7月19日（日）J1 第18節 柏 vs Ｇ大阪（19:00KICK OFF/柏）
スカパー！生中継 Ch363 19:00〜（解説：金田喜稔、実況：清水大輔、リポーター：石川葉子）
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柏にとって第11節のG大阪戦は決して忘れることのできない敗戦だった。それまでは勝星にこそ恵まれていなかったものの、試合内容に関しては収穫や評価できる点もあったのだが、「今季のワーストゲーム」と言うべき万博で喫した０−４の大敗から選手は自信を失い、チームは著しく下降線に入った。結果、前半戦を終えて３勝６分８敗、勝点15の17位に沈んだのである。この成績不振により、15日には高橋真一郎監督の解任が発表され、今節は井原正巳ヘッドコーチが監督代行として指揮を執ることになった。

さらに浮上の起爆剤として期待される新戦力だが、パクドンヒョクは今節の試合は出場できず、アンセウモ・ハモンに関してはブラジルサッカー連盟から移籍証明がまだ届いていないために、登録が間に合わなかったとされている。期待の新戦力の柏デビュー戦は、次節以降に持ち越しとなった。

G大阪もまた苦しい状況下にある。リーグ戦は現在３連敗中、先日のヤマザキナビスコカップを合わせると、まさかの公式戦４連敗だ。いずれの敗戦にも共通した傾向が見られ、その点については「同じようなゲームをしてしまってはいけない」と西野朗監督もヤマザキナビスコカップの横浜FM戦後の記者会見で語っている。先制を許すことで「どうしても前がかりになり、とれそうな感じはあるんですけど、とりきれていない」（西野監督）という“負のサイクル”がチームを苦しめており、ボールは支配するものの、自陣にブロックを形成した相手の術中にハマり、カウンターからDFラインの背後を素早く突かれ、さらに失点を喫するという悪循環。しかも今節の遠藤保仁の出場停止は、G大阪にとって不安材料のひとつかもしれない。

だが、第11節の対戦では、柏はチョジェジン、レアンドロのみならず、佐々木勇人に守備網を徹底的に切り裂かれ、途中出場の播戸竜二にも痛烈な一撃を浴びた。柏の選手たちも「G大阪は他に出てくる選手も力がある。チーム力は落ちないはず」と警戒の意を強め、連敗中とはいえ、Jリーグ屈指の選手層を持つチームに対し、油断の様子は全く見られない。

柏は中断明けから守備の仕方を変えており、代名詞でもあった「前線からのプレス」ではなく、DFとMFの２ラインで自陣にブロックを作り、バイタルエリアのスペースを埋め、相手のストライカーが降りた時にはボランチがケアするという形を採っている。G大阪に対しては、以前は前からプレスに行くも、パスワークにいなされ、バイタルエリアのスペースを突かれることが多かったが、仮に今節この守備戦術でG大阪の攻撃力を食い止めることができれば、浮上のキッカケになりえるだろう。

ただし、全体の陣形が中央に絞るため、あるいはコンパクトになった状態でボールサイドに寄るために、サイドにスペースが生じやすくなる。したがって、試合はG大阪がボールを支配しつつ、サイドからクロスボールを放り込むシーンが多くなると予想されるが、その点を警戒して、井原監督代行は試合で起こりえるあらゆるケースを想定し、今週はクロスボール対応と、それに伴うDFラインのアップダウンの確認など、特に守備面のトレーニングを入念に行った。「良い守備ができなければ、良い攻撃にはつながらない」と話す井原監督代行の意図は選手たちにも十分浸透しており、小林祐三は「奪った後の攻撃を速く。カウンターの準備をしながら守備をする」と話し、大津祐樹は「積極的に相手の裏を狙っていく」と明言。大谷秀和も「ポポ、（菅沼）実が裏を狙うのが第一の選択肢。それをしなければ相手も守りやすいと思う」とG大阪戦のイメージを語る。前節は清水が、ヤマザキナビスコカップでは横浜FMがG大阪に対して行った試合運びと、柏が描くゲームプランは近いと思われる。

G大阪という強敵を降して浮上するためには、日立台のサポーターの後押しも絶対に不可欠である。逆境を力に変えて、柏の後半戦反攻といきたい。

以上

2009.07.17 Reported by 鈴木潤