的にボールを預かる。さらに羽地が継続してライン裏を狙う動きを繰り返したことがそうした状況を必然として生んだと言えよう。事実、同じポジションの人間としてその心理が分かるのだろう。登尾顕徳は「取ったボールをどんどん前に出して早い攻撃が出来ました。それが相手のファールを誘ったのだと思います」と分析の言葉を口にした。

が、こうして数的優位に立ちながら、それが逆に気の緩みとなってペースダウンしてしまうケースもサッカーでは少なくない。いや、その方が多いと言っても過言ではないだろう。
しかしながらこのダービーマッチに並々ならぬ集中を見せた徳島にそんな心配は必要なかった。前半終了間際にCKをペ スンジンが右足のアウトサイドで巧みに流し込むと、折り返して迎えた後半は開始3分間で藤田泰成と再び羽地がネットを揺らし連続加点─。チームは変わらない引き締まった気持ちを維持しつつ、しっかりと数的優位を活かすしたたかさも見せて早々とこの試合にケリをつけた。最終的には登尾と青山（青山はJ初ゴール）もスコアラーとなり計6得点を叩き出した徳島だが、いずれにしてもチームは詰め掛けた大観衆を魅了するアグレッシブで攻撃的なサッカーとそれによるゴールショーをこの特別な一戦で確かに披露した。

とは言え、こうした見事な戦いにでも見えた幾つかの課題には真摯な姿勢で目を向けるべきだろう。中でも、失点にこそ繋がらなかったものの危険な場面を招きかけた後方でのパス回しについては十分な反省と改善が必要だ。周囲のコーチングに加え、組織としてのボールの動かし方、個々の状況判断と素早い判断も高めなくてはならない。そうしたひとつひとつの課題解決が間違いなく今後の上位追撃、チーム躍進への大事なベースとなってくるのだから。

以上

2009.08.02 Reported by 松下英樹